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東京都杉並区に本社を置く株式会社総和は、1971年6月に設立、55期目を迎える老舗企業です。取り扱うのは、マジックテープや生地、ウレタンなどの繊維・産業資材です。

その後、神奈川県横須賀市に工場を構え、材料だけでなく縫製加工なども行う体制を整えました。

現在は、売上の6割を医療・メディカル分野が占め、医療用雑品やサポーター、義肢装具などの半製品を提供。多様な素材・加工技術を活用しつつ、お客様とともに医療現場の課題解決に取り組んでいます。

創業から約半世紀、三世代にわたる事業継承のリアル

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現在の代表である赤羽社長は、創業者(祖父)→父親→そして自身という“親子三代”の流れでバトンを受け取りました。

もっとも、同社の代表職は祖父と父親の間に3人を挟んでいたこともあり、いわゆる“3代目”という単純な区切りとは少し異なる歴史を歩んできました。

しかし、親族・社員が協力し合いながら事業を守り、発展させてきたことには変わりありません。

創業当初から“マジックテープと繊維資材”を扱う商社としてスタート。時代によって取り扱うアイテムは変化しており、一時はスキー用マスクや和装小物なども手がけてきました。

『そのとき必要とされるもの』を形にしてきた結果、今の医療・メディカル中心のビジネスにつながっている。

赤羽社長が就任したのは2020年。まさにコロナ禍による混乱が続く最中でした。
しかし、そんな苦しい局面にもかかわらず、「苦労を感じなかった」と語る姿が印象的です。

コロナ禍当時は、どの業界も先行きに不安を抱えていました。

「当社はメディカル分野のお客様が多かったこともあり、大きく落ち込むということはありませんでしたが、サポーターなどの一部の分野で売上が減るなど影響はありました」と赤羽氏は語ります。

「事業承継という意味では、社員が長年守ってきてくれた会社をさらに成長させるために、みんなでどう立ち位置を定めていくかを考える時間だった」と振り返ります。

年上社員が多数でもスムーズな連携

社員22名ほどの同社では、赤羽社長が最年少。
古参社員や年上社員の割合が高い状況ですが、そこに“やりづらさ”は感じていないといいます。

「よく“親子承継だと古参社員が壁になる”なんて話を耳にしますが、当社はそういうことはありませんでした。

祖父や父の代を支えてきた社員の方々も“会社を良くしたい”という気持ちは共通していますし、メディカルのような継続性が大切な領域で、社会的な意義のある仕事を一緒に支えてくださっています」(赤羽氏)

医療・メディカル分野における強み

同社の売上の6割を占めるメディカル領域。そのなかには「医療用雑品」「義肢装具」「サポーター」の3つの大きな区分があります。

コロナ禍でサポーターや義肢装具の需要が落ち込んだタイミングもありましたが、医療用雑品は伸びをみせ、結果的には全体として安定。

また、この分野は社会的意義が大きいだけでなく、一人ひとりの患者に合わせた細かな工夫が求められるため、業界全体が高度な技術を必要としている分野でもあります。

当社は一貫して“体に直接触れる素材や加工”を得意としてきました。コロナ禍でも、医療用雑品の需要は拡大していますし、義肢装具やサポーターも今後また復調していくでしょう。

「義肢装具は、患者さんの生活の質を高める役割が大きいですし、その観点から私たちも誇りと責任を持って製品づくりに取り組んでいます」(赤羽氏)

社員全員で“考え”を回す会議へ

事業承継後、すぐに赤羽社長は月次の数字だけに着目する会議を見直しました。代わりに、商品会議を導入し、社員一人ひとりが扱っている商材やノウハウを共有する場をつくっています。

卸売・製造業は、お客様の景気や時期的な需要に左右されがちです。数字をひと月単位で追うだけでは、あまり有意義ではありません。

そこで、四半期に1度の業績チェックに加えて、他の月は“商品会議”を実施。

新旧含めさまざまな商材を持ち寄り、共有し合うことで、どんな組み合わせができそうか、どんな新製品のヒントがあるかを考える時間にしています。

大きなヒット企画こそまだ出ていませんが、新規のお問い合わせへの提案内容の幅は広がり、さまざまなマッチングが増えています。

「ウェアラブル」の時代へ ~今後の取り組み~

中期・長期的な展望として赤羽社長が注目するのは「ウェアラブル製品」。

単なる“服”だけでなく、「着る・装着する」という意味で、今後は医療のみならず、宇宙開発など多岐にわたるフィールドでの需要が期待される分野です。

ITや電子機器を身体に装着する際、クッション材や繊維資材が体への負荷を和らげる役割を担います。ここに弊社ならではの強みが活きるはず。

「社会課題を解決する新しいウェアラブル製品を、顧客と一緒につくっていきたいですね」(赤羽氏)

また、東京・高円寺本社の1階を試作・展示スペース&カフェに改装する計画も進行中。近所の方や取引先が気軽に足を運んで、素材やミシンの動きなどを見られる場所を目指します。

「高円寺の文化を感じられる空間にして、地域の方々にももっと繊維や医療関係に興味を持っていただきたい『あ、ここで自分が使っているものづくりが行われているんだ』と感じてもらえたら嬉しいです」と赤羽氏は語ります。

技術継承と“仕組みづくり”への挑戦

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中小の繊維・加工メーカー共通の悩みが人材と技術の高齢化・継承です。同社もその点は大きな課題と捉え、スキルマップ化による教育やプロセス整備を進めています。

縫製現場は“職人的”な部分が多く、“見て覚えろ”という気質がまだ残っています。

しかし、それだけでは新しい世代に技術が伝わりにくい。そこでスキルを階段状に細分化し、自分がどれだけ成長したかを可視化できるようにしています。

また、営業サイドにおいても、ただ“モノを売る”のではなく、お客様と一緒に製品を形にしていくための提案力や法制度の知識など、幅広い視点が必要になります。

そうした力を伸ばす仕組みづくりを、ようやく動かし始めたところです。

「感謝と恩返しの輪を広げる」ために

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株式会社総和は、メディカル分野を主軸に多様な製品・サービスを提供しながら、常に“次”を見据えた取り組みを続けています。

コロナ禍や繊維業界の縮小傾向といった逆境も、柔軟な発想と技術力を掛け合わせて乗り越えようとしているのが印象的です。

同社の経営理念は「巧みなわざを向上させ 感謝と恩返しの輪を広げることで 豊かな生活に寄与する」。

たとえば、自社が開発に携わった医療雑品や義肢装具を、いずれ家族や友人が使うかもしれない。

そんなときに「ありがとう」と言ってもらえる製品づくりをしていきたい──赤羽社長の言葉からは、ものづくりへの真摯な想いと、社員同士の相互尊重を大切にする姿勢がうかがえます。

これから先、ウェアラブル分野や試作スペースの充実化など、同社が仕掛ける新たな一手がどんな化学反応を起こしていくのか。

「地に足をつけつつも新しい波を生み出す」──その姿勢は、中小企業のみならずすべての企業にとってヒントとなるはずです。

【会社概要】
– 社名:株式会社総和
– 代表:赤羽 立矢
– 事業内容:
     ・商品開発および生地調達:用途に応じた生地の調達やラミネート加工
     ・OEM生産:小ロット生産にも対応、医療用バンドや美容機器カバーなど
     ・自社工場加工:国内生産により、高品質で迅速な加工
     ・外部委託加工:自社ネットワークを活用し、ウェルダー加工や縫製など多様な加工に対応
– Webサイト:https://www.sohwa.co.jp/