オビ 企業物語1 (2)

「日本の働くお母さんを元気にしたい」

大型コインランドリーが「笑顔の社会」を創り出す

オーナーと利用客両面からの差別化で急成長

株式会社mammaciao(マンマチャオ)/代表取締役 三原 淳氏

 

オビ ヒューマンドキュメント

mammaciao_miharaライフスタイルの変化により、近年のコインランドリーは進化している。

今やコインランドリーを利用する70%は、単身者や学生を超えて主婦層だ。

 

東京23区をはじめとした都心部には、コンビニやスーパーに併設されたおしゃれなコインランドリーが増えており、この先駆けとなったのが、コインランドリーFC「mammaciao(マンマチャオ)」だ。

 

「日本の働くお母さんを元気に」というコンセプトのもと、現在は全国で300店舗展開。

急成長を続ける理由とコインランドリー事業が変える社会とは何か。

株式会社mammaciao(マンマチャオ)代表取締役・三原淳氏に、同社が推進実現する「笑顔のあるまちづくり」について伺った。

 

 

 

 

主婦やサラリーマン投資家に人気。ライフスタイルの変化に乗って店舗数拡大

株式会社mammaciao(以下、マンマチャオ)の事業はフランチャイズ展開のコインランドリーだ。

独自のFCシステムによりサラリーマンの副業として人気が上昇、2017年2月7日には全国で300店舗を達成。売り上げは前年の7億円から13億円へと急伸した。

事業拡大に成功している理由について、同社代表取締役の三原淳氏は「他のコインランドリー業者との差別化が功を奏したと思います」と話す。

 

「マンマチャオは、郊外の街道沿いにしかなかった従来の大型コインランドリー施設を、働く主婦が利用できるように首都圏に展開しました」

 

東京23区内に50店舗、千葉、埼玉などの首都圏での大型コインランドリーの展開モデルは、業界の先駆けとなった。

更に、天然由来の洗剤にこだわり、環境と健康にやさしい「エコランドリー」の導入により、エコ志向の主婦の心をつかんだ。

 

また、コインランドリービジネスは不動産投資に変わる投資ビジネスとしても人気が高まっている。

同社FCオーナー向けには、IoTを導入したコールセンターの代行や、ランドリーの遠隔操作対応等の独自システムでサポート。

また、マンマチャオがコインランドリー店舗の物件を提供する中で、土地や店舗がなくても開業可能となっていることもコインランドリービジネス参入の敷居を低くしている。

同社FCのサラリーマンオーナーは全体の6割。副業にも人気だ。

 

このような差別化システムが生まれたのは2012年から。同氏が自らコインランドリーを経営しながら試行錯誤の末に編み出した。

「最初は大変でした。儲からなくてね」と、同氏は振り返る。

 

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店内イメージ

 

 

 

勢いだけで独立起業。1号店はダイニングテーブルで契約

コインランドリーのフランチャイズ事業を始めたのは、「たまたま私が取り扱っていたのがコインランドリー機器だったからです」と言う。

 

大手の業務用大型洗濯機輸入販売商社に所属していた同氏は、総売上の半分を一人で上げる敏腕営業マン。

ナンバーツーの地位であったにも関わらず独立した理由は、経営方針の違いによるものであったという。

 

「その会社の役員はみんな親族でした。そのせいなのか、親族繁栄のために従業員がいるような会社だったのです」

 

これでは夢がないうえに、ビジネス拡大への挑戦もできない。「経営の仕方によって、もっと良い会社が創れるのではないかと思いました」。

 

こうして2000年、米国の大型コインランドリー機器メーカーであるデクスター社総代理店として夫婦で起業した。

 

「でも、本当にお金がなくて。妻と私の両親からお金を借りて、3DKの自宅兼事務所で始めました」

 

勢いで起業したことで、設立資金を預けた信用金庫にまで「もっと計画性を持って」と怒られる始末。

資金がないため、「前金での支払いなら洗濯機30%オフ」とし、どうにか初めてのオーナーが現れた。

 

