磯島さん

――新型コロナウイルス感染症を契機として、転換点を迎える中小企業経営にはどんな課題がありますか。

新型コロナウイルス感染症の流行が一段落し、日本経済が正常に戻る中、転換点を迎える中小企業経営には以下のような課題があります。

1.人材不足: 人手不足が続いており、中小企業にとっては大きな課題となっています。例えば、製造業では技能労働者の不足が深刻化しており、後継者問題も顕在化しています。

2.資金調達: 資金調達に関しては、中小企業が融資を受けることが困難であることが多く、資金繰りに苦しむ企業も少なくありません。

3.デジタル化: デジタル化に対する取り組みが遅れている企業が多く、情報システムの導入やIT人材の確保が課題となっています。

4.新規事業の創出: コロナ過を経て人々の生活様式も変わり、企業はこれまでとは異なる事業の創出が必要ですが、新規事業の事業計画策定も自力では難しく、さらに実行にあたっては上記3つの課題が立ちはだかっています。

当社は、中小企業経営に伴走しながらトータルサポートすることで、これらの課題を解決するお手伝いをしています。

――ProsWorkではどんなサービスを提供しているのでしょうか。

当社は、マーケティング・営業戦略・PR・採用・人事・IT/DX・製造など各領域に特化したコンサルタントが在籍し、中小企業の経営をトータルにサポートできる体制を整備しています。これまで以下のようなサービスを提供し、中小企業の課題に応えてきました。

1.経営コンサルティング: 経営戦略・事業戦略の立案、ビジネスプロセスの具現化、事業計画策定支援など、お客様の課題に応じて、実現可能な最善の方策を導き出して、企業・組織の成長を支援します。

2.IT導入・活用・業務効率化支援: お客様の業務プロセスを分析させていただき、最適なITソリューションの提案から導入、業務への定着までをご支援することで、経営改善・業務効率化を実現します。また個別の課題解決にとどまらず、全社的なシステムグランドデザインについてもご支援いたします。

3.研修・セミナーの企画及び運営: お客様の組織や経営課題をお聞きしたうえで、柔軟な研修・セミナーを企画、開催いたします。経営者、管理職、新入社員向けなどの階層別研修、マネジメント、コミュニケーション、ビジネススキル、キャリア開発、営業・販売、最新技術などのテーマ別研修を提供しています。

当社はさらに、中小企業のDX(デジタル・トランスフォーメーション)・省力化を補助金活用しながら支援する新サービスを開始し、中小企業の強力なサポーターとなります。特にDX(デジタル・トランスフォーメーション)は単なるデジタル化ではなく、企業の変革が必要であり、経営戦略から従業員の作業改革まで多岐にわたるため、外部の力は不可欠です。

これからの時代、中小企業のDX化は避けられない

――中小企業のDX化はハードルが高そうですが、どうやって推進していきますか。

中小企業等は人材、情報、資金の不足という課題を抱えており、自社だけでDXを推進することは容易ではありません。人材面では、外部の専門家などが中小企業でも使いやすいデジタルツールを提供する企業と連携し、伴走しながら中小企業への導入を支援すること、そして情報・資金面では、新たな取り組みに対する事業計画策定を支援し、その計画をもとに補助金活用・融資などの実行につなげることが重要だと考えています。

経済産業省は、持続的な賃上げを目的に、足元の人手不足に対応するためのDX化・省力化等による労働生産性の抜本的な向上と事業規模の拡大を図るために大規模な設備投資が必要と言っており、中小企業がこれらの取組を推進するためには、外部の大きな支援が不可欠です。経済産業大臣登録の中小企業診断士が多数在籍、国が認める認定経営革新等支援機関でもある当社だからこそ、伴走支援が実現できると自負しています。

――磯島さんはこれまでどんなキャリアを歩んできたのでしょうか。

株式会社NTTデータでシステムエンジニアを15年経験した後、コンサルティングファームにて大企業の新部門立ち上げや管理職育成などの支援を3年程度経験し、2017年に個人事業主として独立しました。中小企業診断士の資格はNTTデータ在籍中の2013年に取得しています。

独立と同時に、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)に所属し、中小企業に向けた情報セキュリティ普及啓発を行いながら、コンサルタントとしても活動を開始しました。その後、株式会社コンサラートという中小企業診断士が多数所属するコンサル会社のメンバーとなり、2019年には中小企業のデジタル化推進を支援するための中核メンバーとして執行役員に就任しました。IPAには3年ほど在籍し、『SECURITY ACTION』という中小企業自らが情報セキュリティ対策に取組むことを「自己宣言」する制度の立ち上げから、制度の普及活動として全国各地を飛び回っていました。

2020年5月にコンサルタント仲間5名と株式会社ProsWorkを設立し、現在に至りますが、現在は2023年から東京都が新たに開始した「企業変革に向けたDX推進支援事業」の専任アドバイザーも務め、DX戦略の策定やICT、IoT、AI、ロボット等のデジタル技術の導入検討から活用までを一貫して伴走支援しています。

IT企業・IoT企業などと連携して、中小企業のDX化・省力化を推進していく

――製造業向けにシステムを提供する株式会社バーネットとの提携をしました。新サービスはどのような内容でしょうか。

株式会社バーネットは製造業向けに各種管理システムを開発・提供する会社です。自社で開発したパッケージの提供から各企業向けの個別システム開発まで実施可能です。中小企業は自社の業務をシステム導入により効率化したいと考えても、このようなIT企業にどのように伝えて良いか分からないケースが多く、IT企業も中小企業の課題・ニーズを引き出すことが苦手です。そこで当社がその間に入り、課題・ニーズの把握、さらにはシステム要件定義・プロジェクト管理までサポートすることで導入をスムーズに進めるサポートを実施します。

さらには、この取組をDX戦略策定と位置づけ、事業計画策定を支援することで、新たなシステム投資に必要となる費用に対して、『ものづくり補助金』の活用ができるようなサービスとして提供します。これにより、中小企業はDX化を進めるうえでハードルとなっていた人材、情報、資金の不足という課題を一気に解消することができます。

――今後、どのように支援を拡大させていきますか。

新サービスでは、まずは製造業を中心に進めていきますが、中小企業が使いやすいシステム・サービスを提供する企業との連携を順次増やしていくことで、様々な業種のあらゆるニーズに応えられるサービスとしていきます。すでに数社のIT企業・IoT企業との連携を進めています。

当社は各領域に特化したコンサルタントが在籍し、中小企業経営のトータルサポートが強みです。DX推進のポイントは、企業の強みを見出して新たな取組を推進すること、そこにデジタル技術を活用すること、そして従業員含めた組織がスパイラルアップしていくことです。

当社の新サービスを活用して、大きな転換点を迎える中小企業経営がDX化を推進し、新たなスタートを切ることができれば、これほどうれしいことはありません。