株式会社NIBM – 公式データが証明・ノロウイルス完全死滅!「フリーキラ」開発秘話
【この企業に注目!】
消毒殺菌剤として日本初の医薬品に承認された「フリーキラ」開発秘話
公式データが証明・ノロウイルス完全死滅!
株式会社NIBM/代表取締役 池本慶且氏
キーワードは〝一期一会〟と〝一生懸命〟
新薬の開発は非常に困難である。中小企業でありながら、その困難な道のりに挑み、成功を遂げた企業がある。今年で創業10年目を迎える株式会社NIBMだ。「一期一会」という言葉が大好きで、「一生懸命」が座右の銘と答える同社の池本慶且社長の生き方には、中小企業が躍進するためのヒントが実に多く隠されていた。
医薬品に承認された弱酸性次亜水「フリーキラ」
2015年の国内医療用医薬品市場の規模は10兆円超である。確かに巨大な市場であることに違いないが、日本で1つの新薬を開発するために費やされるコストは数十億から100億円と言われている。
さらには、副作用被害を防ぐ観点から近年はより厳重なチェックが課されるようになり、加えて承認・審査を行う公的機関の体制的な問題も相まって、日本で新薬を上市するためには数年から長い物では20年にも及ぶ年月が必要となる。つまり、中小企業が新薬を開発し、なおかつ厚生労働省から承認を受けることは非常に困難なのである。
ところが、その快挙を成し遂げた中小企業がある。今年で創業10年目を迎える株式会社NIBMだ。同社が開発した弱酸性次亜水「フリーキラ」は2015年7月28日付で、消毒殺菌剤の医薬品として厚生労働省から承認を受けたのである。
そもそも〝水〟が新薬として承認されたこと自体が日本では初めてなのだが、驚くことに開発者である同社・池本慶且社長は学者でもなければ医者でもない。俳優・梅宮辰夫の弟子をしていたというから、その突飛な人生にただ驚くばかりである。そんな経歴の持ち主がどうして新薬の開発を成し得たのか。その疑問を同氏にぶつけると、「一期一会」と「一生懸命」という2つのキーワードが返ってきた。
日本で唯一、人体由来のノロウイルスを完全死滅
同社では医薬品であるフリーキラに先駆けて、数年前から市販用の除菌・消臭水である「ドクターウォーター」を製造・販売している。フリーキラもドクターウォーターも特許技術「多段式中和希釈」で製造された弱酸性次亜塩素酸水だ。
近年、インフルエンザやノロウイルス対策として脚光を浴びる次亜塩素酸水だが、市場に出まわっている物はいずれも次亜塩素酸イオン及び次亜塩素酸ナトリウムであり、微生物などの細胞膜を透過することはできない。しかし、同社が開発した弱酸性次亜塩素酸水は次亜塩素酸分子であり、細胞膜を貫通して細胞内に入ることができる。そのため、例えば、次亜塩素酸ナトリウムに比べると約80倍の効力で細菌などを攻撃できるのである。
つまり、同種の製品の中でも軒並み高い除菌力を有していることになる。事実、人体由来のノロウイルスを遺伝子レベルで完全死滅させた検証データを農林水産省受託実績検査機関から取得しているのは日本で唯一、同社の弱酸性次亜塩素酸水「ドクターウォーター」と「フリーキラ」だけなのである。
今回、ドクターウォーターを発展させる形で新たに開発された消毒殺菌剤・フリーキラは、医薬品として厚生労働省から承認された日本でただ1つの弱酸性次亜塩素水だ。実のところ、医薬品や医薬部外品として認可された弱酸性次亜塩素水は今まで世の中には皆無であった。
そのため、巷にあふれる同種の製品は薬機法(旧・薬事法)により「殺菌」や「消毒」、あるいは「ノロウイルスが死滅」といった特定のウイルスや細菌などの名前を標榜することが禁止されている。多くの製品が「消毒殺菌剤」ではなく「除菌消臭剤」の形で販売しているのはそのためである。
