株式会社Gifted(ギフテッド) ‐ 『古き良き日本女性』のライフスタイルを目指して
株式会社Gifted(ギフテッド) ‐ 『古き良き日本女性』のライフスタイルを目指して
◆取材:綿抜幹夫
しなやかに明るく人材教育の新天地を切り開く
昭和の時代ならまだしも、平成の世に「日本の古き良き女性が持つ文化を取り戻したい」と堂々と言ってはばからない女性がいる。
それも30代の女性だから驚きだ。確かに高度成長期には女性がしっかりと家庭を守り、男性は家族のために仕事に専念する。そういった時代があった。だが、男女雇用機会均等法にはじまり、欧米型の自由資本主義経済が日本を席巻している現在、加工し輸出して外貨を獲得するという我が国の国情の基本はすっかり揺らいでしまった。働く環境もがらりと変わった。
そんな時代に、日本女性の本来の役割を意識しながら、人材教育の分野に新風を吹き込む女性経営者が誕生した。
母は家を守り、父は仕事一途な家庭で成長
明るいさわやかな笑顔が魅力的だ。「古き良き日本女性になりたくて起業をしました」とさらりと語るのは、今年、株式会社ギフテッドを設立したばかりの代表取締役・杉田恵美氏。
前職は大学卒業後に入社したリクルートグループで、11年間に優良中小企業や多くの業界トップ企業の人事全般を担当してきた。
「私にとってリクルートは全てでした。リクルートそのものが社会のすべてだと思っておりました(笑い)。リクルートに対して不満があったわけじゃないんです。お給料もまあ普通にいただいていましたし。『もらっている以上は会社に尽くさなきゃ』っていう考えでした」
その考えに変化があったのは、〝自分の今後の人生〟に思いを馳せた時だった。子どもの頃を思い出すと、父は厳格だが尊敬できる存在。いつも家には母親がいて、学校から帰ってくるといつでもその日の出来事や相談事を話せる家庭で育った。何より自身の母親に女性としての究極の姿を見いだしていた。
「女性も仕事をして男性も育児をする、家庭と仕事を共同でやるという現在の流れに対して、実は反対なんです。少子化が進んでいる世の中、平均年収が300万前後と以前よりも低くなっている現状、それもすべて古き良き日本の女性のスタイルが崩れているからではないか。以前は女性がしっかり家事をして家庭を守っていたため、男性は仕事に打ち込めた面が多々あると思います」
さらに深く探っていくと、リクルート時代の問題点に突き当たる。同僚の中には時短勤務者も多かったというリクルート。10時から16時までの勤務時間は基本的に自分の仕事(主に営業)オンリーで、朝夕に行われていた研修やミーティングに参加できない。当然資料がない、知識がないなどのハンデを抱えてしまう。家庭とのバランスを取ろうとして選択した時短勤務も、その人の精神的苦痛の上に成り立っているのが実情なのだ。
起業のもう一つの動機はこの「時短勤務で苦しんでいる人たちも含めて、何か新しい形で働ける場をつくること」だった。「家庭を守るとか子育ての時間を大事にする、それでいてストレスなく仕事ができる環境をつくりたいと思ったのです」と杉田代表。
更新できる営業教育マニュアル・アプリを戦力に
「日本の古き良き女性の家庭のカタチを、もう一度日本の文化としてアピールしたい」。とは言ってもフルタイムで働く女性も多く、その中で時短勤務者は精神的につらい状況であるのは前述の通りだ。
そこでギフテッドの人材教育システム。最大の売りは勤務以外であるため受けられない研修や会議を、フルタイム勤務者と同等のパフォーマンスとして受けられることができる点だという。その結果、時間も有効に使え、家事や育児にも余裕が生まれる。日本の古き良き女性の理想像に近づくわけだ。
では具体的にはどんなシステムなのだろうか。
「基本はマニュアル作成とテスト、ナレッジ教育になります。要はナレッジ共有で、研修内容をマニュアル化しアプリを利用していつでもどこでも学習することができる。もちろん動画も入れられるようになっています」
自分のペースでマニュアルを学べる環境ができると、通常、経験値が少なく〝売上を上げる営業マン〟になるために時間がかかる時短勤務者にとって、売れない期間が短くなり、それにつれて仕事自体の面白さも分かってきて楽しくもなるという構図だ。フルタイム勤務者にも同じ効果が望めるという。
また人材教育の問題点は、〝研修・E─ラーニングで学んでもその場限りで日々の業務にアウトプットできないが、企業側は教育をしなければならないため、結局その義務を果たすこと自体が目的となってしまっている〟ことにある。
研修ひとつとっても、行った直後は「学んだ感、やった感」に浸ることができてクライアント側の満足度も高いが、中長期での従業員の成長成果が見られず、研修のもつ本来の意義が失われている場合も多い。
