ストライクが2019年の企業別のM&A件数(グループ内再編を除く)を適時開示情報に基づき集計したところ、ソフィアホールディングス(HD)の11件が最多で、前年の10件に続き2年連続でトップだった。同社はインターネット関連事業を主力としてきたが、積極的なM&Aで調剤薬局事業への業態転換を推し進めている。ただ、11件のM&Aには最終的に条件が折り合わないなどの理由で2件の買収中止が含まれ、課題を残した。

2位は年間5件で、SHIFT、アイカ工業、第一交通産業、電通の4社が並んだ。4件は日本電産、クリエイト・レストランツ・ホールディングス、ワールドなど8社あった。

約130社が「2件」以上を手がける

2019年のM&A開示件数は前年を59件上回る841件と4年連続で増加し、08年(870件)以来の高水準となった。M&Aを手がけた企業数は647社で、このうち1社で複数のM&Aを公表したのは129社(323件)と5社に1社を占める。1社で年間2件は88社、3件だと28社あった。

2年連続で件数トップのソフィアHDが公表した11件のM&Aは買収10件、売却1件。買収10件中、9件は調剤薬局だったが、このうち2件については売り手側に表明保証違反があったなどとして買収を取りやめた。

製造業ではアイカ工業の5件が最多だった。前年のM&Aはゼロだったが、2019年はアジアでM&Aに相次いで取り組んだ。なかでもメラミン化粧板の世界的大手、米ウィルソナート傘下のアジア太平洋子会社4社(1案件)の買収には162億円を投じた。

製造業ではアイカ工業が5件で最多

電通はデジタル広告分野を中心に欧米やインド、ベトナムで5件の買収を発表。ソフトウエアテスト・品質保証事業のSHIFT、タクシー大手の第一交通産業も同業を主なターゲットとして5件を手がけた。

年間4件には2018年に13年ぶりに再上場したアパレル大手のワールドが名を連ねた。米国の注文シャツメーカーのオリジナル社、婦人靴小売りの神戸レザークロス(神戸市)、高級バッグに特化したサブスクリプション(定額課金)型レンタルサービスのラクサス・テクノロジーズ(広島市)の内外3社を傘下に収める一方、韓国子会社を譲渡した。再上場を機にM&Aを通じた成長投資にアクセルを踏み込む様子がうかがえる。

 

(企業別:M&A件数)