株式会社コリマ研修企画 – 「スキット方式」を導入した独自の営業職向け研修プログラムとは?
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今の日本企業の管理職に足りないのは「指導力」!
「スキット方式」を導入した独自の営業職向け研修プログラムとは?
株式会社コリマ研修企画/代表取締役 江上喬介氏
モットーは〝上質な研修〟の提供
「新人向けの研修プログラムでも、管理職に求められる指導力の養成も意識している。それが同業他社との違いの1つ」と語るのは、営業職向けの研修サービスを提供している株式会社コリマ研修企画の江上喬介代表取締役だ。江上氏は、大手生命保険会社で営業スタッフ育成に携わるなど、その長年にわたる教育研修の実務経験を活かし、2005年に同社を起業した。その独自の研修プログラムについて、江上氏にお話をうかがった。
シーンに応じた顧客対応が学べる「スキット方式」
同社の新人営業スタッフ向けの研修プログラムでは、〝スキット〟を導入している。スキットとは、直訳すると〝寸劇〟だ。研修の中で営業の現場を舞台とした寸劇を演じる。要するに、実際の営業の仕事の中で出くわすであろうシーンを再現し、その中で顧客対応のトレーニングをするのである。
このスキット方式によって、「言葉遣いのマナー」、「名刺交換のマナー」、「お辞儀のマナー」、「書類授受のマナー」、「電話応対のマナー」などの営業スキルを一つひとつ、細切れに学ぶのではなく、「顧客への訪問」、「顧客へのアポとり」、「顧客との商談」など、営業のリアルな現場が想定された状況で営業スキルを体系的にまとめて学ぶことができる。
物事は体系的にまとめて学んだ方が分かりやすく、体系的にまとめて学んだことは忘れにくい。だから、同研修プログラムでは、営業スキルが身につきやすい。また、スキットを通して、「自分に不足している営業スキルはこれだ」、「顧客が一番知りたい情報はここだ」などの気づきが生まれるという。
なお、同研修プログラムでは、スキットの登場人物はすべて受講者たち自身が演じ、また、受講者たち5~6名で1組のグループをつくり、1グループずつスキットを行う。そのため、上司や顧客の役を演じたり、他のグループのスキットを観察できるため、多角的に営業スキルを学ぶことができる。
そして、「もっとこうした方がいいのに」、「なるほど。こうすればいいのか」など、多角的に営業スキルを学べるからこその気づきも生まれるという。そして、営業の現場さながらのスキット方式で体系的に、かつ、多角的に営業スキルを学ぶことで、様々なシーンに応じて最適な顧客対応ができるようになるというわけだ。
スキット方式研修でリーダーシップの重要性にも気づく
さらに、同社の新人営業スタッフ向けの研修プログラムは、職場での指導力の養成にも役立つという。同研修プログラムでは、スキットを行う前に、営業担当、上司、顧客など、スキットの登場人物の配役を受講者たち自身で決める。そして、グループ単位でスキットを行うため、スキットの配役決めもグループ単位で行うが、各グループ、リーダー不在の状況で配役決めを行う。そのような配役決めのプロセスを通じて、物事を決めるリーダーシップの重要性に気づくことができるという。
また、他のグループのスキットを観察する中で、リーダーシップがよく発揮され、メンバー一人ひとりのセリフや行動が明確なグループほど、より良い内容のスキットを行うことを目の当たりにし、そこでもリーダーシップの重要性に気づくことができるという。
つまり、まずスキット方式研修で集団におけるリーダーシップの重要性に気づくことが、職場で指導力を身につけるためのベースになるというわけだ。
なお、同社では、営業管理職向けの研修プログラムや、指導力養成に特化した研修プログラムなども提供しており、職場や仕事における指導力の習得や改善にフォーカスしたい場合は、それらのプログラムが適している。
管理職に指導力があれば、本来あるべき姿の企業組織になる
江上氏は、企業組織における指導力の重要性についても語ってくれた。
「管理職には指導力のある人材がなるべきだが、今の多くの日本企業の管理職には、その肝心の指導力が足りていない。その背景には、多くの企業組織において、チームプレイで仕事をしているとは言い難い現状があります」
