銀行が見放さない資金繰りの方法 ‐ 「銀行融資の考え方」
銀行が見放さない資金繰りの方法
「銀行融資の考え方」
◆文:小泉昌克(株式会社ササエル)
お金のある中小企業A社とお金のないB社とがあります。
A社にはお金があって、B社にはお金がない。この違いはどこに根ざすのでしょうか? 今日は資金繰りという側面から考えてみましょう。
多くの場合、経営者の銀行融資の考え方にあります。
お金のあるA社では、融資のお金をどのように経営に役立てるかを考えています。インフラを整備して効率化を図ったり、人材教育に充てて社員のスキルアップを促進したり等々、目的が明確でした。そのお金を上手に使うことで、売上をさらに増やしたり、利益率を上げたりしているのです。さらに銀行融資の一部は、全く使わずに通帳にストックされていました。今後思わぬトラブルにより大幅な売上減少や出費が起こる可能性や設備増強の可能性を考え、保険として融資をしていたのです。ストックしておくなんて金利がもったいないと思う人もいるでしょうが、率より量が大事なのです。
実際皆さんの周りでも、高金利でお金を借りてしまう社長さんの話を聞いたことはないでしょうか? まさに率より量が大事であるからこういうことが起きるのです。金利は損益計算書上、営業外費用として支払利息という科目に記載されますが、実務上は、金利は営業上の経費と考えてください。支払利息という営業上の経費を使って、お金を銀行から購入し、経営に役立てるのです。そして金利の利率というのは、業績が安定していれば、銀行との金利交渉も有利になり、必然的に下がっていくのです。上手にお金を回しているA社になると、金利も経費削減することができるのです。
こうして、A社は常にお金のある状況を自ら作り出しています。
さて、お金のないB社はどうでしょうか。
B社は、お金は足りなくなるものであり、その足りない分は、銀行から借りれば良いと考えています。だから、いつも借りた時が一番預金残高が多くて、時間が経つとともに日に日に残高が減っていきます。 つまり銀行融資の目的が赤字補填になっているのです。お金に対する考え方がこういう考え方ですから、財務改善はもちろんできていません。毎期同じようなことが起こります。
そしてついに金融機関から 「もうこれ以上お貸しできません」 と言われてしまいました。そしてB社の社長はこう思うのです。「金融機関に貸し渋りをされた」と。
財務改善をせず、ただ借りたお金で会社を回していくと、必ず資金繰りに無理が出てしまい、借入残高がどんどん増え、そのうち借入返済のためにお金を借り、ついには銀行から三行半を突きつけられ途方に暮れる、という悪循環になってしまいます。そうならないためにも、経営改善・財務改善を常に行わなければいけません。どんな優良企業でも、常に改善を行っています。
いえ、逆ですね。常に改善している会社が優良企業と呼ばれるようになるのです。
さて、あなたの会社は、A社とB社、どちらを目指しますか?
プロフィール
小泉昌克(こいずみ・まさかつ)…1973年北海道生まれ。企業再生コンサルタント。大手信用金庫・会計事務所、ベンチャー企業でのCFO(最高財務責任者)等を経て、株式会社ササエルを設立。金融機関・会計事務所・事業会社での三社三様の勤務経験を活かし、中小企業の「オカネ」の悩み、「ヒト」の悩み、そして社長の「ココロ」の悩み、を解決するために、日夜奔走中!
株式会社ササエル
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