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話題騒然!!

ベール脱いだ驚異の固液分離装置

株式会社CMS スラリー濃度2%の珪藻土から99.6%の固形分回収

◆取材:綿抜 幹夫 / 文:大高 正以知

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設計の段階から、大手製鉄会社や半導体メーカーなど、主に金属系、機械系業界の熱い注目を集めてきたCMS(埼玉県春日部市)の新型固液分離装置(懸濁液の微細粒子と液体を分離する装置)が、ついにベールを脱いだ。これまでの概念を覆すタテ型遠心構造が大きな特徴で、分離性能と脱水率が格段にアップしたほか、基礎工事等を含むイニシャルコストの低減、更には24時間省エネ連続無人運転を可能にするなど、紛れもなく〝新機軸〟の登場と言っていい。

 

ナノレベルの超微細粒子も分級回収

 

装置の名称は「レックス/LCSS」。ひと言でいうと、固体と液体の比重差を利用して、従来とは比較にならないほど精度の高い分級、分離、脱水率を実現したスーパー遠心分離機である。銅、銀、錫などの非鉄金属、水素吸蔵合金、ファインセラミックスなどの新素材(電子機器の材料)、硫酸亜鉛、硫酸ニッケルなどの工業用薬品、カーボンブラック、消石灰などの化成品ほか、ありとあらゆる懸濁液の処理(貴重な産業用素材の回収や、廃水、湖水の浄化)に絶大な威力を発揮するという。

スラリー濃度2%の珪藻土(珪藻の遺骸などから成る海底や湖沼のドロドロした堆積物)を試料に使った実験では、なんと99.6%もの固形分を回収しており、その固形分の含水率も実に21.7%(従来型に比べて5~20%減)という、驚異の脱水性能が立証されているのだ。

 

メカニズムは図の通りで、簡単に説明するとこうだ。

内部は大きな回転筒と上下2段に分かれたスクリューとで構成されており、いずれも同じ方向に高速回転をするが、その速度には、出力2軸の差速装置によって僅かな差がつけられている。この僅かな差が強い遠心力と推力を生む言わば秘密の仕掛けで、懸濁物(固形物)の粒径や比重によって、その都度適正にコンピューターでプログラミングされるという。上部から入った懸濁液は、差速装置のある駆動軸を通り、高速で回る回転筒内に入る。ここで遠心力が働き、固形物は脱水に脱水を重ねながら回転筒の内壁に叩きつけられる形で付着し、続いてスクリューの翼で掻き落とされ、下部の排出口から出て行く。一方、比重の軽い分離液は、推力によって逆に上昇し、上部の堰(せき)を通って、装置横の排出口から流れ出るという仕組みである。

更に驚くべきは、その分級(固形物の粒径によって沈降速度が変わることを利用した、篩=ふるい=では不可能な微細粒子の仕分け)能力だ。上述の処理を施した分離液を再度装置に流し込むと、1回では分離しなかった(分離液といっしょに上昇した)微細粒子が今度は内壁に付着し掻き落とされる。これを数回繰り返せば、なんとナノ(10億分の1m)レベルの超微細粒子まで回収が可能になるのである。他にも、

 

Ⅰ、基本的には回生電力で稼働する仕組みになっており、モーター1台分の電力で運転することができる(通常は2台分必要)。

Ⅱ、タテ型、下方開放型構造、リモートメンテナンス方式により、24時間365日、連続無人運転ができる(人件費やメンテナンス費が大幅に軽減)。

Ⅲ、振動が少ないことから、設置するのに大掛かりな基礎工事を要しない上に、高い遠心力下でも極めて低騒音で稼働する。

Ⅳ、脱水効率が非常に高い(含水率が低い)ため、高効率な製品回収が可能で、乾燥コストの軽減や歩留まりの改善に効果的。

Ⅴ、凝集剤など、消耗品を必要としないのでランニングコストも低くて済む。

 

等々、メリット満載である。しかも環境対策にも万全を期しており、同社社長の北田浩氏は次のように言う。

「工場廃水のリサイクルに、廃水中のレアメタルや医薬品原料の回収、資源の再利用の必要性など、私たちが今直面している様々な問題を考えて、これまで全社一丸となって開発に邁進してきました。ようやくこのレックスを世に出すことができたことに、産業人の一人として、また一人の日本人としても、たいへん嬉しく思っています。今後は一人でも多くの賛同者が現れ、私たちと手を携えて、環境浄化に努めてくれることを祈るばかりです」

製品についての詳しい情報は、同社のホームページで。

04_Topics_CMS01(右上)液体と微細粒子を分離/(右下)㈱CMS社長の北田浩氏/(左)今年5月22日〜24日に行われたLCSS実機試験見学会の様子

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■株式会社CMS(シー・エム・エス)

〒344-0057 埼玉県春日部市南栄町11-7

TEL 048-761-2267

http://www.na-no.com

 

2013年7月号の記事より

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