経営戦略研究所株式会社 ‐ 読者必見・良い歯科医院選びのポイントとは?
経営戦略研究所株式会社 ‐ 読者必見・良い歯科医院選びのポイントとは?
◆取材:綿抜幹夫
経営戦略研究所株式会社/代表取締役社長 岩渕龍正氏
「歯科医院向けコンサルティング」で地域一番医院を続々輩出!
コンビニより多い歯科医院は、売り手市場だったかつてとは違い、経営の難しい時代を迎えている。 そんな歯科医院に向けたコンサルティングで実績を上げる「歯科医院地域一番実践会」。 主催するのは経営戦略研究所株式会社の社長で、「地域一番化マスター」を名乗る岩渕龍正氏だ。
◎歯科医院コンサルタント・ 岩渕龍正
「自分の力で生きていける人に」
同氏の父は、石川島播磨重工業株式会社(現・株式会社IHI)の購買部に勤めていた。バブル崩壊による不況の折、将来を案じた父は独立を決意。中小企業診断士の資格を取得し経営戦略研究所株式会社を設立、工業系などのコンサルティングを行うようになる。
そんな父から「これからは大企業が潰れていく時代。会社に依存する人間ではなく、自分の力で生きていける人にならなければいけない。その力が身につく会社に就職した方がいい」と助言された同氏は、大学で学んだマーケティングを生かせるコンサルティング会社に就職する。
国内大手経営コンサルティング会社に入社
国内大手経営コンサルティング会社に入社した同氏だったが、入社後は想像と異なる現実が待っていた。雑用のような仕事が多く、思うように現場経験を積めないことに加えて、クライアントのことを考えずに数字ばかり追いかける社風にも違和感を覚えたという。管理職は部下が担当するクライアントの社名さえ把握せず、会議ではひたすら数字について詰め寄られた。
「自分自身、腐ってしまった時期もあった」と振り返る同氏だが、あるとき所属部署内に、歯科医院コンサルティングの企画が持ち上がる。部署が力を入れて取り組まない様子を見かねて疑問を呈したところ、「じゃあ、お前がやってみろ」と指示された。
歯科医院コンサルタントに着手
同社のコンサルティングの柱は「カウンセリング」。初診では、症状のみにとどまらず患者の希望を細かく聞き出したり、治療の段階でも、詰め物の素材や費用などについて十分な説明をおこなうなど、あくまで「患者重視」で進めていく。(写真は実際の歯科医院での診療風景)
こうして歯科医院コンサルティングを担当することになった同氏は、業界の調査・分析に取り掛かる。16年前当時は、歯科医院の数は6万6000軒ほど。すでに、歯科医院の医業収入は右肩下がりという統計が出ていた上、歯学部に通う学生数を考えれば、歯科医師が増え、患者に対して過剰な時代が待っていることは明白だった。
とはいえ、当時はまだ1日平均30人ほどの患者が来院し、ドクター1名にスタッフ3〜4名という規模であれば、月間350万円程度の医業収入が見込め、年収1000万円以上の生活をすることができた。患者が徐々に減っている実感はありながら、危機感を持っていない歯科医師がほとんどという状況だ。
いずれ歯科医院が経営に困る時代になり、歯科医院のコンサルティングにニーズが生まれることを確信した同氏。まずはこの分野で日本一になってやろうと、前例のない歯科医院のコンサルティング部門を社内に立ち上げる。何から何までゼロからのスタートで、週の半分以上は会社に泊まり込む日々が始まった。
独立開業へ
当初は、「医学は仁術」であるべきなのに、医師が経営を考えコンサルティングを受けるなんてとんでもない、と抵抗感を示す歯科医師も多かったという。しかし、そんな苦労を経て3〜4年後には、歯科医院経営に関する独自のノウハウが構築されていた。
事業が軌道に乗ったところで、父が起こした経営戦略研究所株式会社を引き受ける形で独立開業。同社は予算や目標、ノルマなどは一切設けていない。今後も「絶対に上場しないことがポリシー」だといい、株主も同氏と泉夫人のみと、他者からの出資を全く受けていない。成長や拡大ではなく、クライアントに貢献することのみを追求するためだ。
そんな同社のセミナーやコンサルティングは評判を呼び、コンサルタントが足りない状況だというが、コンサルティングは「人間力」が命。徒らに増員することはせず、品質主義を貫いている。
◎地域一番化マスターが教える「良い歯科医院の選び方」
説明しない、話も聞かない
今から40年ほど前は、歯科医院は売り手市場。2階にある医院に、1階まで行列ができる光景も珍しくなかったという。そのころ歯科医師に求められたのは、とにかく早く治療すること。次から次へと患者をさばく能力が、歯科医師の実力を示した。
その時代の名残か、現在でも狭義の治療行為のみに集中してしまう歯科医師は多い。結果、患者への説明は圧倒的に不足し、患者の話を聞かず、気持ちを汲み取らず、言い出せない疑問点は置き去りにされて治療が進んでいく。
歯科医院の数は現在およそ6万9000軒と、コンビニよりも多い。予測通り、歯科医院経営は厳しい時代に突入した。生き残るために必要なのはコミュニケーションだ。「痛くなったら歯医者に行き、痛いところだけ治す」という従来の歯科医療のあり方を変えられれば、自院の患者獲得はもちろん、歯科医療業界全体が息を吹き返せる。
カウンセリング重視の診療を
同社のコンサルティングの柱は「カウンセリング」だ。自分の医院の魅力を知り、それを患者に伝えること。初診では、いきなり診察台で口を開かせるのではなく、まずカウンセリングルームに案内し、じっくり話をする。自分の医院を選んだ理由を尋ね、他院から移ってきたのであれば、そこで満足できなかったことや、本当はこうして欲しいという希望を聞く。痛いところだけではなく、実は歯の黄ばみ・黒ずみもきれいにして欲しいかも知れない。噛み合わせに違和感があるかも知れない。そういった希望を掘り起こし、応えていく。
削る・抜く段階の治療が終われば、詰め物が必要だ。銀歯、金歯、セラミック、レジン。それぞれの材料のメリット・デメリット、保険・自費の違いなどを説明し、選択肢を示した上で、あくまでも決めるのは患者という一線を守ること。十分な説明をせずに押し付ける「いいから私に任せなさい」型の医師は、遠からず淘汰されるだろう。
歯科医療は「予防歯科」の時代へ
日本人の80%が罹っているといわれる歯周病や、口腔内の細菌についての意識付けも重要だ。歯周ポケットや細菌の検査をしなければ分からないことも多い。きちんと説明し啓発すれば、患者の意識も変わってくる。
現在、歯科医療は「予防歯科」重視の傾向にある。悪くなってから初めて通うのではなく、悪くならないためにこまめに通院するという考え方だ。痛いところだけ治療する生活を送っていると、80歳になったときに自分の歯は8〜9本だ。対して、3カ月ごとに予防に通い続ければ、80歳で16本ほど残るといわれている。予防への意識で、これだけの差が生まれるのだ。
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虫歯や歯周病を抱えている人は日本人の90%。これに対して、歯科医院に通っている人の割合は10%を上回るかどうか。3%に満たないとする説もあるという。予防歯科を広く普及させられれば、国の財政を圧迫する40兆円もの医療費の削減にもなる。予防歯科が国民の習慣になれば、歯科医院が多すぎるなどと言っていられない状況がやってくる。
岩渕龍正( いわぶち・りゅうせい)氏…学習院大学経済学部経営学科を卒業後、国内大手経営コンサルティング会社に就職。2005年、経営戦略研究所株式会社代表取締役社長に就任。現在40歳。
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