活動歴 72 年、キャンパスを飛び出す慶應最大の学術系サークル 経済新人会に迫る!
◆取材:沙云帆
サークルと聞くと遊び耽っていたり、逆に社会貢献に精を出したりする団体を思い浮かべることが多いが、最終授業終了のチャイムが鳴ってもまだ学問に飢えている学生も多い。
今回は彼らの受け皿になっている慶應義塾で最大規模のサークル、経済新人会に学術系サークルのこれからのあり方を問うた。
―経済新人会は創立 72 年の歴史ある慶應最大の学術系サークルと聞いています。
はい。経済新人会には五百人以上が在籍してます。
萩野矢 裕紀 経済新人会日吉代表
組織が大きいので、 金融、財政、時事 経済、貿易、マーケティングの五つの部門で活動しており、それを取りまとめるのが全体執行部代表である私、萩野矢 裕紀です。
-どのような活動をされていらっしゃいますか。
例年のメイン活動は新歓論文と三田祭論文です。これは春学期と秋学期に、一年生が先輩の 指導のもと、三年から入るゼミの前段階となるトレーニングであるレポートの製作を行うものです。
五人程度の班で作成し、内容の出来を競います。また、秋学期のレポートを三田祭で発表するので是非見にきてください。
-わかりました。三田祭では講演会も企画されているのですよね。
三田祭の講演会では各界の著名人や政治の第一線で活躍してきた方を招いてご講演をいただく場で、社会人との交流と普段接する機会がない他の研究会と交流することを主眼においています。また、経済新人会のブランディングにもとても良い効果を与えていると考えています。
今年は慶應 OB の株式会社麻生代表取締役の麻生巌氏をお招きし、「地方・日本の 未来 衰退していく環境から世界を変えよう!」という演題でお話をいただきました。
また年 3 回、東京大学、防衛大学、一橋大学などの学術系サークルと合同勉強会を行い互いに知見を深め合っています。
―勉強熱心でいらっしゃいますね。やはり参加者は意欲的な方が多いですか?
こう聞くと、名前も相まって非常に硬派な団体かと思われますが、実際は旅行や遊びにも積極的です。
イベントの様子
例えば、今現在マーケティング研究部がスノボに行ってます。 あとは春にディズニーに行ったり、活動後に日吉で OB を交えて夕食を食べることもあります。
なので、想像以上に多様な学生がいますよ。
―どんな部員が在籍してますか?
在籍している人は、学部でいうと経済学部、商学部で 9 割ほどですが、金融研究部には理系も所属しています。論文に取り組む人、外部の勉強会に行く人、ベンチャーを立ち上げる人、 またインターンをしてる人も多く、人的ポートフォリオは完璧だと思っています。
僕自身、 政治系のインターンをしています。将来は金融で働きたいと考えていますが、違う世界を見るのも大切なので、自分が将来関わらなくても重要な世界をよく見ておくためです。ロビー 活動や政治家の発言一つで市場がころっと変わることもありますし。
―そういった観点は外せないですものね。将来は金融の道を歩みたいとのことでしたが、きっかけはなんですか?
高校の頃、OB 訪問で野村證券のトレーディングルームを見学する機会がありました。「ここで世界を相手に市場を動かしているのか!」と感銘を受け、金融に進路を決めました。
―これから何か増やすものはありますか?
私の知見を深めるきっかけとなった外部の勉強会やインターンなどはサークルで知り合った先輩から紹介されたものであり、このサークルがなければ今の私はいなかったと思います。
なので、この交流の面を大切にしたいです。この目標を達成するに当たって今年考えているのは企業とのコラボを増やすことです。学生の考えることは限界があって、動かしたことがある金額や経験の差を考えると、社会の内実を知る人の話を聞くことはとても有意義 だと思うからです。
社会人にご指導していただきながら、参加者一人一人の力を高めて、アウトプットをする場も作っていく。経済に対する見方と発表する力を身につける環境を整えて、経済へのアプローチを通して人格を磨くコミュニティとしての経済新人会を作っていきたいです。
そして人的ポートフォリオの優位性を活かして、経済を使ったコミュニティの構築、研究部間交流の活性化という横の繋がりと、社会人との繋がりという縦のつながりを運営として強化して行きたいです。
―最後に来年度の抱負をどうぞ!
我が国は少子高齢化など難しい課題を抱えている一方で改革が進んでいない側面があります。
その中でこれからも生きていかなければならない私たち若い世代には、若さゆえの適応 力と現状に対する多大な危機感があります。しかし我が国において実際に力を持っている のは残念ながら、現状への理解が私たちとは違う人々です。
このようなチグハグな環境下で は自分自身の価値を高めることで他者に依存せず、この国の厳しい状況を乗り切るしかないと私は思います。その力を養う場としてこのコミュニティ、経済新人会を広げていきたい です。