株式会社ミツバファクトリー ‐ 岡山発!リラクゼーション業界の風雲児は、お客様のため、スタッフのために邁進する
株式会社ミツバファクトリー 代表取締役 江見 慎之介氏
令和時代にさらに新たな事業を求めて!
岡山を中心にリラクゼーションのための「手もみ屋本舗」や岩盤浴などの事業を展開する企業がある。
その名は株式会社ミツバファクトリー。
2002年創業当初から『人こそが最大の財産』として人材教育に力を入れてきた。何を望んでいるのか的確に掴み取る、お客様への目線も確かだ。次々と新たな事業を実現に結びつけ成功している代表取締役の江見慎之介氏に、令和の時代を生き抜く秘訣を伺った。
スタッフのキャリア形成を支援する
無返済での奨学金の支給
ミツバファクトリーには現在パートも含め200人余りのスタッフが在籍している。その多くが高卒だという。
「中小企業の経営者は結構劣等感を持っていますよ。大手に勝てないとか、大手と同じような夢を見てはいけないとか」(笑)それと同じように「うちの社員にも劣等感のようなものがあるのではないか」と探ったところ、金銭面や学力などの理由で大学への進学を諦め社会人になったスタッフや、社会人になってから学士や資格の重要性に気づいたスタッフがいることがわかった。
スタッフが学歴コンプレックスを払拭し将来設計を抱けるために、企業にできることは何か。そこで江見氏は、大学卒業資格の取得のための支援策として、学費の半額を無返済の奨学金支給することを決めた。
「仕事に絡みながら4年間大学に行く、そこでとれた資格によって、次の人生選べばいいのではないか」と。
具体的には、教育提携を結んでいる学校法人順正学園が展開する吉備国際大学、九州保健福祉大学の通信教育部で学ぶことが条件だ。といっても、大手でもなかなかそこまでは踏み込めない施策である。
さらに江見氏は続ける。「せっかくうちで働くのだったら、4年間をこの先の人生を考える時間に当てて、仕事では出会えない同年代の人に知り合ったり、自分の可能性をもっと広げてもらいたいとも思う。1つ何かの資格を持っていると、次のステップに対して選択肢が増えるでしょ。もちろん自分の夢に向かうためには退職しても構わないですよ」
スタッフのステップアップを後押しするのは、人材育成や教育こそがミツバファクトリーの要であると確信しているからに違いない。
何か生み出すために父親の魂を受け継いだ起業
人材を育てるために、大胆とも言える施策導入を決めたミツバファクトリーの江見氏。本人は高校卒業後、写真関連の販売会社に就職して社会人としてのキャリアを積み重ねていたところ、不動産業を営んでいた父親の急逝により大転換を迫られたという。「専業主婦の母親と大学生の妹がいまして。幸いにも借金はなかったのですが、親父が残してくれた資産は300万ほどだった」
自身の給料だけでは家族を養えず、300万円をどうこれからに生かすか悩んでいたところ、「当時の会社社長がサラリーマンを続けながら、写真現像店を開くことを許可してくれました」
もっとも甘えたくないという意思の元、2ヶ月後には退社したが。「以前に父親から『不動産屋を継ぐか』と、聞かれたことがあって、僕自身は興味を持てずに結局継ぐことはありませんでした」
その時の残念そうな父親の顔が心に残った江見氏は、自分の仕事にプライドを持っていた父親の魂だけは受け継ごうと思い、不動産屋の屋号である‘ミツバ’を社名に取り入れた。「ミツバファクトリーは、父親の魂を継いだ私が何かを生み出す会社にする、という意味で名づけさせていただきました」
どんな状況にあっても工夫すればいい 夢を切り開くアイディアの数々
もともと商売はしてみたいという気持ちはあったが、江見氏には当初、これといった夢はなかった。というより「まずは飯が食えるか、です。父親から残された商売上の唯一のアドバイスがありまして、『銀行や信販など借り入れしても、その支払いの必ず期日を守るように』と」
というわけで常に支払いのことを考えてアップアップの状態だった。だが、メールが普及しはじめた際には、経費のかかる手紙よりメールをセールスの手段とした。1日の生活費を500円と決めて、その中でできる贅沢を追い求めた。「給料が入ると、米を買いに行って、それをほとんど炊いてしまい30日分に分けて冷凍しておくとか、夜のスーパーで閉店間際に半額になった刺身を買うとか」
はたから見れば、ずいぶんと苦労したと思われがちだが、「仕事や生活面で自分自身がアイデアを出して生きていくには自分は損しない」と思っていた。ところが自身で納得していたそうした生活にも慣れ、少しずつ商売が上向き借金の返済も終わる頃になると、自分の夢について考えるようになる。「子供の頃の夢って、自動車のプロのレーサーになることでした。きっと自分が走ると黄色い歓声が上がってカッコいいと思われたい。そんな子供らしい発想だったのでしょう」
