オビ コラム

イマドキのビジネスはだいたいそんな感じだ!16 

社内報で社員のパフォーマンスを上げる方法

◆文:佐藤さとる

 

 

超人材不足時代に急に突入して久しい─。

「ん? 日本語としてどうなんだ?」と思うかもしれないが、いま起こっていることはだいたいそんな感じだ。で、そうした事態の解決策として紙の社内報が有効であるということを、前回開陳させていただいた。(人材不足時代を乗り切るには「社内報」を使え

 

もう一度確認しておくと、「いまの人材不足を乗り切るなら、社内報を通じて社員1人ひとりのパフォーマンスを上げることに尽きる」のだ。

早合点してほしくないのは、社内報の本来の目的は、「コミュニケーションを活性化すること」ではないことだ。そこはあくまで通過点だ。

 

話はややそれるが、いま日本中のいたるところで地域おこしが行われている。最近では「地方創生」という言い方が時流に合っているかもしれない。行政関係者や商工会などの偉い人にその目的について聞くと「地域活性化のため」と返ってくることが多い。

ワタシはそういう地域は今後も浮上しないと思っている。だって地域を活性化するだけなら、手法などいくらでもあるし、少なくとも「人が集まった」という実績があれば、それだけで「地域活性化の成果」とみなされてしまうからだ。

極端なことを言えば、億のカネを使って100人の人を集めても「成果」となってしまう。逆も言えて、タダで1人でも集められたら「効果」があったとなる。だからみなネットを使った安易な「口コミ」や「炎上マーケティング」に走ってしまうのだと思う。後先考えずに、ね。

活性化は目的ではない。

 

企業コミュニケーションも同様で、「活性化させてどうするか」という目的まで描かれていなければ、費やしたカネと手間と時間の無駄となってしまう。

じゃあ社内報の目的は何だと言えば「社内外の的確な情報をきちんと整理共有して、時代変化に対応できる優れた社員を育てること」である。もっと短い言葉でいうと「時代に合ったデキル社員を増やす」のだ。

「それだったらSNSとかで十分じゃん」という意見もあろう。それは申し訳ないが情報の本質を突いていない。ネットやSNSに流れる情報は基本的に「つまみ食い」されるものなので、人を育てるに十分な栄養とはならないからだ。一方紙の情報は、記憶に留まりやすく、媒体を持っていれば繰り返し目にすることができる。なんとなればその場で書き込みもできる。つまり紙の媒体は思考を深耕させる特性を持ち、自分の頭で考えることができる人材が育つのである。屁理屈っぽい? う〜ん。そういう方には前回同様「嘘だと思うなら発行してみればいい」と返すしかない。

 

ワタシは実際、ある企業グループで紙の社内報によって離職率を下げ、社内の風通しを良くして、社内報編集に関わった人材がその企業のコア人材として成長していくのを確認している。仕事や組織の改善・改革の案も増えた。そこではネットの配信も行っていたが、ほとんど読まれなかった。効果は紙だからあるのだ。

 

実はこうした紙の社内報の効果を大手企業も再認識し出している。パナソニックは去年、紙の社内報を2年ぶりに復活させた。理由は以前発行していた電子版が読まれなかったためだ。

トヨタでは紙の社内報が発行されると「大切なものだから家庭でも読んで欲しい」と、上長が所属社員に手渡ししているという。そこにはトヨタの理念・ビジョンを実現するためには社員だけでなく、家庭でもそれを共有浸透させる必要があるとの認識がある。

 

ついでだから、社内報を発行することでほかにどんな効果が生まれるのかも挙げておこう。

 

①社員のモチベーションを上げる

②社員のロイヤリティが上がる

③社員に自信がつく

④洞察力がつく

⑤思いやりが出る

⑥企画力がつく

⑦営業力がつく

⑧バリュー・チェーンが強固になる

⑨収益力が上がる

⑩ブランド力がつく

⑪良い社風が培われる

⑫良い人材が集まる

 

社内報は会社のブランド価値、収益力を高め、優れた人材が集まりやすくなる環境をつくり出す。確実に、ね。

イマドキのビジネスはだいたいそんな感じだ。

 

オビ コラム

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