いよいよ待ったなしだ。

いわゆるモラトリアム法(中小企業等の債務支払いを一定期間猶予する金融円滑化法)の定める最後の1年に、間もなく突入する。(本記事は2012年掲載記事をもとに構成しています。)

政府としてもその出口戦略には苦慮しているようだが、それ以上に頭を抱えているのが、このデフレ不況に喘ぐ多くの中小企業経営者たちである。

 

そこで今、大忙しなのが腕扱きの経営コンサルティング会社だという。

さっそくそのプロ中のプロ集団と評される、アタックスグループ(東京事務所/TEL03-3518-6363)の片岡正輝氏に話を聞いた。

驚くなかれ。「こんなときだから尚のこと」と前置きして提唱するのは、文字通り〝アタック=攻めの会計〟だ。

 

金融円滑化法を当てにせず、自分の城は自分で守れ!

──モラルハザードへの懸念など、金融規律の確保を名目に、金融庁はわざわざ「今回に限り」という文言を付けて、モラトリアムの1年間の再延長を発表(昨年末)しました。

まずはこのことについて、どうお考えなのかをお聞かせださい。

 

片岡 あと1年でいいかどうかはともかく、モラトリアム法そのものが非常事態法であることに変わりはありません。

その意味では、貸付条件の変更等を受けていながら、未だしっかりとした経営改善計画が策定されていない中小企業は、1日も早く営業基盤、財務基盤を強化・再生する方策を取るなど、経営インフラを本格的に整備する必要があるでしょう。

政府もそのことを出口戦略の中心に置いておりますし、金融機関に対しては、経営コンサルも含めてトータルに支援するよう求めています。

 

しかし現実はというと、それが必ずしも機能していません。

というのも、リスケを依頼する企業側に、本気で経営改善に取り組まなければならないという危機感がないことと、危機感はあっても、どこから手をつけたらよいのかが分からないということ。

金融機関側でも、会社が本気にならないのにコンサル機能を発揮しろ、と言われても優越的地位の乱用になっては困るので、なかなか本来の目的が進まないのです。

 

本来、経営者は「自分の会社」なのですから、「自分の城は自分で守る」という気持ちで、経営に取り組んでいただきたいと思います。

 

 

──ともあれ、そこでこのところ注目されているのが経営コンサル会社です。中でも貴社は腕扱きのプロ集団と専らの評判です。

そのプロから見て、会計とはそもそも何を指すのでしょうか。また経営全体でいうと、どう位置付けされるものでしょうか。

 

片岡 会計とは、私たちは管理会計、経営が見える会計などと言っていますが、これは経営そのものであり、会社そのものです。

具体的には、営業、総務、人事、経理など、会社で行われているすべての業務の指針となる、〝憲法〟を制定するようなトップマネジメントに位置付けられてしかるべき「共通言語」だと考えています。

 

 

──会計を通して見れば、会社の中身が分かるということですか?

 

片岡 そうですね。しかしなおざりといいますか、結果として出てきた数字だけを並べたところで、そこには何も見えてきません。

 

私たちは、一貫して「計画経営の推進」をご支援するという姿勢です。

計画や目標を立てて、結果をチェックできる経営という概念が根付き、実直に守られているかどうかが大きなポイントになります。

 

経営とは、ひと言で表すと〝投資とリターン〟ですね。

事業に投資した物(貸借対照表)がどれだけの利益(損益計算書)を稼ぐか、成り行きではなく、目標をどう立てて、そのためにどう達成するかを計画し、どう実行したかをきちんと検証し、それを基にまた次の目標を立てます。

同時に3年後、10年後を見据えて、どういう人材を採用し、どう育てるか。

どういう設備を導入し、どういう開発に役立てるかなどなど、すべてが計画的に行われていれば、悪いところ、足りないところが見えてきますし、逆にいいところ、伸ばすべきところも見えてきます。

それが見えれば、会社が進むべき道も見えてきます。それを可能にするのが、私たちの言う管理会計、経営が見える会計というわけです。

 

 

──一般的に考えられている会計事務所とはずいぶん違うようですが、つまりはトータルで会社経営をサポートするということですね。

 

片岡 そうです。今、一般的にと言われましたが、会計事務所とは本来、そういう役割を持ったものなんですよ。

だって、ただ記録する、計算する、報告するだけなら誰にでもできるじゃないですか。出てきた数字をどう分析し、何を見出すか、それを基にどうアドバイスし、どうお役に立つか。

要約するとこれが私たちの仕事です。

 

 

──そうするとカバーする業務の範囲や職能はかなりの多岐に亘ると思いますが、その辺りを簡潔にお話しください。

 

片岡 はい。まずはスタッフですが、公認会計士、税理士、中小企業診断士、社会保険労務士など、東京、名古屋、大阪、静岡各事務所に合わせて160人以上が在籍しております。

 

業務は経営、会計、税務の3本柱を基本に、ざっと言って経営計画、経営革新、財産管理、業績管理、営業支援、人事制度・人財育成支援、金融アドバイス、デューディリジェンス(企業評価手続き)からM&A支援、各種調査研究、企業再生、更には円滑な事業承継支援まで、企業永続のために必要な職能はすべてカバーできる態勢を整えております。

 

組織としては、統括会社のアタックスを中心に、それぞれ専門分野ごとに業務を特化した6社でグループを構成しており、クライアントの必要に応じて連携できるよう、有機的、機動的に配置されております。

コンセプトはただ1つ、あれもこれも含めて、〝社長の最良の相談相手であり続ける〟ことです。

 

もう少しでいいから早くに相談してくれれば……

──なるほど。プロ集団と呼ばれる理由がよく分かりました。

最後に最近の景況判断も鑑み、中小企業経営者たちにとって、今後何がしかのヒントになるような言葉があればひと言お願いします。

 

片岡 先ほどモラトリアム法があと1年で終わるという話がありましたが、これはかなりの混乱を招く恐れがあると見ております。

というのもご案内の通り、中小企業、とりわけモノづくり企業の経営環境が、この1年で急激に改善するとは思えません。

むしろ財務がより悪化する企業が増えるという懸念が拭い切れないからです。

金融機関から返済を迫られるなど深刻な事態に陥る可能性も否定できないのです。

 

しかし今、申し上げたいことは、そんな苦しいときだから尚のこと、一層の経営改善に取り組む指針となるべき〝攻めの会計〟が必要だということです。

実際に圧力が掛かってから慌てるのではなく、もう少し、もう少しでいいですから、早く私たちに相談していただければそれが可能になるのです。

 

「計画経営」を推進すると、会計が社内の共通言語になります。

そうすると必ず、〝いつ、誰が、何をすればいいか〟という、具体的な課題が見えてきます。その課題さえ見えればしめたもの。

突き詰めていけば必ず進むべき道が絞り込まれてきます。あとはそれをブラッシュアップし、自信を以って事業に邁進するだけです。

 

海外に出るにしても、国内で続けるにしても、これが生き残るカギだと私は確信しています。現にそうして健全な営業基盤、財務基盤を築いてきた中小企業を、私たちは数多く見てきていますから。

そのためのお手伝いは私どもがいくらでも致します。社長の最良の相談相手として……。               ■

 

 

 

 

片岡正輝(かたおか・まさき)氏

略歴…アタックスグループパートナー。

株式会社アタックス戦略会計社(名古屋事務所/TEL052-586-8812)及び株式会社アタックス・セールス・アソシエイツ代表取締役社長。