これは「一日のみのスポット研修」「知識のみをインプットするE─ラーニング」「大手企業向けコンサルタント常駐」と3つのスタイルに集約される今までの人材教育のいずれもが、一過性で効果が長続きしないからだ、と思われる。
「その点、ギフテッドではその企業ごとに完全カスタマイズしたマニュアルを作ります。よくある研修の資料ではありません。そしてそのマニュアルは常に営業現場での活用を想定した最新のものに更新できるアプリにし、日々業務で起こるトラブル、顧客とのやり取りなどをケーススタディ化した択一式テストも組み込みました。だから研修効果が持続できるのです」
ギフテッドのシステムは、進化系マニュアルに実践型テストを組み込んだことで、今までの人材教育には存在しない大きな武器となる。それは人材系会社などの同業他社が、たとえ人材採用をうたい文句にしたとしても、ギフテッドは『人材採用より先に実践に役立つ教育を』と強くアピールできるからだ。
これからは労働人口が減少の一途をたどり、採用コストは高騰またはそもそも採用不可能の時代に突入すると予想される。採用のハードルも下がり、新入社員の質がどんどん下がっていってしまう。その時には自社で採用し、定着・戦力化させていくための教育のクオリティアップが必須となる。その局面で最大限効果を発揮するのが、ギフテッドの更新できる営業教育マニュアル・アプリなのだ。
外国の人からも魅力的と思われる仕事環境を
杉田代表が考える『日本の古き良き女性のライフスタイルや文化』の想いは何も日本人だけに向かっているわけではない。5年後のオリンピックに向けてこれからは今以上に外国から様々な人が日本にやってくる。観光客はもちろんだが、介護職などで働くことを目的にする人も。ところが、日本で働きたいと思っている人は、実は減っている現状がある。
「最近まではベトナムなどの新興国の人たちが日本で働きたいとやってきていたのですが、今はメリットがない。これまで日本で働けば高いお給料をもらえましたが、自分たちの国がどんどん裕福になっているので、日本に来て働く理由がなくなってしまった」
なるほど、今の日本は外国人から見ればマネー=ハッピーではなくなったために魅力のない国になってしまったようだ。
「ただ、日本に来たいと思わせるような何か、たとえば文化に触れたいでも何でもいいのですが、何か惹き付けるものをつくり上げていきたい、と思うのです」
そのためには外国人も日本人も双方の意識を変えなくてはいけないという。たとえば外国人と働くのは避けたいと考える日本人が多く存在する。実際、コンビニのオーナーの中には外国人を採用しないこともある。
なぜならば日本特有の気くばり・心くばりといった、日本人ならわかって当たり前のことを教えなければならないからだ。一例をあげると、お釣りを渡す場合に両手を揃えるところを片手で渡してしまうとか、お弁当も水平にレジ袋に入れないで縦にしてしまうとか、本当にちょっとした心づかいなのだが。
「それが問題なら、外国の方には日本人の文化だとか心くばりというものをきちんと伝えることができればいいわけですし、受け入れ先も、外国の方は日本の文化を学びに来ているのだからきちんと伝えなければ、というように意識を変えればいいのです」
だが、日本の文化に基づく習慣などを現場で教えるのは大変ではないだろうか。
「それはもうギフテッドのシステムでできますよ。あとは日本の文化に興味があるとか、日本の文化を学びたいと思ってくれる外国の方を集める。そうすれば日本の労働人口がどんどん減っていく中で、外国人活用というのも上手くいくんじゃないかなと思っています」
さらにその先はどうなのだろうか。
「女性活用はもちろん外国人活用、今はシニア活用ということも言われているじゃないですか。年配の方々もそれぞれの経験値があって、そういったものをマニュアルに入れ込んで企業の活性化を図ることも視野に入れています」
◇
話の端々で響く明るく心地よい笑い声が印象的な杉田代表。しっかりとした家庭環境の中で素直に成長し、着実なキャリアを築き上げてきた彼女が掲げた「日本の古き良き女性」の理想像。その高みに向かって、本来持つしなやかな資質が花開く日はすぐ目の前にある。
同社アプリのTOP画面(イメージ)
杉田恵美(すぎた・えみ)氏…1981年、愛知県生まれ。名古屋外国語大学卒業後、2004年リクルートグループ入社。11年間に3万社にも及ぶ新規開拓、研修、人事戦略策定、採用活動体制構築提案、サーベイ等コンサルティング営業など様々な営業経験を積む。社長賞受賞他、MVP、拠点ギネス売上記録多数。リクルートグループ退社。2015年4月株式会社ギフテッド設立。
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