企業組織における指導力は、本来、普段の仕事の中で、上司や先輩とのやりとりや、部下や後輩とのやりとりを通して少しずつ身につけるものだ。そのような指導力を育む組織内のコミュニケーションは、チームプレイで仕事をするからこそ生じるものだ。
チームプレイで仕事をしている組織では、社員一人ひとりが担う役割や仕事が明確で、社員たちが相互に協力し合いながら納期までに仕事を完成させることができる。そして、このようなチームプレイができる組織づくりを行い、その維持継続に務めるのが、本来の管理職の仕事である。
「管理職の多くは、純粋な管理職ではなく、プレイングマネージャーと化している。そして、チームプレイができていない組織が、プレイングマネージャーを生み出し、さらに、プレイングマネージャーが、そのような組織を生み出す。その原因は、マネージャーとしてではなく、個人プレイヤーとして優秀な人材が管理職に選ばれてしまうことにあります」
チームプレイができていない組織では、指導力を育むようなコミュニケーション自体が少ない。だから、そのような組織で平社員から管理職に抜てきされるのは、マネージャーとしてではなく、個人プレイヤーとして優秀な者だ。
さらに、そのような管理職は、個人プレイヤーとしては優秀であるが、指導力が身についていないため、部下に仕事を任せられず、部下たちがすべき仕事も行ってしまうプレイングマネージャーと化す。プレイングマネージャーと化してしまった管理職は、チームプレイで効率よく仕事をする組織づくりをしようとは思わない。
「つまり、管理職にしっかり指導力が備わっていれば、チームプレイで効率的に仕事をする、本来あるべき姿の企業組織になるのです」
企業組織全体の業務効率化を図る場合、システム化を推進することが何よりも大切なことだと考えがちだが、システム化以前に、まず「チームプレイができているか?」、「組織として成り立っているか?」ここに目を向ける必要がある。「企業は人なり」ということを改めて認識させられる考え方である。
原点は、大卒女性オンリーの営業部隊起ち上げ経験
江上氏は、「上質な研修」の提供をモットーの1つとしている。確かに、スキット方式を導入した独自の研修プログラムは、そのモットーにピッタリ当てはまる好例と言える。そして、その質にこだわる原点は、江上氏の大手生保時代にあるという。江上氏は、大手生命保険会社に勤めていた1980年代、大卒女性オンリーの営業部隊起ち上げを任された。
「会社の意図は、営業スタッフの質の向上です。そのために、既存のやり方を一新しました」
既存のやり方とは、営業の世界で「GNP営業」と言われるやり方だ。〝GNP〟とは、「義理」のG、「人情」のN、「プレゼント」のPを表している。つまり、親戚や友人などに商品・サービスの購入を依頼したり、見込み客に贈り物をして、その見返りで商品・サービスを購入してもらうことを狙うなど、義理、人情、プレゼントなどに頼った営業スタイルだ。
1980年代当時、GNP営業は、生保業界の典型的な営業スタイルとして知られていた一方、同業界において行き詰まりを見せていた。結局、GNP営業では、営業範囲が営業スタッフ個人の親戚や友人止まりで、それ以上広がらない。その結果、営業スタッフは毎月の契約ノルマが達成できなくなり、短期間で辞めてしまうことになる。そのため、当時、生保業界各社における営業スタッフの採用・育成の基本的な考え方は、「質よりも量」であった。
このような旧来のGNP営業から脱却すべく、江上氏が心掛けたのは、「契約ノルマ達成のために、とにかく義理人情に訴えるセールレディーではなく、十分な知識に基づき、ご利用者本人のライフプランを一緒に考え、最適な保険商品を提案できるプロフェッショナルを育成する」こと。そして、生保の営業ではなく、一般企業の営業マンが行っている営業活動をすることだった。 この、人材育成において質を重視するという方針を、江上氏は今も変わらず続けているのである。
●プロフィール
江上喬介(えがみ・きょうすけ)氏
1947年生まれ。京都府出身。関西学院大学法学部卒業後、安田生命(現・明治安田生命)入社。大卒女性を起用した法人向け営業組織「フローラ」の起ち上げに携わるなど、主に人材育成を担当。ビジネスコンサルタント会社出向後、2005年に退職し、同年4月、株式会社コリマ研修企画を起業すると同時に同代表取締役に就任。
●株式会社コリマ研修企画
〒104-0061 東京都中央区銀座7-13-6 銀座アントレサロン
TEL 03-4455-4708