留学で学ぶものは英語だけじゃない。これからの社会を生き抜く力だ 【第2回】あなたの子孫をたくましく育てる方法
あなたの子孫をたくましく育てる方法【第2回】
留学で学ぶものは英語だけじゃない。これからの社会を生き抜く力だ
◆大場規之(ISC留学net代表)
アメリカの高校の通学風景
静岡県の個別指導塾「和田塾」が運営する留学支援組織「ISC留学net」の代表を務める大場規之による連載「あなたの子孫をたくましく育てる方法」。第2回は、これからの時代を生き抜く若者に必要な「生きる力」と「英語力」について語ります。
英語需要の高まりで留学に注目が集まる
「留学で学ぶものは英語だけじゃない。これからの社会を生き抜く力だ。」
このセンテンスは、ISC留学netのパンフレットやポスターで訴えかけているもので、ISC留学netから留学希望の生徒さんや親御さんに向けての強いメッセージです。
留学希望者とその親御さんの多くは「英語を身につけるために留学をしたい、留学をさせたい」と思っています。それは留学をする動機の筆頭としてお考えになるのは自然なことです。
実は昨年ぐらいから、そのように留学を意識する学生と保護者が全国的に増えてきており、教育業界でも再び留学という選択肢が注目を集めてきました。これからの時代を生きる若者にとって、年齢、学歴、職歴などを総合的に判断して、キャリアプランの中に留学を組み入れることが必要な時代になってきているのです。
この流れのきっかけとなったのは2010年に楽天が導入した〝英語の社内公用語化〟です。この発表以来、ビジネスの世界において英語力がクローズアップされ、日本人や日本企業が世界で生き残るために英語力は必須という雰囲気が広まりました。ビジネス界で起きたこの潮流が2010年からの5年間で一般社会にも波及し、社会人の積極的な英語学習や、高校や大学におけるグローバル人材育成の流れが加速しています。この流れに乗って、幼児期の段階で子供に英語を習得させたいと考える親御さんも増えてきました。
そういった社会背景があり、ISC留学netにも将来のことを見据え、子供に留学をさせたいという親御さんや、留学をしたい学生さんからの相談が寄せられることが多くなっています。
このように留学への注目が高まる中で、ISC留学netが、実際に留学をして帰国した皆さんに、「留学をしてどんなことを習得できましたか? 達成感の高い順番に挙げてください」という質問をしたところ、次のような回答が得られたのです。
◉留学をして習得できたこと
1位:自分の力で物事をやり遂げる「自立心」
2位:相手の考えを尊重しつつ、自らの意見や意志をはっきり持つ「共感力と意志力」
3位:様々な人とのふれあいを通して、日常の世界で得られる「コミュニケーション力」
4位:陽気さあふれる海外で得た前向き、上向き、外向きな「明るさとポジティブさ」
5位:海外の文化にふれることで得られる「世界的な視野・視点」
6位:留学へ行かせてくれた親への「感謝の気持ち」
7位:現地で身についた「英語力」
なんと、多くの留学経験者が最後に答えたのが「英語力」だったのです。英語力を得て帰国した留学経験者への質問でしたが、留学で得られたことの中で、英語力に対する達成感が低いのは、意外と言ってもいいでしょう。
その理由を考える前に、1980年に私が17歳でアメリカ留学をし、初めて3カ月の海外ホームステイ体験をした時の話をご紹介します。
自力で苦難を乗り越えて培う〝生きる力〟
1980年のアメリカ留学で仲良くなった友人たちとの一枚
サンフランシスコで知り合った友人の家から日帰りツアーに一人で参加したある日の話です。ツアーが終わり、友人宅方面に向かう最終バスに乗り込みました。しかし、降りるべきバス停を乗り越してしまい、見知らぬ町のバス停で下車することになってしまったのです。
季節は真冬の2月。その日は冷たい雨が降っていました。時間は夜9時頃で辺りは真っ暗。途方に暮れて、傘を差しながら見知らぬ街をトボトボと歩きました。人影もなく、涙が出るほど心細かったことを今でも覚えています。
しばらく歩いていると、犬を連れた60代位のおじさんとすれ違い、私は藁をもすがる気持ちで、つたない英語で一生懸命に話し掛けました。
アメリカは物騒だから、夜の街で知らない人に声を掛けても返事をしてくれない、ということは聞いていましたので、ダメもとで声を掛けてみました。
「帰り道がわからなくなってしまったんです! 公衆電話はどこかにありませんか?」すると、おじさんは「わかった。俺の家で電話すればいいよ。付いて来なさい」と、やさしく親切に返事をしてくれたのです。神様に救われた気がして、パアッと目の前が明るくなりました。
その後、おじさんの家で電話を借り、無事に友人と連絡が取れ、友人がそのおじさんの家に迎えに来てくれることになりました。今でもその時の安堵感や、おじさんの家の光景が目に焼き付いています。
今振り返ると、その時が人生で最も英語で自分の想いを正確に伝えることができた瞬間だと思います。やはり人は窮地に立たされた時、必死になって本気で伝えたいという気持ちがあれば、英語が下手でも想いは通じると実感しました。そして、その経験が、私に〝生きていく自信〟を与えてくれたと言っても過言ではありません。
たとえ英語を流暢に話せなくても想いや気持ちは通じるもの。必死になる事、努力する事、あきらめない事が大事。そして、そうした姿勢や心構えで生きるべきという戒めが、今にして思えば、その時に私の体の中にしみ込んだような気がしています。
これは、私の一エピソードでしかありませんが、留学を通して、言葉の通じない海外で英語を学び、学問を学び、学校を卒業して、たくましくなって帰ってくる若者のほとんどが、苦難を自力で乗り越えた体験をしています。長い留学生活であれば、大変な経験を何度もするでしょう。日本の社会ではなかなか味わうことのできない厳しい環境だからこそ得られる、とても貴重な物なのです。それら一つ一つの経験が、留学をした若者の人生を形成する血となり肉となり、生きる力を育むのです。
改めて、前述の留学生に対する質問の回答についてです。私は、こうした経験を持つ者として、留学で身についたと実感したことが、英語力以上に、自立心やコミュニケーション能力であったという結果は、まったく意外ではないのです。
若者たちがグローバル化された社会を生きる上で、自立心やコミュニケーション能力、忍耐力といった〝生きる力〟と〝英語力〟は、もはや必要不可欠のものであり、強い経営者の後継者たるべき人間に求められるものであることは間違いありません。
これからの若者に求められる、このような〝生きる力〟と〝英語力〟を一挙両得で得られる方法が〝留学〟なのです。
ISC留学netは留学を通して、日本全国の若者たちをたくましい人間に育てていきたいと考えています。
プロフィール
大場規之…1963年、静岡県生まれ。慶応義塾大学理工学部卒業後、大手計測機器メーカーに勤務し、フランス、ドイツを中心に欧州に駐在。帰国後、株式会社和田塾専務取締役に就任。
静岡県議会議員、建設会社取締役を経て、株式会社和田塾代表取締役に再就任。
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