経営者同士の新たなマッチングツール 多数の経営者クラブに割安で 〝お試し参加〟が可能になるアクセラレータクラブとは – 株式会社アクセラレータ
ネットにのみ頼って情報を集めると偏ってしまう。だから新聞などのアナログ媒体も活用して広く情報を収集するべき、ということはよく知られている。
「人間関係も同じです。SNSだけに頼って人間関係を広げていくと、大きな失敗をする」と話すのは株式会社アクセラレータ代表取締役社長及川真一朗氏。
彼は人間関係にドライと言われる若手経営者に向けて、新たな人脈形成の方法を指し示してくれている。
ITだけでなくリアルな交流も必要
株式会社アクセラレータは、経営者同士のビジネスマッチングのツールをITとリアルの両面から提案している。
「フェイスブックやツイッターなどのSNSは今、多くの人が利用して新しい人脈を生み出していると思います。
しかしSNSでは基本的には自分の発信したい情報のみを発信する。その人と実際に会ってみると全く違う印象だった、ということもよくある」
そう話すのは、株式会社アクセラレータ代表取締役社長及川真一朗氏。
この会社を昨年11月に立ち上げた。
「私自身、SNSを利用していますし利点は大きいと思っています。
しかしSNSにだけ頼って人間関係を広げていると、目に入ってくる情報が限られてしまい、相手の先に広がるもっと大きなネットワークが見えなくなってしまう。それによってビジネスのチャンスを失うことにもなりかねない」
そこで及川社長が改めて注目したのが、人と人との生の触れ合い、交流という極めてシンプルな方法だった。
経営者同士が出会い、交流する機会は多い。
特に数ある経営者クラブには各界の著名な経営者や役員が集い、情報交換をしている。これを有効に利用できないか。
「私自身、過去に30以上の経営者クラブに参加してそのメリットを知りました。その道の諸先輩方のお話を伺うことができるし、講演を聞くことができる。
自身の抱える悩みや問題を既に乗り越えてきた方からその方法を教えてもらうこともできる」
対する経営者クラブもまた、問題を抱えていた。
「参加者の高齢化です。昨今の若いベンチャーなどの経営者はこういう類いのクラブに興味が薄い。どこのクラブでもそれなりに年会費・参加費などを取りますが、その額は年間で数10万、1回の参加費が数万というところも多い。
そういう点が忌避され『ムダ』なものだと思われてしまう」
30以上の著名な経営者クラブと提携
だが、参加してみると思いがけない出会いやチャンスがあるというのは前述の通りだ。
そこで及川社長は各経営者クラブにこういう提案をした。
「まず各経営者クラブの方々に、非会員でもお試しでクラブに参加できるプランを作ってもらいました。これは参加費が無料で、このプランを若手経営者たちに勧めてクラブの活動を知ってもらう。そして試しに行ってみようという若手経営者たちを私が集める」
その仕組みはこうだ。
若手経営者に、及川社長が代表を務めるアクセラレータクラブへ参加してもらう。
そちらの会費は月額1万円ほどで、勿論アクセラレータクラブの中でも交流会などのイベントを行うが、大きなメリットはこのクラブに参加することで他の提携している経営者クラブにも無料、もしくは割安で参加できるようになる、というのだ。
「経営者クラブは参加費もかかるので、大抵の人は一つにしか参加していません。
しかしそれだとワクが決まってしまい、チャンスが狭まってしまう。だったら多種多様な経営者クラブに参加して、より多くの方と接触できたほうがいい。それでこの仕組みを作りました」
現在、30以上の著名な経営者クラブと提携、自由に参加をすることができる。
また各経営者クラブ側にとっても、なかなか参加してくれない若手が来てくれて刺激になると歓迎してくれているという。
双方にとっての更なる好循環がここから生まれようとしている。
ただニーズを繋げるだけではダメ
元々、音楽業界にいたという及川社長。
なぜビジネスマッチングサービスを始めようと考えたのだろうか。
