株式会社エイワ ☓ ネジクル 対談 顧客要望を汲み取る大切さ。自動車足廻り機器に込められた想いとは
株式会社エイワ ☓ ネジクル 対談
顧客要望を汲み取る大切さ。自動車足廻り機器に込められた想いとは?
◆取材:加藤俊 /文:小林英隆
株式会社エイワ 前中勝彦氏(代表取締役社長・写真左から二人目)、相良尚孝氏(商品部 技術サービス課長・写真左) /聞き手:株式会社ツルガ 敦賀伸吾氏(写真右)、宮嶌佳代氏
自動車のタイヤなどの足廻り機器で高い国内シェアを誇る株式会社エイワ(兵庫県西宮市)。
自動車足廻りを支え続ける想い、製品に求めるネジの品質について、ECサイト「ネジクル」の運営を通して取引関係にある株式会社ツルガの敦賀社長がお話を伺った。
自動車の快適な走りを支え続ける
敦賀:創業50年を迎えようとされていますが、まずは貴社の事業について教えて下さい。
前中:自動車のタイヤ交換機をはじめとした整備機器を販売する『自動車足廻り整備機材事業部』と、チューブタイヤに必要なフラップの製造を行う『製造部門』の2つから成り立っています。
自動車足廻り整備機材事業部では、タイヤショップ様、ガソリンスタンド様、カーディーラー様などタイヤを販売されるお客様に対して、足廻りの整備機器の販売・設置・メンテナンスを行っています。
あまり自動車に馴染みがない方のために補足させて頂きますと、足廻りは人間の足腰に相当します。もしも足腰に不具合を抱えていると快適な歩行が不可能になるように、自動車も足廻りに不具合が発生すると安全な走行が難しくなります。この事業部は言わば「自動車の健康」を支えるための事業なのです。
宮嶌:どういった製品があるのでしょうか?
タイヤチェンジャー
前中:具体名をあげると、タイヤを交換し、ホイールに組み付けする「タイヤチェンジャー」、回転体であるタイヤとホイールの適切なバランスを測定・調整し、走行時の振動を抑制するための「ホイールバランサー」、4輪の車両への取り付け角度を測定・調整し、車両の直進性や走行安全性を確保するための「アライメントテスター」、各種作業時に車両を持ち上げるための「リフト&ジャッキ」、店舗外に機器を積んだ車両ごと出向き、作業を施せる「出張サービスカー」や「エアー充填機」などが主な製品になります。
また、機器の販売だけでなく、こうした機器を使いこなすための訓練や、安全研修などを本社内のトレーニングセンターを活用し展開しています。
敦賀:研修を開催される理由はどういったことなのでしょうか?
本社トレーニングセンター。大型トラックや作業車のタイヤ交換も行う。
前中:「走る・曲がる・止まる」の機能を担うタイヤのパフォーマンスを正しく発揮させるにはタイヤ交換、バランス調整などの専門的な作業が不可欠です。これら作業には知識や経験、そしてタイヤチェンジャー等の機器が必要であり、店舗における付加価値を生む部分です。
また、タイヤ交換の際の些細なミスは、各種事故に繋がる危険を孕んでいます。例えば、タイヤに空気充填時のバースト事故では死亡事故も発生しています。作業者の方に安全に機器をお使い頂き、プロの技術で自動車の快適で安全な走行を実現して頂く必要があるのです。
せっかく機器を導入頂いても、使いこなすにはそれなりの知識と経験が求められますから、研修は本社トレーニングセンターに加えて、全国でも受講できるように体制を整えています。
宮嶌:確かに運転中にタイヤが外れるなどのミスが絶対に許されない世界ですものね。徹底した教育体制を築いているのですね。製造部門で作っているフラップとは何なのでしょうか。
上:フラップ説明図 /下:フラップ製造の様子
前中:フラップはチューブ付きタイヤに使用されるもので、タイヤ内のチューブがホイール内面に直接、触れないようにし、保護する目的があります。見た目は腹巻きのような部品なのですが。
敦賀:現在の日本の乗用車で使われているタイヤは、パンクから解放されたチューブレスタイプが主流ですよね? 失礼ですが日本ではそこまで需要が高いように感じないのですが……?
