良質なコンテンツの4つの条件とその作成方法(後編) ‐ 冨田和成 株式会社ZUU
◆文:冨田和成(株式会社ZUU 代表取締役社長兼CEO)
ここ最近、TwitterやFacebookなどSNSを通じて様々なコンテンツを目にする機会が増えたのではないでしょうか。この背景には潜在的な見込み客を、読み物などを通じて「ファン化」させていく施策として注目を集めている「コンテンツマーケティング」の流行があります。
コンテンツマーケティングとは、読者にとって有益な情報を配信することで、エンゲージメント(愛着心)を高めることを狙いとしたマーケティング手法です。コンテンツマーケティングは理解促進を実現する施策として優れているだけでなく、良質なコンテンツに対しては読者が自ら拡散し、配信元の認知拡大に貢献する場合も多々見られます。
本コラムの前編ではそのような「優良コンテンツ」を制作するにあたっての基本的な要素や作法をお伝えしました。この後編では、コンテンツが「優良」であるために不可欠な要素とは何かをみていきましょう。
■条件その3 読み手に気づきを与える独自性
何らかの気付きを感じさせないコンテンツには価値を感じられません。多くのコンテンツにユーザーが価値を感じられないのは、既に世にある情報を単に集めてきただけのものが多く、さまざまな意味での独自性を持たないためです。
コンテンツマーケティングを行う上では、そのようなコンテンツは意味がないどころか、却って効果を妨げる場合もあります。それでは独自性のあるコンテンツとはどういうものなのでしょうか。
・一次情報(実体験やオリジナルの情報)に基づいている、または一次情報が中心である
・テーマや切り口が独創的である
・独自の分析や視点が盛り込まれている
・著者の人間性が表れている
“著者の人間性”の表し方には工夫が必要ですが、無機質なテイストのコンテンツが多い中では、著者のパーソナリティも、大切なコンテンツの構成要素となり得るでしょう。プロフィールや写真といったちょっとしたディテールも読者にとっては重要な情報です。
■条件その4 役に立つ、使える
良質なコンテンツの条件の最後は、”ユーザーの役に立つ”ことです。「読んでみて良かった」と感じることで、初めて体験価値を得ることができます。
それでは「役に立つ」コンテンツとは具体的にどういうものでしょうか?
・課題と解決案が明解である
そのためにはターゲットユーザー像が明確であることが必要です。
・実践的である
抽象的で曖昧な内容ではなく、具体的な論点、記述であることが求められます。
・信頼できる情報または情報源を利用していること
切り口がユニークであっても、参照している情報の信頼性が不足していると、結局は役に立たない内容になってしまいます。
・根拠や論理(ロジック)が明解であること
論理の組み立てが明確でないと納得感が薄れ、いわゆる”腹落ち”しません。
・情報量が豊富または適量であること
文字数、参照データ数、連載数などの情報量が、コンテンツの趣旨や内容、読み手の心理や状態に適したであることが必要です。
先ほども述べた通り、大事なのは読んで欲しい「ターゲット」を明確に設定し、そのターゲットの思考や行動についてよく調べることが必要でしょう。
いつ、どこで、どのような時にこのコンテンツに触れるのか、そしてどのような「検索キーワード」でこのコンテンツに接触するのか。どんな興味を持っていて、どんな内容であれば「刺さる」のか。マーケティングの基本的なフレームワークである5W+1hを意識しながらターゲット像を明確にしていくと良いでしょう。
それらに加え、コンテンツを「探してもらう」うえで重要なSEO対策を施したコンテンツを制作することができれば、あとはいかに継続的に制作・配信を実施できるか、その仕組みづくりが重要となるでしょう。
筆者プロフィール/冨田和成(とみた・かずまさ)
神奈川県出身。一橋大学在学中にIT分野で起業。
【お問い合わせ先】 株式会社ZUU