いっぽう、ドクターウォーターとフリーキラは高い殺菌力を持ち、サルモネラ菌、大腸菌などの細菌から、カンジダ、水虫などの真菌(カビ)、ノロウイルス、インフルエンザなどのウイルス、そしてセレウス菌やボツリヌス菌といった芽胞菌に対してまで幅広く抗菌効果を持ち、特にフリーキラはこれらの効果を医薬品として堂々と謳うことができるのである。
期待される医薬品フリーキラの今後
ドクターウォーターは高い除菌力に加え、〝水〟であるため安全面においても優れているといえる。希釈倍率を調整することで、手指の除菌だけでなく、肉や野菜など食材の除菌洗浄、調理器具や床の除菌洗浄、あるいは客室や下駄箱などの空間消臭、トイレや排水溝の消臭と除菌などあらゆる場面での使用が可能だ。これまでも病院施設などの医療機関をはじめ、旅館やホテル、大手の食品工場や飲食店、保育園や幼稚園など多くの現場で導入されてきた実績を持っている。
同社では2015年に医薬品販売業許可証を取得しており、今後はフリーキラを軸に製薬会社としても事業を展開していくという。フリーキラは希釈しないでそのまま使用できるため、操作性においても優れており、ドクターウォーターと同様に人体にも無害である。
そのため、医薬品としてこれまで以上に幅広い活躍が期待されている。フリーキラの見込まれる活用用途としては医療や介護現場における二次感染予防や機器類の洗浄のほか、遊戯施設や食品工場などでの空気感染予防や食中毒対策等、多岐に渡る。
また、希釈が必要でない簡便さから災害時や海外における使用も見込まれている。同社ではフリーキラの製造工場の新設を検討するなど生産拡大に向けたプロジェクトが現在、進行している状況だ。
梅宮辰夫氏との出会いがすべての始まりに
ところで、もともと医薬品に関する素人だった池本氏。新薬開発には並々ならぬ努力が必要であっただろうが、その原動力はどこから来るのか。
「私が生まれ育った福岡の町は北九州工業地帯と呼ばれ、日本でも有数の工業地帯でした。幼い時分には海岸などでハゼ釣りを楽しみましたが、やがて川や海は工業用水で汚れ、魚も住みつかなくなりました。そういう土地で暮らしていたせいか、私自身も気管支が弱い子どもでした。だから、自然と〝水〟や〝衛生〟に対して強い関心を持つようになったんだと思います」
そんな池本氏ではあるが、高校卒業時に選んだ道は俳優だった。1964年、18歳で上京し、19歳のときに東映大泉撮影所に入所、前述の通り梅宮氏の弟子となる。今から振り返れば、この出会いこそが新薬開発に繋がるプロローグとなるのであるが、俳優業を志す当時の池本青年がそんなことを知る由もない。
その後、池本氏は何本かの映画に出演するも芽が出ることなく、30歳を機に廃業、梅宮氏の秘書となった。
「梅宮さんと出会って50年以上になりますが、私にとって梅宮さんは今でも師匠です。実にさまざまな人を紹介してくださり、チャンスも与えてくれた、恩人の一人です」
梅宮氏といえば、食通として知られ、漬物屋や飲食店を経営する実業家としても有名だ。実は池本氏は1994年以降、梅宮氏が開発に携わった明太子などを販売する食品会社の代表取締役に就任するのである。
「テレビの全国ネットで商品を販売するなど、日本中を駆けまわりました。そんなある日、除菌用の水などを製造する会社の社長と面会したのです。それが水の世界に足を踏み入れるきっかけでした」
二人目の師匠との出会い
もともと〝水〟や〝衛生〟に強い関心を抱いていた池本氏は2006年、その会社の代理店として株式会社NIBMを設立し、代表取締役に就任する。しかし、当時扱っていた商品には、例えば、塩素の匂いが強いなど不満を持っていた。
「水に関する素人だからよかったのかもしれません。慣例に捉われることなく、安心で安全な水、命や環境を守るための水、つまり、人助けになるような〝世界になくてはならない『水』を創る〟その一心で商品の開発、改良を重ねました」
