◆文:増田倫洋 (増田税理士事務所)

 

増田倫洋 税理士2

Biglife21をお読みの社長の皆様、

「事業承継」について考えたことありますか?

「自社の価値」計算したことありますか?

 

「まだまだ先のことだと思って考えてなかった」「いつか考えなきゃと思いながら先延ばしにしていた」そんな感想を持たれた社長さん、結構いらっしゃるのではないでしょうか?

 

でもそれでいいのでしょうか? 私たちは必ず死を迎えます。その時がいつになるのか分かれば本稿を読んで頂く必要はないのですが、そればかりは神のみぞ知る。極端な話、数か月後に迫っているのかもしれません。いや、今日家に帰る途中、事故に遭って命を落とすことだって有り得なくはない。

こういった煽り方をしておいてなんですが、本稿はそうした「いつ亡くなるかわからない危機意識」を頭の片隅に置いた上で読み進めて頂きたいのです。

 

社長が亡くなる時、社長がお持ちの会社(株式)は相続財産となります。

相続財産になるということは、どんな意味を持っているでしょうか?

相続財産になるということ、それは当然ですが遺産分割の対象となるということです。

遺産分割協議の結果、後継者が全ての株式を相続することが出来れば良いですが、そうそう上手く話がまとまるとは限りません。遺産分割協議の結果、相続人で均等に分割せざるを得なかったり、社長が思い描く結果とは違う結末を迎える可能性もゼロではありません。

親子間での共有は解消がしやすいのですが、ご兄弟での共有となってしまうと、世代交代が続く度に株式が分散されてしまい鼠算式に関係者が増えていきます。そしていつかは遠い親戚で1つの会社の株式を持ち合うことになります。そうなれば当然、持ち合いを解消するのは非常に困難です。持ち合いを解消するには、贈与、譲渡、自社株の買取等、複数の方法が考えられますが、いずれの方法をとるにせよ多額の資金が必要になることが予想されます。

 

ですから、今社長さんがお持ちの株式については社長さんが元気なうちに、会社の将来あるべき姿を思い描き、そこに向けて準備をしておく必要があるのです。

 

そこで、この記事をお読みの皆さん、貴社の財産価値、どのくらいだと思いますか?会社の株価は基本的には決算書の純資産の金額と思って頂いて差し支えありません。

その金額を株数で頭割りすると1株あたりの株価が算定できるわけです。

ただし、中小企業は一般的にこの純資産の額が高額になることが多く、一株当たりの株価も予想以上に高額になってしまうことが良く有ります。

そこで、財産評価基本通達においては類似業種比準価額という同業他社の平均的な株価や業績指数を斟酌することで、株の評価額が不当に高額になるのを防ぎ、評価上の安全性を確保しています。

会社の規模や売上、従業員数によりどの程度斟酌するかは異なりますが、50%~90%をこの類似業種の株価を斟酌して計算します。

ということは、自社株の評価は自社の業績とは関係ない基準により評価が上下してしまうのです。

 

現在の一般的な市場動向はどうでしょう?

昨年から続くアベノミクの効果で2013年の初旬から比較すると日経平均は1.5倍程度上昇しています。業種にもよっても上昇率は異なりますが、全体的に上昇傾向に有るのは間違いありません。ということは、自社の業績とは無関係に斟酌すべき類似業種の株価は上昇し、自社株の評価額も上昇しているのです。

 

しかし、ご安心下さい。類似業種の価額は贈与前3ヶ月の各平均価格、前年の平均価格のうち、いずれか安い金額を採用します。ということは、今年中に贈与すればまだ株価が上がりきっていない昨年の平均を使うことが出来るのです。

 

まだ事業承継について考えていないのであれば、これを機に事業承継を考えてみてはいかがでしょう?顧問税理士に相談すれば概算の株価、事業承継の方法等、良いアドバイスを貰えるはずです。

 

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増田倫洋(ますだ・ともひろ)…明治学院大学 卒業

平成21年1月 個人会計事務所へ就職(相続税部門配属)

平成23年4月 税理士登録

平成26年1月 「増田税理士事務所」を開設

増田税理士事務所

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