はじめに知っておかなければならない ウェブマーケティングのいろは – 冨田和成 株式会社ZUU
◆文:冨田和成(株式会社ZUU 代表取締役社長兼CEO)
前回は「ウェブマーケティング」の非常に確度の高い手法の一例としてコンテンツマーケティングを紹介しました。
しかし、いざウェブマーケティングを始めようと思っても、何をすればいいのか分からないというのが実情ではないでしょうか。そこで今回は、ウェブマーケティングを始める上での基本について紹介していきたいと思います。
まず、考えなければならないのは、「そもそも何のためにウェブマーケティングをするのか」という目的・目標の決定です。
元来マーケティングとは顧客の求めるサービスや商品を、より効果的に顧客に届けるために行う活動を意味します。その発祥は19世紀末と非常に古く、もちろんマーケティングの手法も様々です。
その中でウェブマーケティングが何をできるかを考える必要があります。それは認知度の向上や商品理解度の向上といった基本的なものはもちろん、オンラインショップや実店舗への誘導というウェブ独自の役割も考えられるでしょう。これが大きな意味でのウェブマーケティングの「目的」となります。
目的が決まったら、次はその目的を達成する基準となる「目標」の設定を行います。これは必ず数値を具体的に設定し、達成できたのかできなかったのか、できなければどのような原因でどれくらい目標値に届かなかったのかを分析できるようにしておかなくてはなりません。
これはPDCAサイクルと呼ばれるものです。「P」はPlan、実行するための計画を立てます。「D」はDo、計画を実行に移します。「C」はCheck、実行した結果を分析します。「A」はAction、分析結果をもとにどのような改善をすべきかを考えます。Aが終わればまたPに戻り、より目的に近づくために計画を修正していきます。
目標値の設定をする際には、マクロ視点とミクロ視点を使いましょう。マクロ視点とはより規模の大きい目標値です。例えば市場でのシェアを5%拡大するであったり、自社売上比率の3%を獲得する、といったようなものです。対してミクロ視点はもっと具体的な数値です。「シェアを5%拡大するためには○億円の売り上げが必要だ」、「自社売上比率を3%獲得するためには○件の成約が必要だ」といったようなものです。
こうして目標値をより具体化することで、ウェブマーケティング担当として具体的に何をすればいいのかを明確にしていきます。
では次に、ウェブマーケティングの具体的な手法について簡単に見ていきましょう。それぞれの特性を理解し、目的・目標に合った手段を選択します。
まず集客をするためのウェブマーケティングの手法について考えていきましょう。
例えばSEO。これは、Search Engine Optimization(検索エンジン最適化)と呼ばれるもので、検索した際に上位に表示されるための施策を起こして、サイトへのアクセス流入を促進する手法です。あるいは、リスティング広告と言って、検索エンジンの検索結果ページに表示される広告を指します。キーワードの性質上、上位表示が望みにくいキーワードでも広告として表示することが可能になります。Google AdwordsやYahoo! リスティングなどが国内では有名なリスティング広告です。
他にもウェブメディアへの広告出稿や、自社サービスに関連したコンテンツを提供するサイトを作成して、サービスのサイトへと誘導するコンテンツマーケティングや、TwitterやFacebookを利用したSNSマーケティングなどがあります。
次に、訪問者を商品購入や会員登録といった、顧客へと転換するための有効な手法についてですが、ひとことでいうと「サイトの最適化」につきます。これを実現するにはサイトへの「訪問者数」や、1ページだけ閲覧してサイトを離脱した「直帰率」、サイトページを見て顧客へと転換した「コンバージョン率」などを調査し、それらをもとに対策を講じる必要があります。Google Analyticsやadobe analyticsなどが解析ツールとしては代表的です。
最後に、事業を継続・成長させるためには自社商品やサービスを継続的に利用してくれる優良顧客の存在が欠かせません。一度顧客化に成功した後、継続して商品購入を起こしてもらうためには、リピート率・顧客生涯価値(LTV=Life Time Value)の向上が重要になります。
そのために必要なのが、顧客関係管理=CRM(Customer Relationship Management)です。顧客満足度を向上させ長期的な関係を築くために、顧客属性や過去のコミュニケーションを記録・管理し、社外のビッグデータを活用して分析することで、顧客のニーズやシーズを掘り起こす取り組みやシステムのことをいいます。
また、自社に長期的な価値をもたらしてくれる優良顧客の選択・管理をすることも可能になります。そして、顧客ひとりひとりの「価値」を示す指標が前述したLTVです。これは、取引期間において顧客が企業に対してもたらしてくれる利益を算出したものです。この指標を可視化し追っていくことで、自社の優良顧客について知ることが可能になります。
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以上のようにウェブマーケティングとは、ウェブを利用することで、訪問者を集め、顧客を作り、リピート顧客を育てることが可能となるわけです。
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筆者プロフィール/冨田和成(とみた・かずまさ)
神奈川県出身。一橋大学在学中にIT分野で起業。
【お問い合わせ先】 株式会社ZUU