◆:文:大澤美恵

ジムでのトレーニングの風景

 

「人生100年時代」で有名な『LIFE SHIFT』の著者、リンダ・グラットン氏らによれば、現在、先進国に暮らす子どもたちの半数は100年以上生きる計算になるという。100年もの人生を充実させるには、少しでも健康寿命を延ばすことが不可欠だ。

近年は健康志向の高まりから、スポーツジムなどで汗を流す人が増えている。経済産業省の「特定サービス産業動態統計調査」によれば、フィットネスクラブの会員数は2000年には210万人だったのが、2017年には336万人にまで増加したという。(※)

そんなフィットネスクラブのひとつに、パーソナルトレーニングジムという業態がある。パーソナルトレーニングジムとは、どんなところなのか。GSトレーニング代表 畑聖弥氏とチーフトレーナー 林りん太郎氏に話を聞いた。

 

トレーナーの経験を活かしてパーソナルトレーニングジムを設立

都庁ビルや高層ビル群がそびえ立ち、昼夜を通して雑踏と喧噪に包まれている大都会、新宿。しかし、そんな大都会であるはずの新宿も、駅から5~10分も歩けばごくありふれた住宅街へがらりとその姿を変える。その住宅街の一角にパーソナルトレーニング専門のジムを構えているのが、GSトレーニングだ。

GSトレーニングがオープンしたのは2017年8月15日。代表の畑氏が、もともと同じパーソナルトレーニングジムで働いていた林氏を誘って、2人で立ち上げた。現在はもう一人トレーナーが加わり、3人体制で運営している。

 

「前の職場で昔、同僚たちと『いつかジムを一緒にやりたいよね』と冗談半分で話していたことがあって。その時から、『林さんを一番に誘おう!』と決めていました。なので、本当に独立することになったときに、ちょうど職場で林さんと2人だけになれることがあり、『僕、ジムを開くことになったので、一緒にやりませんか?』と話を持ち掛けたんです。そしたら、二つ返事でOKしてもらえました。」

 

林氏も、当時を振り返ってこう語る。

「僕は大学卒業後にバスケットボールのプロの選手になったのですが、いろいろな面で厳しくて、結局辞めざるを得ませんでした。プロを目指す中でさまざまなトレーニングを経験していたので、それを活かして前の職場でトレーナーの仕事に就いたんです。そうしているうちに、仲の良かった畑さんから誘いを受けて一緒に独立することになりました。今は、担当しているお客様の身体が、目に見えて変わってくるのがとても楽しいですね」

 

前職で運命的な出会いをし、ともに独立した2人。しかし、もともとパーソナルトレーニングジムでトレーナーとして働いていた2人が、なぜわざわざ独立してまで前職の職場と同じようなジムを始めようと思ったのだろうか。

 

業界最安値でのパーソナルトレーニングに挑戦

レンタルウェアも充実している

 

GSトレーニングの特筆すべき強みは、なんといっても業界の相場よりも大幅にリーズナブルな金額でパーソナルトレーニングが受けられることだ。巷でよく知られている有名大手パーソナルトレーニングジムでの料金相場は、2か月で20~30万円ほど。しかし、GSトレーニングでは、契約コースにもよるが同期間で10~15万円ほどにおさまるという。価格を抑えるために、できる限り広告費にはお金をかけず、内装も極力シンプルにすることで、コスト削減につとめた。

 

「この業界に入って8年間、何百人ものお客様を見てきたのですが、経済的な事情のために途中でやめざるを得なくなった方が何人もいました。そういう方たちって、運動をやめたら何もしなくなってしまうんです。せっかく運動をがんばってきたのに、元に戻ってしまったらもったいないじゃないですか。だから、もっと通いやすい金額でパーソナルトレーニングを提供したいと思っていました」

 

価格のリーズナブルさに加え、完全個室の中、マンツーマンで指導を受けられるのもGSトレーニングの大きな魅力だ。

 

畑氏が完全個室のパーソナルトレーニングにこだわったのにも理由がある。畑氏がそのような業態でジムを運営することを構想し始めたのは、大学を出て有名スポーツジムで働いているときに、日本初のプライベートジム「吉川メソッド」のことを知ったのがきっかけだったという。

 

「個室ってプライベート空間なので、他人の存在を気にせずトレーニングに集中できるんです。また、マンツーマンでお客様と向かい合うことで、オープンな空間では聞けないようなかなり深いお話をお客様から聞くこともできます。完全個室でのトレーニングは、お客様から本音を引き出して、本気で寄り添えるところが魅力ですね」

 

パーソナルトレーニングをリーズナブルに、また完全個室で受けられるだけあって、顧客満足度も高い。仕事の都合や経済的な事情で続けられなくなったケースを除けば、継続率はほぼ100%近いのだとか。顧客からも、「価格がリーズナブルで通いやすい」「スタッフとの距離感が近くてアットホームな雰囲気なのが心地よい」と評判だ。

 

自分の理想とするパーソナルトレーニングジムを作り上げた畑氏。しかし、意外にも子どもの頃は医者になりたかったのだという。医者を目指していたのにもかかわらず、トレーナーへの道を歩むことになったのはなぜなのか。

 

