今回、社員に対するアツい思いを語ってくれた株式会社アストラスト代表取締役井津洋平氏。

誰のマネをせず、自分たちの道を歩みたいというその志について伺った。

 

たった1人きりでのスタート

不動産コンサルティング業として開業し、今年創設8年目を迎えた株式会社アストラスト。

創設者である井津洋平代表取締役は、その創設の経緯をこう語る。

 

「会社を創ろうと考えたら、勿論協力者は必要だと皆さんは考えると思います。たった1人で何ができるのか、事務と営業と経営など各々に担当は必要じゃないのか、と。

しかし私は、まず1人でやらなければならない、と思った。そういう自負をもってやりきれる人間でなければ、仲間を呼ぶなんておこがましい、と」

 

そう思い立った井津社長は、まず1人で1億稼ぐまでは仲間を招かない、と心に誓う。それがこの会社の船出だった…。

 

井津社長が上京してきたのは21歳の時だった。

「私は大阪生まれの京都育ち。高校を卒業した後に飲料メーカーに就職したのですが、そこでは頑張っても頑張らなくても同じ給料しかもらえないところだった。安定してはいるのですが『俺はもっとできるはずだ』という自信がありましたし、東京でもっと自分を試したいと思った」

 

結局、2年ほどで飲料メーカーを退社し、東京の土を踏んだ井津社長が扉を叩いたのはある大手不動産会社。

まさしく、やったらやった分だけ稼げる、歩合制の営業だった。

 

それから13年、必死で駆け回った。充分に評価もされ、収入も得るようになった。

しかしその頃には心の中にもう一つの夢が大きくなっていた。

 

 

まずは独力で1億円を稼ぐ

「私は誰も歩いたことのない道を歩いて行くのが好きです。誰かの後ろを歩くのは性に合わない。

勤めていた会社では、成績優秀者の景品として旅行にも連れて行ってもらいましたが『同じ旅行に行くなら、連れて行ってもらうより誰かを連れて行くほうがもっと楽しいんじゃないか』と思った。だから起業を決意しました」

 

起業の際に、長年経験を積んだ不動産業を選ぶのは当然のことだった。

しかし、不動産にも様々な種類がある。

 

「医師の世界と同じで、不動産にも管理・賃貸・仲介などの業種があり、不動産という同じ名前で括られていますが、それぞれに専門性があります。

その中から投資用不動産マンションをメインに選んだのは、自分が知っていたというのもありますが、その将来性にも注目していたからです」

 

投機性が高いと一般に思われている投資用不動産だが、ワンルームマンションなどの物件は比較的かつ長期にわたって家賃が安定しており、また入居率も高く固定収入・権利収入の案件として人気がある。

 

顧客層は年収600万円前後のサラリーマンが主だという。

本業以外の収入を得るために、または老後の蓄え・年金代わりとして持っておくのはいかがでしょうという提案をしている、と井津社長。

 

「長年の不況の下で、日本の働き盛りのサラリーマンは、昔のように昇給やボーナスが望めません。そんな生活の中から老後や緊急時の準備をするのは非常に困難です。だから不動産物件を持つことで人生に安心と新しい価値を提供したい、という思いがあります」

 

そんな思いで起業した井津社長だったが、当初は誰の助けも借りず、全く一人でやっていたのだという。

「スタート当初、同じ不動産で仕事をしていた仲間を集めようとも思っていたのですが、全く実績の無い中で彼らの人生を預かるわけにはいかない。

だからまず独力で1億円を稼いでから仲間を呼ぼう、とそう決心したんです」

 

 

社員でも従業員でもなく〝仲間〟

無責任な状態で皆を誘うことはできない。

 

その決意の下、たった1人で営業を始めた井津社長。「引越しの手続き、ネットの接続、電気の手配、全て1人でやりました」と当時を振り返って語る。

 

「私は社員とか従業員とかという呼び方は嫌いです。〝仲間〟というのが一番近い。

ですから、私は彼らの生活を保障しなければならないし、彼らを安心させるためには充分な資金・安定した経営がなければならない。それでまず1億円を準備しようと思った」

 

