20年6月のM&A 過去10年で最多の55件 ストライク(M&AOnline編集部)
6月のM&A件数は前年同月比8件増の55件だった。6月として過去10年間で最多。新型コロナウイルスの感染拡大にもかかわらず件数を伸ばし、M&A市場の底堅さを印象づけた。ただ、海外案件が減ったほか、案件サイズも小型化しており、コロナ禍が悪影響を及ぼしている面もある。
M&A仲介のストライク(M&A Online)が、適時開示情報をもとに経営権の移転を伴うM&A(グループ内再編は除く)について集計した。
6月の海外案件は9件と、単月で2016年6月以来2年ぶりに1ケタにとどまった。一方、取引金額100億円以上の大型案件も2件のみ。1月4件、2月8件の後、3月2件、4月1件、5月2件、6月も同数で、3月を境に低調に推移している。金額の張る海外案件が細っていることが背景にある。
6月の取引金額は1731億円。前年の3512億円から半減した。
金額首位は、ホームセンター中堅のLIXILビバを約1085億円で買収するアークランドサカモトの案件。TOB(株式公開買い付け)などを通じて完全子会社化を目指す。新潟県を地盤とするアークランドはLIXILビバを取り込み、首都圏での事業を拡大する。取引金額は日本企業によるM&Aとして今年の第2位、国内企業同士では最大だ。
アークランドは業界11位、LIXILビバは6位で、両社の合計売上高は3000億円を突破し、大手グループの一角に食い込む。LIXILビバはLIXILグループの子会社だが、LIXILグループとの取引は総仕入れ額の3.3%程度に過ぎず、ノンコア(非中核)事業と位置づけられた。
金額2位は新生銀行。ニュージーランド最大手のノンバンク、UDC Financeを約515億円で買収することを決めた。UDCは現地大手銀行ANZ Bank New Zealandの傘下で、個人向け自動車ローンなど小口ファイナンスに強みを持つ。
アークランドサカモト、新生銀行の上位2件に比べて、3位以下はぐっと小粒となるが、金額未確定ながら、大型案件もあった。経営再建中の三井E&Sホールディングスは子会社で手がける艦艇事業を三菱重工業へ譲渡する方向で協議入りすると発表した。オリンパスは赤字の映像事業(デジタルカメラなど)を投資ファンドの日本産業パートナーズに年内をめどに譲渡する。
6月の金額上位は以下のとおり。
- アークランドサカモト、LIXILビバをTOBなどで子会社化(1085億円)
- 新生銀行、ニュージーランド最大手のノンバンクUDC Financeを子会社化(515億円)
- 大和工業、韓国子会社が営む棒鋼事業を現地同業の大韓製鋼に譲渡(41.1億円)
- 日本電波工業、電子部品製造子会社のNDK SAW devicesを中国投資会社に譲渡(35億円)
- SBテクノロジー、クラウドワークス傘下でシステム開発の電縁を子会社化(14.4億円)
- テクノホライゾン・ホールディングス、AV機器の販売・設置工事のシンガポールEscoを子会社化(13億円)
- GA technologies、中国NeoX Chinaグループから不動産サイト「神居秒算」事業を取得(12.2億円)
- ケーヒン、自動車用空調の中国子会社「京濱大洋冷暖工業」を現地同業に譲渡(11億円)、
- エムジーホーム、戸建分譲のTAKI HOUSEを子会社化(8.9億円)
10、モブキャストホールディングス、トヨタ車のコンプリートカー企画・開発子会社トムスをT2に譲渡(8億円)