西武信用金庫 -「未来につながるネットワーク」第17回ビジネスフェアfrom TAMA・レポート
「未来につながるネットワーク」~この出会いをビジネスチャンスに~
第17回ビジネスフェアfrom TAMA
西武信用金庫が主催する中小企業向けの企業展示・マッチング会「ビジネスフェア from TAMA」が、2016年11月2日、東京都文京区の東京ドームシティ/プリズムホールで開かれた。
17回目となった今年のテーマは、〝「未来につながるネットワーク」~この出会いをビジネスチャンスに~〟。
昨年を50社以上上回る288企業・団体が出展し、約2800件のマッチングが成立したほか、西武信用金庫と国際物流大手の米UPSの日本法人 ユーピーエス・ジャパン株式会社及び香港貿易発展局との包括連携協定の調印が行われたことでも注目を浴びた。
「ビジネスフェアfrom TAMA」は、地域を越えて中小企業のビジネスチャンスを拡大することを目的に毎年秋に開かれている、西武信用金庫主催の企業展示・マッチング会。
当日、会場となった東京ドームシティ/プリズムホールには、「情報・ソフトウェア」、「建設・住宅」、「製造・加工技術」、「流通・サービス」など各分野ごとにグループ分けされた企業や団体、大学のブースが立ち並び、製品や技術のPRが行われると共に、
大企業との商談に特化した「ビジネスコラボレートコーナー」や大企業の持つ知的財産権を中小企業の新規事業・新製品開発に活かすためのマッチングの会「知財等活用マッチングコーナー」などの専門ブースも登場。
来場者は5888人を数え、終日会場のあちこちで熱のこもった商談が行われた。
専門ブースの中でも一際注目を集めたのが、海外各国の最新情報やアドバイス提供を行う「グローバルコーナー」だ。各国の大使館や金融機関などの個別相談ブースが並ぶこのコーナーが、初めて登場した数年前のこと。
当初は訪れる人もまばらだったが、今では希望者が多すぎて相談に応じきれないほどになった。
今回、西武信用金庫がユーピーエス・ジャパン株式会社、香港貿易発展局の双方と包括連携協定を結んだのにも、そんな海外展開を目指す中小企業の支援を強化するためだ。
2020年の東京オリンピック・パラリンピックの開催、国内消費にも大きな影響を与えるTPPなど貿易協定の議論の高まり、少子高齢化による国内市場の縮小などにより、中小企業にとってもグローバル化への対応戦略が必要とされる時代が訪れようとしている。
そんな時代の空気をいち早く感じ取り、数年前から中小企業の海外進出を応援。今回の包括連携協定締結に踏み切った、西武信用金庫・落合寛司理事長の会場挨拶(要旨)を紹介する。
西武信用金庫・落合寛司理事長/会場挨拶(要旨)
企業統計を見ると、近年廃業する企業は倒産する企業の2.8倍。
その原因は日本の少子高齢化やマーケットの縮小、グローバル化の展開に乗れなかったけれど、海外の巨大なマーケットへの進出は考えていないなど様々ですが、私はこの現状を解決してあげないと、廃業数は止まらないだろうと考えています。
この現状を変えるために重要なのは、海外とのネットワークを強化していくことです。
香港貿易発展局様との包括提携協定は正にそのためであり、多くのネットワークと海外の事務所を持つ同局との提携は、中小企業の方々がいろいろ事業展開を行う上で大きな戦力になってくれると信じています。
また、そうやってビジネスマッチングが上手くいけば、次に問題になるのは当然物流であり、それがユーピーエス・ジャパン様との提携に至ったきっかけでもあります。
私は中小企業の海外展開はWEB上でやってもいいし、小ロットならアジアより先進諸国に売ったほうがいいのではないかと考えておりますが、どちらにせよ中小企業の世界進出のためには、世界規模の物流ネットワークが必要なことに違いはありません。
今回の提携は、大変心強い戦力をもたらしてくれたと思います。
西武信用金庫は、自分たちで海外に支店を出すことはしませんが、世界やその地域で活躍している企業とのネットワークを構築することで、今後も中小企業の海外展開を後押していきたいと思います。
もしTPPが発効すれば東京でもグローバル化が始まり、海外の企業も東京に集中してくる中で、「俺たちは国内だからグローバル化には関係ない」と言っていられない時代が来るでしょう。
その前に、今からグローバル化の戦略を少しでも進めていくことが重要です。
ご来場の皆様には、ぜひグローバル化コーナーに立ち寄り、西武信金や提携2社がどのようなことを進めようとしているのか、ご覧いただければ幸いです。
西武信用金庫(落合理事長/写真左)との調印を終えて。ユーピーエス・ジャパン株式会社・梅野正人氏(写真左)と、香港貿易発展局・林蘇珊(スーザン・ラム)氏(写真右)
西武信用金庫と包括連携協定を結んだユーピーエス・ジャパン株式会社は、世界220カ国以上の国と地域で荷物を運ぶ世界最大の小口貨物輸送会社 ユナイテッド・パーセル・サービス(UPS)の日本法人。
一方、香港貿易発展局は、香港の対外貿易促進を目的とする特殊法人で、東京・大阪を含む世界40以上の主要都市に事務所を持つ機関だ。両者とも、日本の信用金庫との提携は今回が初めてとなる。
包括連携協定の調印を受けて、会場では今回の提携で中小企業が受けられる具体的なサービスの内容や連携のメリットについて、記者団と西武信用金庫理事長の落合氏、ユーピーエス・ジャパン株式会社代表取締役社長の梅野正人氏、香港貿易発展局日本首席代表の林蘇珊(スーザン・ラム)氏の3氏による質疑応答も行われた。
【質疑応答】
─2団体にとって、中小企業は取引先中どれぐらいのウエイトを占めているのでしょう? また、連携により今後どのようなサービスが提供されるのでしょうか?