母子家庭で病弱な母親を助けながら過ごした子ども時代

「僕が高校卒業する直前に父が亡くなり、それ以降ずっと母ひとり子ひとりの家庭で支えあって生きてきました。僕の母親はもともと身体が弱く、子どもの頃からずっと母親のサポートをしてきたこともあって、将来は人の健康にかかわる仕事がしたいと思うようになったんです。しかし、現実的に考えると立ちはだかる壁が多くて……そんなときに、たまたま地元のスポーツセンターでトレーナーと出会いました」

 

当時畑氏が住んでいた家の近所に、1回数百円で利用できる公共のスポーツセンターがあった。高校1年生のときに、そこでトレーナーにトレーニングの補助についてもらったことが、畑氏にとってパーソナルトレーニングの原体験となる。

そのスポーツセンターに幾度となく通っているうちに、高齢者のトレーニングに寄り添うトレーナーの姿を度々目の当たりにするようになった。

 

「健康づくりっていうのは、つまり病気の予防ということです。病気を予防するには、それをサポートする人が必要だと考えています。病気をした後でリハビリテーションセンターに行けば、理学療法士などの専門家にリハビリのサポートをしてもらえるでしょう。しかし、病気やケガをしないようにすることこそが、本当の意味での健康づくりなのではないでしょうか。高齢者に寄り添いながらトレーニング指導をするトレーナーの姿を見て、病気予防の最前線に立って健康づくりをサポートできるのは、トレーナーしかいないのだということに気が付きました」

 

パーソナルトレーニングのトレーナーにおける本来の役割とは、人生のサポーターとしてその人に生涯寄り添うこと。畑氏がプライベート空間でのトレーニングを低価格で提供することにこだわったのは、お客様にずっと通ってもらうことで長期にわたって健康づくりをサポートするためだったのだ。

 

すべての人にパーソナルトレーニングを体験してもらうことが目標

畑氏によれば、今後は拠点を増やすとともにスタッフも増員し、事業を拡大していきたいのだという。夢は「どんな人でも通えるパーソナルトレーニングジム」を作ることだ。畑氏は力強く語る。

 

「最初は、ダイエット・ボディメイクなどを目標があって入ってきていただく方が多いんですが、2か月ほどで運動に対する意識が変わります。健康のために運動することの大切さが、実感としてわかってくるんです。価格の面で悩んでいる方や、パーソナルトレーニングに興味はあるけれど、どんなトレーニングをするのかイメージがわかず迷われている方もいらっしゃるかもしれません。しかし、日本に住んでいるすべての方に、一度はパーソナルトレーニングの世界に触れていただきたいと思っています。そしてトレーニングを積み重ねることで、身体が変わっていくのを実感していただけるはずです。また、同マンション内にですが、9月から第2号店をOPENすることが決定しております。この勢いを継続しながら店舗拡大をしていきたいです」

GSトレーニングには、福利厚生として従業員にパーソナルトレーニングを利用してもらえる法人会員制度もある。利用回数を20回・30回・40回・50回・60回の中から選び、チケットを購入すれば、従業員やその家族が利用できる仕組みだ。

林氏は、法人会員制度があることがGSトレーニングの強みだと語る。

 

「こういったパーソナルトレーニングの法人会員制度を設けているのは、現時点でGSトレーニングだけです。法人契約ができるというところは、僕たちがもっとも差別化を図れるところだと思いますね」

 

法人会員制度を設けた理由について、畑氏はこう話してくれた。

 

「当ジムは低価格といっても、最低10万円以上のお値段にはなってしまいます。そこで、会社の福利厚生として利用してもらうことで、より多くの個人の方にパーソナルトレーニングをご利用いただけるのではないかと考えました。1回でも体験していただければ、トレーニングの大切さや楽しさがきっと伝わると思います」

 

人生100年時代。100年も生きるのであれば、1日でも長く健康でいたいと誰もが願うだろう。健康寿命を延ばすために、パーソナルトレーニングをそのひとつの手段としてとらえ、一度チャレンジしてみてはいかがだろうか。

 

(※)経済産業省「特定サービス産業動態統計調査」<http://www.meti.go.jp/statistics/tyo/tokusabido/result/result_1.html>

 

Profile

畑 聖弥

GSトレーニング代表。

大学卒業後「GOLD’S GYM」を運営する株式会社THINKフィットネスに入社。その後、某パーソナルジムでトレーナーに従事した後2017年8月に独立して完全個室付きのパーソナルトレーニングジム、GSトレーニングを立ち上げ、代表に就任。以後、同ジムにてトレーナーとしても活躍中。

 

林 りん太郎

GSトレーニング チーフトレーナー。

大学卒業後、プロのバスケットボール選手を目指し、その中でプロ仕様のトレーニング経験を積む。その経験を活かし、2016年に某パーソナルジムに入社。その後畑に乞われる形で2017年8月に畑とともに独立。以後、同ジムにてチーフトレーナーとして活躍中。

 

GSトレーニング

所在地:〒160-0023東京都新宿区西新宿8-3-32 カーメル I 203

http://gs-training.jp/

アクセス:

丸の内線「西新宿」駅 1番出口から徒歩3分

JR線「大久保」駅 南口から徒歩6分

大江戸線「新宿西口」駅 D5出口から徒歩7分

 

<運営会社>

株式会社GSトレーディング

TEL:03-5937-0490

FAX:03-5937-0486

MAIL:support@GS-training.jp

設立:2016年6月

パーソナルスポーツジム「GSトレーニング」経営

割烹「肴やWADAN万作」経営

BAR「グラス」経営 店舗名変わりました。