夢を考え、持つことは、生活することに一杯一杯だった江見氏の中に、新たな展開へのステップが訪れたことを意味する。「落ち込んだ時はよく甲子園球場に行くのですが、バッターボックスに誰か1人入るとすごい熱狂の渦が湧くわけですよ。1人の人間の熱気がこんなに大勢の人間に行き渡るなんて。
人々を感動させることの凄さを見せつけられて、目指すものがないとダメだな」と実感したのだった。
夜遅くでも気軽に行けて、その日の疲れを癒せる場所づくり
夢を持つ大切さを実感する時期に、江見氏は考えさせられる経験をした。それは事業が軌道に乗るきっかけとなったチラシ配布により体調を崩して、マッサージ店に訪れた時だ。目的は身体への癒しや心のリラックス。ところが10年ほど前の岡山あたりでは、整体師個人が雑居ビルやマンションの一室などで営み、先生と呼ばれ、営業時間も病院と変わらない状況。そして決定的だったのは『体のどこが悪い、これは定期的に通わないと後々大変なことになる』と、逆に心が疲れるようなことを伝えられ、決してリラックスできる環境ではなかったことだ。
「病名をつけたがるし、お客様のことを患者と呼ぶところもありました。それじゃあダメだ」
今日の疲れをすっきりさせるために、働いている人たちのライフスタイルにもあったリラックスできる場所が必要と、リラクゼーション事業を開始。それが「手もみ屋本舗」の出発点だ。だから営業時間も仕事帰りに気軽に寄れて、1日の疲れを解きほぐしてもらえるよう、基本は夜10時までとした。例えば、アパレルの販売員をしていて足が棒になった人も、営業で歩き回った人も、スーパーや宅配で重たいものを持った人も、みんな「手もみ屋本舗」で身も心もほぐして、次の日の仕事へ気持ちよく向かうことができる。そんな場所を目指した。
今では営業時間が夜遅いマッサージ店は当たり前だが、江見氏が事業展開し始めた頃はほかになかったこともあり、収益も上がって、「手もみ屋本舗」のコンセプトも浸透した。現在では岡山を中心に広島、愛媛など38店舗展開。うまくビジネスチャンスを見出した結果といえよう。
お客様の役立つことを発見し、喜ばれることへのチャレンジ
現在ミツバファクトリーは、メイン事業の「手もみ屋本舗」についで「岩盤健康革命」という施設をきっかけに、昨年から岩盤浴事業も展開している。
「もともと岩盤浴は手もみと相性が良いサービスです。リラックスして、血流を促してからだを温める。デトックス効果もありそうですし、細胞の活性化などの効果も期待できます」
そんな時に皇輝石という岡山の山でしか採掘できない白亜紀の鉱石を発見した下山氏と出会い、岡山大学名誉教授で医学博士である上者教授がその鉱石を使って岩盤温熱医学研究会の研究を行なっていた施設に行きついた。
皇輝石の可能性と岩盤浴が、「手もみ屋本舗」の理念である“明日を頑張る活力を提供する”ことにマッチしたため、この施設の運営を譲り受け、新たなサービスの1つとして本格的に取り込むことを決意した。岩盤浴に注目したのにはもう一つ理由がある。
「手もみの場合はベッドの数だけ人が必要になるわけですよ。岩盤浴は石が働くので人はそんなにいらない(笑)。この業界では人手不足は日常化していますが、手もみと同等、あるいはそれ以上の効果が得られるものとして、人手がかからずお客様に満足していただける岩盤浴にシフトしていくことも考えています」と、江見氏。その根底には“今よりも良くなりたい”という思いがある。
「我々の商売って完成しているように見えるのですが。来店数もあって利益も出る、そこそこ回っているような感じではある。けれど、そこで満足してしまったら2番手3番手が追いついてくるだけです。さらに何ができるのかというものを、これからずっと考えて行かなきゃならない」
令和という新しい時代に何を見据えているのか、最後に江見氏は次のように締めくくった。「お客様が喜ぶことを常に考えていく。我々には大手さんには見えない街の変化とかがリアルタイムにわかる。世の中の流れを敏感に汲み取って、お客様に役立つ発見をしてチャレンジしていきたい」と。
商売を大きくしたいとか、ありきたりな答えをしない江見氏が率いるミツバファクトリーが、次に何を生み出していくのか、楽しみである。
プロフィール
江見 慎之介(えみしんのすけ)
1976年2月6日岡山県生まれ
高校卒業後、1996年に写真関連商品の販売会社に就職。2000年にPhotoshop328/中庄店(1号店)オープン。2002年有限会社ミツバファクトリーを設立。
2007年より「手もみ屋本舗 」事業開始。2008年に株式会社ミツバファクトリーへ組織変更。2016年より児童発達支援・放課後等デイサービス事業開始、おひさま事業所開設。2018年に事業本部を岡山市北区中井町へ移転。「岩盤健康革命」オープン。現在、株式会社ミツバファクトリー代表取締役のほか、日本リラクゼーション業共同組合代表理事、チャレンジリーグFC吉備国際大学シャルム理事も兼任。趣味はモータースポーツ。
株式会社ミツバファクトリー (ミツバファクトリー)
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