前中:日本国内に関しては敦賀様のおっしゃる通りです。しかし、海外ではまだまだ道路が丁寧に整備されているわけではないので、耐久性の高いフラップとチューブ付きタイヤが求められるのです。またチューブ付きは悪路に強いだけでなく、重荷重にも適しています。
敦賀:なるほど。貴社のフラップは「海外市場の声に応える」という側面もあるのですね。
続いては創業から現在までのお話を聞かせてください。
顧客の声を汲み取りながら事業成長した
前中:パンクを修理するための補修材の製造販売からスタートした当社は一貫して自動車のタイヤに関連する仕事をしてきました。創業した1967年当時は、成長期で自動車の保有台数が増えている状況でしたが、道路はまだ現在ほど舗装がされていなかったので、タイヤのパンクが頻繁に起こっていました。その度に、タイヤを買い直すと高くつくので、補修材が求められていたのです。
宮嶌:補修材販売から現在の業態にシフトされたきっかけは?
前中:補修材も下火になってきたし、何か新しい商品を販売できないか?と模索していた時期です。きっかけは、作れないの?というお客様の声でした。それでやってみようと。
おかげさまで現在では、国内のタイヤブランド殆どの大手メーカー様にご愛用頂くまでになりました。
顧客の声に救われた『製造部門』
敦賀:順風満帆できたのですね。
前中:いえ、そんなことはありません。一時は、『製造部門』は閉鎖寸前になりましたから。「お客様の声」を意識し続けたから今も健在なのです。
敦賀:それは非常に興味深いですね。是非ともエピソードを聞かせてください。
前中:リーマン・ショックの影響で景気低迷が起き、市場からもフラップの需要が減少してしまい「製造部門を閉鎖するか?」もしくは「機材事業部へ吸収させるべきか?」経営判断を迫られる局面を迎えた事がありました。
敦賀:確かにその時期は原油価格の上昇がして自動車に大きな影響を与えましたよね。
フラップの製造工場
前中:しかし会長が「当社のフラップを望むお客様がいる限りは頑張ろう」と継続宣言をしました。やはり当社は「お客様の声」を大切にすることで成長を続けてきましたからね。求めて頂くお客様がいる限りは続けていこうと。
敦賀:商品を望む市場の声を優先されたのですね。
前中:その通りです。その後、他社が退く中で残ったこともあり、それまでお取引がなかった国内大手タイヤメーカー様からもフラップの製造依頼を頂くことに成功し、当社に大きな利益をもたらしてくれました。目先の損得に囚われていたらこのような事態の好転を産み出すことはできませんでした。
敦賀:まさに経営判断の奥深さをよく表したエピソードですね。
前中:やはり判断には責任がありますしね。実は昨年、より良い経営判断ができるようになるために中小企業診断士の資格を取得しました。
敦賀:なんと!珍しいですね。さっそく経営に役立つ事はありましたか?
前中:自社の強みの整理ができましたね。改めて考えてみると、弊社の新事業は全てお客様の要望に応えてスタートしていたのです。そうしたお客様の要望に応える姿勢があったからこそ、今日まで来れたように思います。
敦賀:と言いますと、『自動車足廻り整備機材事業部』もお客様の声で誕生したのですか?
前中:そうです。「日本にマッチしたタイヤ交換器を用意できないか?」と。それまでタイヤチェンジャーは欧州からの輸入品が主流でしたが、買ってきたままでは上手く使いこなす事ができなかったのです。
敦賀:なぜですか?