梅野:中小企業との取引は、企業数にして恐らく70%以上と非常に大きな割合を占めています。当社が提供するのは小口貨物の配達で、お客様の希望に応じて、例えば緊急貨物を指定日の朝に配達するギャランティ付きサービスなどを提案しています。
この場合、アメリカなら翌日もしくは2日目、アジア地域では翌日配達が基本です。価格はお客様の条件に合わせて変わるのでいくらとはいい切れませんが、非常に競争力のある料金がご提示できると思います。
林蘇珊:私共の主要なお客様はほとんどが中小企業様です。
現在、当局のデータベースの中には、香港及びASEAN諸国を中心に約30万社のコンタクト先がありますので、希望に応じて、その中からマッチング先を紹介させていただきます。
─日本の中小企業はモノづくりに優れた企業が多いと思います。香港の企業とどんなマッチングが考えられるのでしょう?
林蘇珊:香港は、以前は軽工業、モノづくり系の企業が多かったのですが、その分野は徐々に中国南部にシフトし、現在の香港はGDPの93%までがサービス業。中でも物流や金融、マーケティング業が盛んな場所です。
香港は「香港・中国へのゲートウェイ」と考えがちですが、それは古い知識。現在当局だけでも10のASEAN加入諸国のうち5拠点にオフィスを構えており、今や「ASEANへのゲートウェイ」となっています。
香港の企業のみならず、広くASEAN諸国の企業とのマッチングをご紹介できるのが当局の強みです。
─西武信金さんに質問ですが、東海地方を中心に、信用金庫の中には自分で海外支店を設けている所もあると聞きました。
そのような戦略は取られないのでしょうか?
落合:地に足をつけたマッチングはそう簡単にできるものではありません。当信用金庫が職員2人、3人の事務所を構えたところで、最適なマッチングができるわけはなく、そんな無責任な紹介はできません。
それよりも10万社のデータを要する香港貿易発展局さんのように信頼できるデータを持っている組織とのネットワークを構築し、最適な紹介相手を選んでもらうこと、その道筋を作ることこそが、中小企業支援に繋がると考えます。
─支社を作るより、海外の各地域の団体とのネットワークを構築していくということですか。
落合:そうです。なぜかというと、例えば海外展開を考えて海外に工場を建てる場合、材料をどこで買うとか完成品をどうやって運ぶ、パッケージのデザインはどうする、ダンボールはどこで調達する、と、1つの企業が存続するためには多くのビジネスパートナーが必要になります。
これをすべて自分で探すことはできないし、中小企業がやろうとしても必ず失敗するでしょう。
たとえ現地に支社を作っても、2、3人が駐在してインターネットでマッチング相手を探しているレベルで、最適の相手を紹介できるわけもない。
蓄積データ10万件の中から「これならここがいいですよ」と紹介してもらうのが、一番よい方法だと思います。
開催日時:
2016年11月2日(水)10:00〜17:00
会場:
東京ドームシティ/プリズムホール
主催:
西武信用金庫 一般社団法人首都圏産業活性化協会
後援:
経済産業省関東経済産業局
経済産業省東北経済産業局
東京都
山梨県
独立行政法人中小企業基盤整備機構 関東本部
公益財団法人東京都中小企業振興公社
東京都商工会連合会
各市区町村
各商工会議所
各商工会
一般社団法人東北地区信用金庫協会 ほか
◆2016年11-12月合併号の記事より◆
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