記念すべき第1号店は、小さな自宅アパートのダイニングテーブルで契約。

後になって同氏がそのオーナーに「心配ではなかったのか」と聞くと、「あんなボロボロのアパートを見せられて、信用するしかないじゃない。

隠そうと思えば友達の事務所に看板つけるとか、いくらでもごまかせるのにそれをしないんだもの」と言ったという。

 

また、「在庫を揃えられるように」と別のオーナーが1000万円を出資してくれた。

「返さなくても良いと言ってくれましたが、10%の金利を自分で計算して3年で返済しました」

 

同氏の真面目で真摯な行動が、オーナー達の心を動かした。信用に会社の大小は関係ないのだ。

「オーナーさん達に助けてもらって今があります。ちっともかっこ良い起業じゃないんですよ」

 

 

3つの理念は宝物。コインランドリーで環境と社会に貢献

「我々が掲げている、宝物のような理念。この3つを達成するために私自身と会社があります」

 

3つの理念とは、「私たちは笑顔のあるまちづくりに貢献します」「私たちは人に優しいサービスと感動を与えるチャンスをつくります」「私たちは人間の成長と豊かさを創造します」

理念から見えるように、「環境」「笑顔」「豊か」が同社のキーワードとなっている。

 

マンマチャオの特徴である「エコランドリー」は、このキーワードから誕生したブランドだ。

 

 

働き方と価値観の変化をチャンスに。エコと健康にフォーカス

「エコランドリー」は、環境と健康の安心にフォーカスしたコインランドリー。自然派由来の洗剤と柔軟剤のみを使用している。

すすぎは1回。ヤシの実の石鹸で洗い、アルカリで固くなった洗濯物を柔らかくする柔軟剤は、植物から抽出したクエン酸だ。

 

「石油由来の洗剤は使いませんからアトピーや赤ちゃんにも安心です。

通常の洗剤に入っている起泡剤や界面活性剤、抗菌剤は肌によろしくない。体によろしくないものを使っていては、笑顔にはなれません」

 

当初は自分の好きな洗剤を持参して使えるようにと、自動投入の洗濯機ではなかった。自身も息子のためにアトピー専用の洗剤を使っていたからだ。

その後、同社のコインランドリーが「エコランドリー」となってからも、洗剤が自動投入されないコインランドリーの有無を問い合わせる電話がかかってくるという。

 

「うちの子はアトピーなので特別な洗剤を使っている、洗剤が自動投入じゃないコインランドリーはどこにあるのか、という問いわせがありました。

そこで、マンマチャオのコインランドリーはアトピーの子でも安心な洗剤を使っていますので、ぜひ一度試してみてくださいと伝えたんです」

 

すると利用者は同社が採用している洗剤の質の良さに感激。

「素晴らしいから自分もマンマチャオを経営したいとおっしゃって、そのお客様は今ではオーナーです」

 

理念に基づいた選択は、利用者の笑顔とビジネスのチャンスへと繋がっている。

「この理念の総論が『日本のお母さんを元気に』なのです」

 

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通常の衣類に加え、洗うのが大変な寝具やカーテンといった大きなものでもOK。クリーニングの半分以下の料金で洗濯&乾燥までできるうえ、短時間で仕上がる。

 

 

 

働くお母さんを笑顔にしたい。コインランドリーで日本を元気に

「お母さんが元気に働けるようにならないと日本は良くはなりません。そのためにはもっと家事を楽にしないと」

 

少子高齢化の波で、女性も社会で働かなくては労働力が足りない。

しかし、女性が社会進出し一億総活躍時代と言われていても、女性への家事の負担は変わらないままだ。

 

「コインランドリーを利用することによって家事が楽になります。負担が減ることでお母さんが元気で笑顔でいられます。

お母さんが笑顔なら、家族は笑顔になる。ひいては、社会が明るく元気になっていくのです」

 

