鶴岡少年少女発明クラブ(日本国末端技術研究所 )|こけら落とし
日本国末端技術研究所 こけら落とし
鶴岡少年少女発明クラブ(山形県鶴岡市)
子供と花火と色物と…
正直、この時期に東京から山形に行くためにはきちんと事前に(それも相当前に)移動手段や宿を確保し、万端の準備をするのが普通だろう。そりゃそうだ。何と言っても民族大移動、お盆の真っ只中なのだから。
だが、仕事となれば無理を承知で手だてを探す。何とか夜行の高速バスに潜り込み、堅いシートでの長旅に耐え、一仕事終える。
そして、その後に待っていたのが『もてなし』、これが感動ものだった。
実際のところ、その『もてなし』は、東京にいても見ることができるものばかりだ。しかし、不思議なもので土地の魅力や、人情という隠し味が加わることで味わいががらりと変わってしまうものらしい。
今回訪ねたのは山形県鶴岡市の秋山鉄工株式会社『日本国末端技術研究所』こけら落とし。だが、一介の町工場のオープニングセレモニーとはその趣はぜんぜん違っていた……。
新工場開業のお祝いではあるが、同時にそれは子供たちの施設開所の祝いでもある。そこで活動するのは地元の小学生たち、『鶴岡少年少女発明クラブ』の面々だ。今は、秋に開催される『第5回全国少年少女チャレンジ創造コンテスト(通称:チャレコン)』の準備に余念がない。
新しい活動の場を得て、今後ますます発明に磨きがかかることであろう。そして、念願の全国大会出場を成し遂げるに違いない。
祝いの席に用意されていたのは演芸だ。東京から芸人を招いての『演芸会』である。登場したのは柳家紫文(やなぎや・しもん)と、お弟子さんの柳家小夏(こなつ)。落語協会に所属する音曲師だ。
音曲とは楽器等を用いた芸能を指すが、昭和の時代にはお笑いの大きな潮流だった。今でこそ漫才と言えばいわゆる『しゃべくり』だが、少し前には楽器を持った音曲漫才が一世を風靡していた。例えば『かしまし娘』などが有名だが、残念なことに今ではすっかり鳴りを潜めているジャンルである。
その派生形にはコミックバンド(クレイジーキャッツやドリフターズが有名)やボーイズ(玉川カルテットやモダンカンカン)があり、誰もが1度は目にしたことがあるだろう。
柳家紫文は、普段色物(寄席において落語と講談以外の芸)として定席寄席で芸を披露しているが、楽器を使う賑やかな音曲こそ、こういうおめでたい席での芸としてぴったりだ。彼を招聘した秋山社長のセンスには脱帽である。
そして『夜の部』は赤川花火大会だ。
この花火大会は、日本の花火100選でベスト10に入った全国でも屈指の大会だ。赤川河川敷の両岸を利用した幅広い会場から打ち上げられる。このワイド感が、特に都会の花火大会と一線を画すポイントで、実に美しい。ご用意いただいた観覧席も特等で、その臨場感たるや筆舌に尽くし難い。
また、花火師が競い合う『全国デザイン花火競技会』という側面もある。だからこそ、高い評価を受け、全国各地から観覧客が訪れる人気の大会なのだ。
1日の間で、これだけの『もてなし』を受ける機会はそうそうない。その感動は山形の土地柄のおかげもあって、通常の5割増し(当社比)であった。
あわただしい取材の旅に、毎回こんなイベントがあったら……。いや、身がもたんか(笑)。
プロフィール
秋山鉄工株式会社
〒997-0011 山形県鶴岡市宝田1-10-1
℡0235-22-1850
http://handrey.com/akiyamatekkou/
鶴岡少年少女発明クラブ
℡0235-57-4865
http://kids.jiii.or.jp/
◆2014年10月号の記事より◆
WEBでは公開されていない記事や情報満載の雑誌版は毎号500円!
▸雑誌版の購入はこちらから
▼記者が選ぶおすすめ記事 ▼
秋山鉄工株式会社 慶応の先端研にちなんで末端研!? 子供たちのモノづくり拠点、日本国末端技術研究所完成!
「実は鶴岡には有名な『慶應義塾大学先端生命科学研究所』というのがありまして。近所に『先端研』があるなら『末端研』があっても面白いじゃないか。それが命名のきっかけです」
秋山鉄工株式会社 奇人、変人、然れど武士──。経営者道というは、磨くこととみつけたり。子供の教育は天から与えられた使命
「子供っていうのはですね、使い古された言葉ですが、本当に国の宝なんですよ。この国の将来をどうするかっていうことは、その宝をどう磨くかっていう、そのひと言に尽きると思うんです」
忘年会旅行の一コマ。例年のことだが、旅行会社を通すことなく、交通手段から宿泊するホテルの手配まで、すべて社員が手づくりで準備をし、段取りを組む。そして、「宴会の料理は通常より40%ほど減らして用意してください」と電話で注文。更に、「酒類はその都度飲む量だけ注文しますから、飲み放題セットはけっこうです」。これだけを聞くと何だかケチな会社のようだが、しかしその次の言葉を聞いて、ホテルの受付係は自分の耳を疑うことになる。「料金の割引きは必要ありません。通常の料金をお支払いします」