オビ 企業物語1 (2)

中小・ベンチャー企業の立ち上げ&運営に必須!!

多機能でコスパ抜群、バックオフィス業務をサポートするシステムとは?

◆取材:綿抜幹夫

 

株式会社ビズグラウンド/代表取締役社長 畠山友一氏

株式会社ビズグラウンド/代表取締役社長 畠山友一

 

中小・ベンチャー企業向けのビジネス支援クラウドサービス「Bizer(バイザー)」を月額わずか2980円(税込)で提供するという、これまでにありそうでなかった事業展開をみせる株式会社ビズグラウンド

起業してから2年余りにもかかわらず口コミのみの伝搬で、最近ではひと月に50社ペースで同社のシステムを利用する企業が増加している。その魅力とは何か? 代表取締役社長の畠山友一氏に聞いた。

 

■起業にまつわる煩雑さを「なんとかしたい」から始まったサービス

システムエンジニアから営業職、さらにはサラリーマン社長をも歴任した畠山氏が、2013年10月、34歳の時に株式会社ビズグラウンドを立ち上げた。そのきっかけは、同氏が2004年から約8年間に渡り、FNX(FAX一斉同報サービス)を8000もの法人に提供するという仕事を通じて、中小企業の業務効率化やマーケティング支援を行い、中小企業者がより自社の事業に集中できるような環境づくりに打ち込んだ経験からだった。

FAXを一斉に送るだけのことが業務効率化や販促支援に結びつく。FNXを取り入れた小さな会社がどんどんいい方向に変わっていくのを目の当たりにした。

 

またサラリーマン社長時代には中小企業経営者と直接話す機会も多く、自らが中小企業経営者をサポートできるような事業をしたいという想いがますます強くなっていった。ついには企業活動(Biz)の基盤(Ground)という意味を持つビズグラウンドの起業に至ったわけだ。

具体的な事業構想は、「会社をつくることは決まったのですが、登記のための文書を作成したり、税理士さんに相談しようか……などといろいろ考えたりしていたところ、会社設立にかかわる疑問などを気軽に聞けるところがあればいいなと思い立ちました。自分が起業してみて実際困っていることを解決するために、Bizerを創ったのです」(畠山氏、以下同)

 

たとえば税理士に税務顧問を依頼すると顧問料の相場はいくらになるのか、少なくとも月額3万円から5万円は負担しなければならないだろう。相談や依頼内容が多岐になれば、当然「別途費用」が発生する。

起業したばかりの中小規模の企業経営者が、果たしてそれだけのコストをかけられるものなのだろうか。またこれまでに同様の支援サービスはあっても大企業向けの廉価版で中小企業では使いづらく、かつ費用も高く手が出せなかった。

もっと気軽でシンプルな「安くてわかりやすい」システムはないのだろうか。

 

その点、Bizerは月額2980円と費用負担が少なくてすむことが魅力だ。それでいてあらゆるバックオフィス業務(事務や会計、管理などの基幹業務)の支援を受けられる。会社の設立サポートはもちろん、設立後に日常発生する総務・労務・経理などの業務などのToDo化を実現。

登録してある会社情報をもとに役所への提出書類を自動で作成する機能も利用できるし、税務や労務の疑問に関しても専門家に気軽に相談できる。

また順にこなしていけば業務が完了する「ダンドリ」というサービスをリリース。例えば従業員の雇用やオフィスを移転する場合にも、手順に従いタスクを進めるだけで業務が回っていくような段取られた使いやすいサービスになった。

 

■裏方サービスで一番を目指し、日本経済の発展に尽くす

現在は600社以上が利用しているBizer。ひと月に50社ずつユーザー企業が増えている。それでも当初の目標からすると、増加率は2分の1ほどだ。知り合いの企業が新たに企業を紹介してくれるような口コミでその輪は広がっているが、広告宣伝に資金を投入するまでの損益の分岐点には至っていない。

といっても畠山氏は楽観視している。足元の人件費など固定費は確保できるようになった。あとは地道にユーザー数を積み上げていけば、そう遠くない時期に分岐点を見極めて大きく飛躍する時が来ると考えている。