「音楽の専門学校を出た後、音楽制作会社でモバイルコンテンツの制作を行っていました。当時は着メロが大人気だった頃で、ビクター系列の会社で着メロサイトを作っていた。それで友人に誘われてウェブサイトの制作会社を立ち上げた。2004年のことです」
その会社でソニーやKDDIなどの大手の仕事を請負い、2011年に独立。
その後2014年に内田雅章氏と共にTOP CONNECT株式会社を立ち上げる。
「このTOP CONNECTはリアルでの交流を主体とした会社だった。それでITに関しては自分が主導してやっていこう、と思いアクセラレータを考えました」
既にアクセラレータクラブは昨年4月から活動を開始しており、会員数は200名以上。毎月数十人ずつ増加しているという。
「ビジネスマッチングサイトとしては、LinkedInなどが既に人気を博しています。
また私が企画立案・プロデュースを行い、昨年10月にローンチしたCOLABOというマッチングアプリは執行役員以上の経営者限定としながら、開始僅か3カ月間で登録者1千人以上にまで拡大しました。
こういった点からビジネスマッチングサイトのニーズは間違いなくあると考えていた」
しかし及川社長が気になったのは、今までのサイトではただ互いのニーズを繋げるだけで、人と人との繋がることで新しい可能性を生み出そう、という志向が希薄だということだった。
「まず人が触れ合って互いの為人を確認し、それぞれがどのような興味も持っているか、リソースを持っているかというのを話し合う自由なコミュニケーションから、本当に新しいビジネスの可能性は生まれてくるものだと思います。
むしろそこにこそ、ビジネスマッチングの真の価値がある」
アジア一の経営者SNSを作る
今後の展開について及川社長に伺った。
「現在、経営者限定ビジネスSNSを新たに準備しています。これはプロフィールや紹介文に重点を置いているもので、例えばその人を他者がどう評価しているのか、という点が記載されていていて、それを元に交流を図ってもらう。
勿論リアルでの交流とも連動させていきます。
更に、そこで交わされたコミュニケーションをデータベース化し、今後経営者の方々が共有でき、営業支援や資金調達の役に立つようにしていく」
いずれは日本一の経営者のデータベースサイトにしていきたい、と及川社長は語る。
「このデータそのものに非常に高い価値があると思います。
例えば人材を探している経営者がここで知りあった人物が我が社の求める人材ではないか、と興味を持ったらここでのコミュニケーションのデータを提供しその人の詳しい為人を確認できるような、そういうマネタイズを組んでいくことができたらいいと考えています」
将来は北海道から沖縄まで、日本中の経営者がリアルタイムでコミュニケーションを交わせる、そんなサイトに育てて行きたい、そして更にそのネットワークをベトナムやタイなど、アシア圏にまで拡大していきたい、と及川社長は考えている。
「そうすることで、ベンチャーの芽が育つ前に枯れてしまうのを防ぐことができるし、反対に行き詰まり感に悩んでいる老舗企業が『ウチならその手助けができる』という気づきを生むことにもなる。
至るところで新風を巻き起こすことができると思います」
「ベンチャーの経営者は圧倒的に持っている情報量が少ない。経験もない。
彼らがもっと色々なことを知ったら、もっと面白くなる仕事ができるはず」と話す及川社長。
新しいチャンスは、人と人との繋がりの中から生まれてくる。
●及川真一朗
1980年、東京生まれ。
2000年より音楽制作会社にてモバイルコンテンツ制作事業に関わる。その後2004年に株式会社インターライフメディアの設立に参加、2011年独立。
2014年、TOP CONNECT株式会社執行役員、2017年より現職。
●株式会社アクセラレータ(AXELERATA)
〒103‐0013 東京都中央区日本橋人形町1-3-6
AIC共同ビル人形町4F
Mail:oikawa@axelerata.jp