「エース営業マンが退職してしまってなかなか売上がカバーできない。」

「新人営業スタッフがなかなか戦力化しない。」

「クライアントの担当を変更したらすぐに契約が切れてしまった。」

このように、営業部隊の再現性はどのマネージャーにとっても悩みの種だと思います。

再現性のある営業部隊とは

再現性がある営業部隊とは、以下のような状態の営業部隊を指します。

・配属された新人営業スタッフがスピーディーに成長する。

・とある営業スタッフが見つけた営業ノウハウがすぐに展開されて営業スタッフ全員で実行される。

・営業スタッフに離職が発生してもすぐに他の営業スタッフがカバーして業務に穴が開かない。

今回は、このような再現性のある営業部隊を作るために実践すべきポイントをお伝えします。

再現性のある営業部隊を作るために実践すべきポイント

1.適性検査を導入する

しっかり面接して「この人は優秀そうだ!」と思った人材もイメージ通りに成長していかないのが営業スタッフの常です。そんなとき「見る目がなかったな。」と、そもそも適性がない人を採用してしまったという意識になる可能性があります。そうなってしまうとなかなか育成に集中できません。それを防ぐのが適性検査です。

データとしてストレス耐性や社交性など、営業スタッフに必要な素質があることがわかっていれば、適性がない人を採用したわけではないと思うことができます。また、活躍している既存営業スタッフとデータを見比べ、データが似ていればより確信を持つことができます。そうすると、「この新人営業スタッフを育てられないのはマネジメントが悪いからだ。」と思うことができ、言い訳抜きで育成に集中できます。

またデータを蓄積していくことで、「このようなデータの人は成長しない。」といった知見を蓄えることができ、採用の精度も上げていくことができます。

2.突発的な離職は「あるもの」として人員配置する

よく発注をくれる上位顧客を一人の営業スタッフが担当している場合、もしそのスタッフが離職してしまうとその上位顧客のフォローが一気に止まってしまいます。そうすると、売上の低下や顧客の離脱は避けられないでしょう。

また、そうならないように、その上位顧客を担当する営業スタッフを念入りにケアするという考え方もあるかもしれませんが、そうするとその営業スタッフだけ特別扱いになり、働き方や仕事の進め方が他の営業スタッフと異なっていくでしょう。つまり、再現性がなくなっていきます。

よって、担当顧客やエリアが特定の営業スタッフに集中していないかなど、常に誰が離職しても誰かがカバーできる体制になっているようにしておくことが重要です。

また、突発的な離職は「あるもの」という前提で人員配置を行い、突発的な離職に対応できるようにするということは、複数スタッフで同じエリアを担当するなど、営業スタッフ同士の業務内容が似通ってきます。そうすると、営業スタッフ同士で「こういう場合はどうしてる?」と、お互いの営業のノウハウを共有できるようになります。そのようなノウハウ共有が育成を促進させるのはもちろん、ノウハウの強化にもつながります。

3.毎週最低一回営業資料を見直す

誰が入社してもすぐに戦力化するにはどうすれば良いのか?

誰が離職しても戦力が落ちないようにするにはどうすれば良いのか?

答えは、営業スタッフが営業をしているという意識を捨て、資料が営業しているという意識を持つことです。

当然、資料は営業スタッフが使うものですから、営業資料や提案書単独では営業活動が成り立ちません。ですが、営業スタッフが紙芝居のように1ページ目から最後のページまで読むだけでお客さんが発注する気満々になる営業資料があったらどうでしょうか?営業スタッフではなく営業資料が営業していると言えないでしょうか?

このようにすべての営業ノウハウは資料上で再現するという意識を持ち、毎週一回は営業資料、提案書フォーマット、事例集などなど営業に関わる資料で何か反映できていないノウハウがないかチェックします。

確認のポイントは、営業スタッフが口頭で伝えている魅力的なフレーズはすべて資料上にあることです。そうすれば、営業資料は全営業スタッフの英知を結集した最強の営業スタッフになります。

以上が、再現性のある営業部隊を作るために必要な3つのポイントです。

まとめ~導入のポイント

1番から順に行っていくことで、間違いなく属人的な要素が排除されていきます。

このような再現性のある営業部隊を作ろうとしたとき、「各営業スタッフの個性がなくなり、やる気がなくなるのではないか?」という声をよく耳にします。

ですが、実際には同じ業務を行う営業スタッフが増えてお互いの悩みなども相談しやすくなるとともに、営業資料も強化されますから、再現性がある営業部隊を作ることは在籍している営業スタッフも働きやすくなります。ただ、2番目に紹介したポイントで特別扱いを受けている営業スタッフは抵抗勢力となる可能性もあるでしょう。つまり、再現性のある営業部隊を作ろうとすることは、既得権益にしがみついている営業スタッフを見つける効果もあり、そのメリットも大きいと言えます。

ぜひ、取り組んでみてください。

<執筆者プロフィール>

大村康雄/株式会社エッジコネクション代表取締役社長

慶應義塾大学経済学部卒業。新卒で米系金融機関のシティバンク銀行入行。営業職として同期入社で唯一16カ月連続売上目標を達成。

2007年株式会社エッジコネクション創業。ワークライフバランスを保ちつつ業績を上げる様々な経営ノウハウを構築、体系化するとともに、営業支援・コンサルティング事業にて1200社以上支援、90%以上の現場にて売上アップや残業削減。創業前・創業1年未満の企業支援では80%以上が初年度黒字を達成。東京都中小企業振興公社や宮崎県延岡市商工会議所など各地で講師経験多数。