それとともにBizer自体も進化している。前述の「ダンドリ」に加え、バックオフィス業務を完全にアウトソースできる「会社運営のマキトリ」などサービスも追加。さらにユーザーからの要望に応える形で生命保険の販売や不動産の仲介などをする外部企業との提携も増えている。

 

「今は外部のプレイヤー約30社と連携しています。ぼくらのサービスをプラットホームにして参画してくれている会社が結構あって、少しだけ利用料をいただく仕組みになっています。ですからビジネス展開もいくらでもある。会社の支援をするということを考えるとキリがないくらいで、やり尽くすことはないと思います」

ユーザーの希望が増えれば、当然要望数に比例して大きく成長していくことになる。

「今のBizerのポジションは、バックオフィス業界の中でも競合が少ないのではないかと思っています。その中では絶対的な1番になりたいですね」

〝もっと簡単に起業していける環境の提供、自社事業により集中できる環境の提供、士業の皆様により専門性を活かせる環境の提供〟―この同氏の夢の実現こそが日本経済の発展の一助になるのだろう。

 

■料金以上のメリットのあるサービスを継続するために

ところでビズグラウンド自体の発展はどう考えているのだろうか。

「会社自体は何百人何千人が働くような大規模にしたいという希望は全くありません。必要な時に必要な人材が入ってきてそれで増えていく〝自然増〟でいいと思います」

実はビズグラウンドの社員全員が小さい子どものいる家庭の親で、通常勤務時間のコアタイムが11時から16時と結構短い。保育園の送り迎え、夕飯にお風呂、寝かしつけと、男女問わずみんなが積極的に参加。かくいう畠山氏も子どもの送り迎えなどは当然のようにこなしているパパなのだ。一方でキャンピングカーをオフィス代わりにしてノマド的な働き方もするという。しっかりした信頼関係の上で個々が存分に能力を発揮してくれている環境を作り出している、といったところだろうか。

求人もまた口コミベースだ。IT業界はある程度スキルが高くなければできる商売ではない。いまはそのスキルを持っている知人やその紹介で入社したスタッフばかりだ。

 

「自分の自己責任で、自分のスキルで結果をちゃんと出せて、でも子どももいるから仕事と家庭のバランスを取りたいという人が集まってくるのが理想」

就業時間が短いことを就職の優位点と捉える人や、逆に24時間頑張るような若さを武器に応募する人には向いていない社風と思われる。

 

そんなビズグラウンドと畠山氏の描く未来は「多種多様なベンチャーが自然と、『ビズグラウンドのサービスを使っていると、料金以上のメリットがあって助かっている』と思える状態をつくることができたならば、それこそ甲斐がある。そういう世界観を普及させられるか、きちんとサービスが続けられているかどうかが大事だと思います」

日本の企業数はリーマンショック以後減少し続けて2015年現在約385万社。それでも年間に新しく生まれる会社は10万社ほどある。新企業の1割がBizerを使用して起業すれば、日本経済の底上げにも貢献できると同氏は考える。

本誌がメディアを通しての中小企業の応援団なら、ビズグラウンドはさしずめバックオフィス業務で文字通り中小企業をバックアップする役目を担っている。
株式会社ビズグラウンド (1)
オビ ヒューマンドキュメント 畠山友一(はたけやま・ゆういち)氏…1978年東京都生まれ/2001年日本大学卒業後、富士通アドバンストソリューションズ入社/2004年株式会社リクルート入社 FNX.Div 法人向け通信事業の営業/FNX.Divが株式会社ネクスウェイに分社独立/ネット広告事業立ち上げ 営業マネージャー 兼 SFA/CRM開発責任者/2011年グリー株式会社入社、グリーアドバタイジング株式会社 代表取締役社長/2013年株式会社ビズグラウンド 代表取締役社長

 

株式会社ビズグラウンド

〒101-0051 東京都千代田区神田神保町2-23-2-1107

http://bizground.co.jp/

https://bg-bizer.jp

 

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