前中:これは、タイヤに対しての考え方の違いが原因でした。ヨーロッパではタイヤは靴と同じ扱いで、履き心地が重視されます。一方、日本では路面が整備されていることもあり、ファッション性が重視されますし、よりハイパフォーマンスが求められる傾向があります。
そのため、輸入した交換機をそのまま利用しようとすると、細かいところで不便な思いをすることがありました。要は、日本の文化にフィットしたタイヤチェンジャーの商品化が求められていた訳です。
敦賀:製品化により、売れたのではないですか。
前中:ええ、売れもしましたが、それ以上にお客様に喜んで頂いたことが嬉しかったです。というのも、それまでタイヤ交換は職人の技がモノを言う世界でした。
つまり、腕の良い職人を何人囲っているかが、直接、整備工場の評価を意味していたのです。しかし、その技術は形がない上に作業者によるバラツキにもつながっていました。それを、先進のタイヤチェンジャーを普及させる事で安定したタイヤ交換の標準化ができるようになりました。おかげで導入頂いたお客様のサービス品質向上とサービスの可視化に貢献できました。
敦賀:今後も現場からの声を大切にされていきますか?
前中:もちろんです。現場で求められるサービスは常に変わるわけですから、「お客様の声」を聞き続けなくては、良いサービス・製品を届けられなくなります。
実際にお客様の声を取り入れながら当社取扱い製品は改良を加え続けています。そのため先述の導入研修はもちろん、ご購入頂いたあとのメンテナンスを継続する事で、リレーションシップを構築しながら皆様の声を集めさせて頂いております。
品質のためにネジクルと巡りあった
敦賀:ネジクルの利用を開始したエピソードをお話いただけないでしょうか?お付き合いを開始してから5~6年になりますよね。
相良:強度の高い部品を探し求めている時に、ネジクルを見つけました。当時、タイヤ交換器の中には「ネジが緩みやすい」製品が一部で見受けられました。製造現地では品質を満たせる代替品を発見することができずに困っていたのです。
そんな折に貴社取扱部品と付替えさせていただいたら満足を行く結果を得ることができたのをよく憶えています。
宮嶌:ネジの交換は積極的に行われているのですか?
相良:はい、強度的に不安がある部品は日本市場に適応させるためにも積極的に交換します。他にも整備性を高めるために「頭部分のサイズが異なるネジを汎用性のある物に交換」などの改良を頻繁に行っています。貴社は商品ラインナップが非常に豊富なので、品質を向上させるための作業が楽になりました。
数ある選択肢の中からECサイトを利用する理由
相良:サイトを利用していて常々感じていたのですが、貴社は商品情報が豊富に取り揃えられているので、凄く勉強になります。
敦賀:ありがとうございます。他のお客様から寄せていただいた声なのですが、ネジの種類の勉強のために当社サイトを見る活用例もあったようですね。
相良:その活用方法はとても共感できます。同じスペックのネジであっても様々な種類が取り揃えられているので情報収集をワンストップで終えることができます。この利便性は本当に助かっていますね。他にも「サポート担当に伝言が残せます」の機能も良いですよね。
敦賀:ECサイトは一方通行になりやすいと感じていたので、伝言のように双方向になる取り組みを実現したく実装しています。
相良:「こういうネジが欲しい」って声も気軽に残せますしね。
敦賀:皆様からの声を積極的に集めていければと考えています。当社のような通販サイトは商社に続く、2番手に選ばれることが多いので利用方法を積極的に提案していきたいです。
前中:今後は当社のお客様からの声をフィードバックするなど、協力関係を強化できたらと考えています。
宮嶌:ありがとうございます。我々も「現場でどう使われているのか?」という情報を常々、求めているので非常に助かります。当社は取扱商品が60万点にも及ぶので、積極的に活用事例を提案するためにも「生の声」が本当に貴重です。
敦賀:現場からの声の反映はもちろん、活用例を増やすなど便利にご利用頂けるように努めます。本日はお忙しい中、ありがとうございました。
株式会社エイワ
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株式会社ツルガ
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