結果、3年でその目標に到達する。

「その3年間は本当に様々な経験をしました。苦労もしたし、自分の力を再認識することもできた。人生の中で最も価値のある3年間になったと思います」

 

それから改めて声をかけた昔の仲間たちは、その実績を見、二つ返事で井津社長に身を任せてくれた。

 

井津社長は、社員を〝仲間〟だという。

〝仲間〟の憩いのため、社内に設置されたバーカウンターで微笑む井津社長

 

現在、創業8年目を迎えた株式会社アストラストの〝仲間〟たちは60人にまで増えた。

「今も、社員の入社面接は全て私がやっています。面接では入社希望者と他愛もない話をして、その人がどんな人間的な魅力を持っているかを見ます。

大事なのは相手を惹きつけられる面白さを持っているかどうか。

どんなに技術が進んでも、営業は人間力。特に不動産業は扱う金額が大きいので、アナログに、人と人との繋がりを重視する業界です。それに、まず面白い人じゃないとお客様を満足させられませんから」

 

また、〝仲間〟であると同時に社員の〝親〟でもある、と井津社長は言う。

「社会に出たての若者を、一人前になるまで育てるのは、親が子供に教育するのと同じことです。

ですから私は仕事の内容で怒ることはないですが、素行や道徳、人としての立ち振る舞いについて言うべきことは言うようにしています」

 

社員の平均年齢は27歳ほどだという。

いつかは社員の親とも面談し、コミュニケーションを取れるようになりたいですね、と井津社長は語った。

 

 

会社の人間力が売上利益を決める

〝仲間〟たちと井津社長が一丸となって突き進んでいる株式会社アストラスト。

従業員数・業績とも年々着実に上昇し、2年前には池袋駅西口にほど近い好立地に本社を構えた。

 

 

「会社は社員が落ち着ける、憩いの場であるべき」という想いから、畳張りにした本社ビルのエントランス

その内装は社長の個性を現すかのように奇抜で目を引くものだ。

「エントランスは畳張りにしました。他にも畳敷きの座敷などもあります。

これらは『会社というところは、そこで働く者が1日のうち、最も長く過ごす場所なのだから、落ち着ける、憩いの場でなくてはならない』というポリシーから造りました。

他にも現在社内にジムとバーカウンターなども用意してあります」

 

今後はカラオケルームや昼寝ルームなども作りたい。多目的に使うスペースも用意して、そこでネイルや散髪、マッサージなどを出張で来てもらって社員たちが楽しめるようにできたらいい、と井津社長は語る。

 

それらも全て〝仲間〟たちが自身の「成長」と「豊かさ」を実感できるためという。

 

「私は歴史が好きですが、歴史を知る中で思うことは一人ひとりが笑って楽しく過ごせていたら、戦争など起こらないのではないか、ということです。

自分と自分の愛する人々が日々笑い合いながら、美味しいものを食べ、お酒を飲んで幸せに過ごすこと。それを実現するために会社があって、経営がある。

だから〝仲間〟たちとお客様のために私は経営に取り組んでいますし、子供たちに自分はこんな仕事をしているんだよ、と堂々と話せる、そんな会社にしたい」

 

「会社の売上利益はその会社の人間力を示したものだと思っています。だから今業績を伸ばしているのは公明正大に仕事に取り組んできたことの1つの証明だと思っています」と話す井津社長の言葉は力強い。

 

アストラストという社名は「私たち=US(アス)」と「信頼=TRUST(トラスト)」という言葉を組み合わせたものだという。

曲がったことはしない、仲間とお客様を裏切らない—。その信念を胸に、井津社長の快進撃は続く。

 

 

井津洋平

昭和51年、大阪府豊中市生まれ。中学校1年生から21歳までを京都で過ごす。

2年3カ月間の飲料メーカー勤務を経て21歳で上京。平成9年に大手不動産会社に入社。

平成23年に株式会社アストラストを創業。

 

株式会社アストラスト

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