また、コインランドリー店舗には聞きなれない「マンマチャオ」という会社名は、買い物の途中でも寄れる、女性が利用しやすいコインランドリーを目指して命名された。

イタリア語で「お母さん、こんにちは!」の意味を持つ会社名からは、明るく輝く笑顔が浮かぶ。

「働くお母さんを元気に」の願いは会社名にも表れているのだ。

 

「そして、夢を持てる会社を創ること。これも大きな目標です」

 

 

社員もお客様も笑顔になる会社づくり

今年の店舗数の目標は450店舗、売上目標は24億。更に2019年までには1000店舗達成を目指す。

また、同氏は、コインランドリーフランチャイズ事業の他に、2つのデイサービス施設「デイサービスチャオ」、女性もターゲットの1000円カット美容院「カットショップCiao!」も運営している。

特にデイサービス施設では洗濯サービスを実施。

 

「女性の負担は、家事、炊事、洗濯、そして今は〝在宅介護〟があります。この介護の部分もお手伝いしています」

 

これらの事業を行いながら店舗数と売上高を増やし、2020年には「マンマチャオ」のマザーズ上場も考えているという。上場の理由は「社員に夢を見せたいんです」。

 

同社は25名の社員で13億円の売上を計上する、現状でも立派な優良企業だ。

 

「しかし、今のまま誰も社名を知らない会社では、社員が堂々とマンマチャオで働いているとは言えません。社員たちは、大企業のエリートではないため同窓会に行っても切ない思いをしているようです。

だからといって、自分はどうせエリートじゃないとふてくされて諦めている人生のままではつまらない。

上場するのは、本当は俺たちの会社は一部上場企業なんだ、大きく成長するんだという、目標と夢を持てる〝良い会社〟を創りたいからなのです」

 

同氏が独立時に抱いた「良い会社を創りたい」という信念。この信念は未来も変わらず、同氏の経営に息づいていくのだ。

 

 

同氏はコインランドリービジネスのセミナーを毎月開催、同時にメディアへの出演や取材を積極的に受けることで、マンマチャオの経営理念である「環境」「豊か」「笑顔」を全国発信している。

 

「今後も健康と環境にフォーカスしたコインランドリーで、笑顔を増やしていきたいですね」

 

コインランドリーが実現する、笑顔があふれるまちづくり。三原氏の挑戦はこれからも続いていく。

 

 

 

オビ ヒューマンドキュメント

●プロフィール

三原淳(みはら・じゅん)氏…1967年4月16日東京生まれ。株式会社mammaciao(マンマチャオ)代表取締役。専修大学経営学部経営学科卒業後、ファイザー製薬に入社。スーパー、OA販社、印刷会社などの職種を経験し、業務用大型洗濯機輸入商社を経て、米国コインランドリー機器メーカー デクスター社販売総代理店として2000年9月13日有限会社エムアイエス設立。のちに株式会社エムアイエスに組織変更、2016年7月に株式会社エムアイエスから株式会社mammaciaoに社名変更し、現在に至る。

 

●株式会社mammaciao(マンマチャオ)

〈本 社〉

〒224-0021 横浜市都筑区北山田二丁目5-7 プロスベアーコーポ1F

TEL 045-590-5523

http://mammaciao.com/

 

〈東京本部〉

〒105-0021 東京都港区東新橋2丁目18番3号 ルネパルティーレ汐留3F

 

〈関西支店〉

〒541-0053 大阪府大阪市中央区本町4丁目7番4号 本町グラマシー6F

 

〈テクニカルセンター〉

〒224-0041 神奈川県横浜市都筑区仲町台1丁目-16番10号 ヤマヒョウA館1F

 

〈名古屋オフィス〉

〒450-0002 愛知県名古屋市中村区名駅3丁目3番2号 志摩ビル7F

 

 

●株式会社C-CARE(介護事業)

デイサービスチャオ 久末店 デイサービスチャオ 高田店

 

●株式会社C-BEAUTY(美容関連事業)

カットショップCiao! 赤塚店

 

 

◆2017年3月号の記事より◆

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