営業会議での一コマ。

上司「今月の目標売上まで足りない分はどうするの?」

部下「今一度、過去の商談先を洗い直し、必ずや達成します。」

上司「わかった。期待してるぞ。」

さて、このやり取り、何かおかしいと感じませんか?

ありがちな営業計画の誤解

先程の営業会議での一コマのおかしなところは、“精神論でしかない”ということです。

過去の商談先が何件あり、そこから何件の商談が生まれ、そこから何件が案件化し、そこから何件の成約が平均いくらで生まれるのか。ここまで詰められていて初めて、営業“計画”です。

先程の一コマはあくまで、営業メンバーが気合いを見せ、それを上司が受け取ったというワンシーンに過ぎません。なにも計画は立案されていないわけです。このような営業会議が行われ、全く計画性の無い営業計画が承認されているケースは非常に多くあります。

これだと実際に目標売上が達成できるかどうかは、運次第です。この状態を回避してこそ、営業計画の存在意義があります。

営業計画を作るために必要なこと

では、営業計画を実際に作るとしたとき、事前に必要なことが2つあります。

1.初回商談から成約までのステップの定義

世の中には、初回商談からいきなり成約が取れる商材もあれば、提案書を書くなど成約まで時間がかかる商材もあります。このように、初回商談から成約までのステップはばらつきがあるのですが、これを企業単位では「このステップがあるべき姿」と定義することが必要です。

Aさんは“初回商談→デモ実施→成約”、Bさんは“初回商談→提案書提出→見積書提出→成約”と言った形で、個人差があると、詳細は後述しますが営業計画がバラバラになります。

2.平均成約単価の設定

毎月の目標売上が100万円のとき、平均成約単価を50万円とすると2件の成約で達成します。しかし、平均成約単価を25万円とすると4件の成約が必要です。このように、平均成約単価が決まってなければ必要な成約件数が割り出せず、それ以前の提案書提出などの前ステップの件数も割り出せなくなります。

営業計画の作り方

初回商談から成約までのステップと平均成約単価が決まれば、営業計画が立案できます。具体的には以下のステップです。

1.目標金額から必要成約件数を割り出す

例:目標売上100万円 平均成約単価35万円 → 必要成約件数3件

2.成約の前のステップの必要数を割り出す

例:成約の前のステップは見積もりとし、成約1件に対して3件の提出が必要とすると…

必要成約件数3件 → 必要見積もり提出件数9件

3.2の工程を初回商談まで割り出していく

例:初回商談から成約までのステップを、初回商談→提案書提出→見積もり提出→成約と定義すると…

成約3件→見積もり提出9件→提案書提出18件→初回商談36件

4.合計商談数を算出し、週ごとにきちんと実行されているか確認

例:初回商談と提案書提出は商談の形で行われるとすると、合計54件の商談が毎月行われないといけない→1ヵ月を4週間と仮定し、毎週14件の商談が行われているかを確認

以上のように営業計画を策定すると、実現性の高い営業計画となります。

正しく営業計画が完成している場合の営業会議での一コマ

上司「今月の目標売上まで足りない分はどうするの?」

部下「残り25万円なので、これまでの平均成約単価から鑑みると残り1件の成約で達成です。これに対し、見積もり3件の提出が必要なのですが、現在2件の見積もりが作成中で、月内に後4件の提案書提出が控えてまして、そこからも良くて2件、最低1件は見積もり提出につながると思います。よって、見積もり3件提出は間違いなく、月内意思決定の割引もつければ意思決定も早められ、25万円は十分間に合うと思います。」

上司「わかった。期待してるぞ。」

ここまでの会議ができている営業会議があるべき姿です。ぜひ、このような会議を実施すべく営業計画の作成をやってみてください。

 

【プロフィール】
【プロフィール画像】代表大村
大村 康雄
1982年生まれ。宮崎県延岡市出身。慶應義塾大学経済学部経済学科卒業後、米系金融機関であるシティバンク銀行(現SMBC信託銀行)入行。2007年、株式会社エッジコネクション創業。ワークライフバランスを保ちつつ業績を上げる様々な経営・営業ノウハウを構築、体系化し、多くの経営者が経営に苦しむ状況を変えるべく各種ノウハウをコンサルティング業、各メディア等で発信中。1500社以上支援し、90%以上の現場にて売上アップや残業削減、創業前後の企業支援では80%以上が初年度黒字を達成。東京都中小企業振興公社や宮崎県延岡市商工会議所など各地で講師経験多数。
2024年7月には、「24歳での創業から19期 8期連続増収 13期連続黒字を達成した黒字持続化経営の仕組み」を出版。