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あなたの会社は男性女性双方から好かれていますか?

~時代遅れの会社と言われないために~

◆文:山王 裕之(社会保険労務士山王裕之事務所)

 

7月1日施行、男女雇用機会均等法・「新」施行規則

雇用における男女の格差を少なくして女性の活躍をさらに進める目的で改正が行われました。この7月1日に施行です。その中で今回は職場におけるセクハラに関する改正について取り上げたいと思います。

ところで、改正前の現在の規制について少しおさらいしましょう。とても大切な条文ですので全文引用します。(あなたの会社の人事部門の責任者はこれを暗唱できますか?)

 

男女雇用機会均等法・第11条

事業主は、職場において行われる性的な言動に対するその雇用する労働者の対応により当該労働者がその労働条件につき不利益を受け、又は当該性的な言動により当該労働者の就業環境が害されることのないよう、当該労働者からの相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備その他の雇用管理上必要な措置を講じなければならない。

 

これがセクハラに関する規制の根拠条文になります。

途中の表現が硬くてわかりにくいですが、条文ラストに「~講じなければならない」とあることから、これは努力規定ではなく明確な「義務」規定といえます。つまり、雇用管理という視点から職場におけるセクハラ対策を事業主に義務づけているということです。これだけではわかりにくいので、あなたの会社の規則や社内体制が法律の求めるルールに合っているかどうか、以下に簡単なチェックリストをつけますので、自己点検してみましょう。

ちなみに、これらはあなたの会社に「全て必要」な内容ですが、必要な対策をとらず、各都道府県の労働局や労働基準監督署などの是正指導に応じない場合、「企業名公表」の対象になります。当然、企業ブランドは地に落ちます。採用活動においても致命傷となります。

 

心の準備はいいですか? さあ始めましょう。

 

□職場におけるセクハラ実態把握のために、社内アンケートや意見交換会を実施している。

□就業規則などの社内規定にセクハラの内容・禁止・懲戒規定について定め、社内イントラネットに掲示したり全労働者に通知したりしている。

□相談や苦情に対応する担当者をあらかじめ定め、対応の仕方やカウンセリングの知識について研修を実施している。

□セクハラ相談を受けた場合の、事実確認や行為者・被害者への対応、人事上の措置、再発防止措置について、一連の業務手順があらかじめ定めてある。

□相談者・行為者のプライバシー保護、および、相談による不利益取扱い禁止のための対策を定めていて、全労働者に周知している。

 

いかがでしたか? もし1つでも漏れているなら、大至急手当しましょう。

 

さてそれでは7月1日改正の内容です。実は、前述の条文の第2項に次のような規定があります。

 

第11条2項

厚生労働大臣は、前項の規定に基づき事業主が講ずべき措置に関して、その適切かつ有効な実施を図るために必要な指針を定めるものとする。

 

これもわかりにくい表現ですが、実は今回の改正はこの「指針」部分で、事業主の義務が増えました。おおまかに4つあります。

 

1.同性間でもセクハラ。

2.社内規定を作るとき、および、労働者へ周知するときに、「性別による役割分担意識にもとづく言動がセクハラ発生の原因や背景になりやすい」ことを盛り込む。

3.セクハラ発生後の相談対応だけでなく、「発生のおそれ」「セクハラ該当か微妙」の場合も相談対応を義務づける。

4.被害者がメンタル不調になった場合の相談対応を義務づける。

 

「1.同性間セクハラ」や「4.被害者メンタル対策」がクローズアップされることが多いですが、実務上は「2.」が非常に重要になります。

実はこの指針の趣旨は、単に前述の「2.」を社内規定に盛り込んだり労働者に周知したりすれば済むことではありません。セクハラの原因や背景として「性別による役割分担意識にもとづく言動」を明らかにしたことにより、社内規定の内容に加える義務内容と労働者へ周知する義務内容が増えると共に、もしセクハラが発生した場合、「性別による役割分担意識にもとづく言動」があったとみなされる恐れがあるということです。

 

つまりその会社は、男女の性別による役割分担意識、言い換えれば、男性が幹部候補で女性が補助的な立場という男尊女卑の考え方が根強く残っている時代遅れの会社だと思われてしまうということです。もちろんこれは女尊男卑でも同じです。

前述の「企業名公表」と同様、企業ブランドは地に落ちます。採用活動においても致命傷となります。

異性に嫌われて生きてゆける会社は、今の時代、ありえないと考えるべきです。古くて新しい問題のセクハラ対策。最優先課題として取り組みましょう。

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山王 裕之氏(社会保険労務士山王裕之事務所)

~プロフィール・事務所紹介~

人事トラブルを未然に解決する専門家、それが社会保険労務士です。そして、人事トラブルを未然に防ぐ最も効果的な方法は、水際作戦としての「採用業務」の見直しです。当事務所は、労働法規の専門家としての法令遵守とともに、社長の想いを実現する「採用」専門のコンサルティング・ファームです。

 

氏名:社会保険労務士山王裕之事務所:山王社会保険労務士事務所住所:〒330-0063 埼玉県さいたま市浦和区高砂3-12-24 小峰ビル5階電話:0120-05-4864

http://www.sr-sanno.com/

メール:info@sr-sanno.com

 

2014年6月号の記事より

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