そんなとき出会ったのが池本氏にとって二人目の師匠となる野本亀久雄氏だった。九州大学名誉教授である野本亀久雄氏は政府の医療事故対策などに携わる世界的な免疫学の権威であり、医学会の重鎮である。ひょんなことから野本氏が池本氏の開発した水を手にしたことで二人の関係は突然生まれた。
「殺菌成分である次亜塩素酸分子を大量に含んだ水を偶然、私が作っていたんです。それは野本先生が作ろうとしていた水に近い物でした。先生に呼ばれ、研究室にお邪魔しました。すると先生はいろいろ質問されたあと、20分間、私の顔をずっと見たのでした。私も息苦しさを感じながらも、先生の顔を見返しました。そして、一言『弟子になれ』とおっしゃったんです。
先生のお弟子さんといえば、医学界のトップばかり。それなのになぜ素人である私が受け入れられたのか。今でも疑問に思いますが、ただ、一生懸命さだけは誰にも負けない自信がありました。『一生懸命』は座右の銘なんです。仕事に対しても家族に対しても、常に一生懸命。九州で生まれ育ったそのままの男ですね」
野本亀久雄氏は院内感染の防止対策を協議する北里院内感染対策協議会(KiMERRA・北里大学)の元座長でもあり、以前より医療分野で使用できる除菌水の必要性を感じていた。そんな両者の出会いが医薬品フリーキラの誕生に拍車をかけることとなった。2009年、野本亀久雄氏が同社の顧問となった。
「野本亀久雄先生と出会ったことがすべてです。『とにかくデータを作れ。データがないと信用されないぞ』と言われ、臨床試験を繰り返す地味な作業を続けました。正直、ビジネス抜きで開発を続けたので資金のやり繰りには苦労しました。ビジネスが優先だったら新薬の承認まで漕ぎ着けなかったと思います。
それほど採算が合わない事業ではありましたが、逆に言えば、だからこそ大手製薬会社なども手を出せなかった分野であり、日本で唯一の医薬品として承認された次亜塩素酸水を開発できたのかもしれません」
人柄が出会いを呼び、その出会いが新薬を生んだ
同社は今後、医薬品卸会社などと提携しながら、日本、さらには世界に向けてフリーキラの提案、導入を推進していく予定だ。
「新薬の承認が得られれば、すぐにお金になると思っていましたが、前例がない商品だけに説明をするのもひと苦労なんです。だから、未だに資金難は続いています(笑い)。だけど、〝世界になくてはならない『水』を創る〟その思いは今も変わりません。フリーキラを必要とするより多くの人たちに、この水を届けるにはどうすればいいのか、日夜、模索しています」
最後に新薬開発成功の秘訣を尋ねると、「一期一会を大切にし、一生懸命に人と付き合ってきました。それだけだと思います」と池本氏は即答した。「私ひとりの力ではなく、多くの方々に助けられてきました。支援し応援してくださった方々にはいくら頭を下げても足りないくらいです」。
そして、真剣な眼差しで「人に頭を下げることが好きなのかもしれません」と付け加えた。歯に衣着せぬ物言いだが、驕り高ぶることなく実直な男。そんな池本氏の人柄が出会いを呼び、その出会いが新薬を生んだ。今後、フリーキラは世界に羽ばたく商品となるであろう。同社にはさらなる出会いと飛躍が待っているに違いない。
◉プロフィール
池本慶且(いけもと・よしかつ)氏
1946年、福岡県北九州市生まれ。高校卒業と同時に上京し、19歳のときに東映大泉撮影所に入所、俳優・梅宮辰夫氏の弟子となる。1976年、梅宮氏のマネジメント業に就き、その後、梅宮氏の食品会社の代表取締役として活躍。2006年、株式会社NIBMを設立し、代表取締役社長に就任。2015年7月、同社開発のフリーキラが厚生労働省から医薬品として承認された。
◉株式会社NIBM
〒108-0071 東京都港区白金台2-26-10 グリーンオーク高輪台
TEL 03-3280-1357
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◆2016年6月号の記事より◆