ダイヤモンドの常識が変わろうとしている。

技術の進化により、天然ダイヤモンドと同じダイヤモンドが人間の手で作られるようになった。今年は合成ダイヤモンド元年とも言われている。

そこで、合成ダイヤモンドの今とこれからの可能性について、合成ダイヤモンド「PASSION DIAMOND™」を販売する株式会社D.Tech 代表取締役の笠松 紀之氏に聞いた。

笠松 紀之 株式会社D.Tech 代表取締役

 

1)天然ダイヤモンドと合成ダイヤモンドの違いとは

天然ダイヤモンドは何十億年という月日をかけ、様々な奇跡が重なって生まれます。天然であるがゆえに多くの不純物を含んでいるため、特徴的な色や内包物が確認されることが一般的。天然ダイヤモンドを購入すると鑑定書がついており、それがどんなレベルのダイヤなのかを「Dカラー」「VVS1」といった数字やアルファベットで表示しています。中でも、約 2%しか存在しないというタイプIIa の天然ダイヤモンドは、純粋な炭素だけで構成されており、非常に希少なものとして認知されています。その超希少な天然ダイヤモンドと、物質的・科学的にも全く同一なのが「合成ダイヤモンド」なのです。

合成ダイヤモンドは研究室や製造所のような人工的な環境下で、数週間から数ヶ月という短い期間で誕生させることができます。そのため、天然ダイヤモンドより安価で若い世代でも手にしやすいのが魅力の一つとされています。

 

2)サステナビリティは宝飾業界でもキーワードに

さて、業界を問わずサステナビリティがキーワードとなっていますね。実は、天然ダイヤモンドは美しく高価だといったポジティブなイメージばかりではありません。これまで天然ダイヤモンドは、採掘作業によるその環境負荷や過酷な労働が懸念されていました。人類が地球上に掘った一番大きな穴は、直径 463m、深さ 1,097m もあり、南アフリカ共和国に存在するダイヤモンドの鉱山であると言われているほどなのです。

こうした現状が知られるようになったきっかけの一つに、レオナルド・ディカプリオ主演の映画『ブラッド・ダイヤモンド』があります。この映画では、ダイヤモンド採掘場での強制労働や、武器や紛争の資金調達のためにダイヤモンドが取引されるといった紛争ダイヤモンドの問題を浮き彫りにしました。

こうした背景から、合成ダイヤモンドは道徳的・倫理的なプロダクトを求めるエシカル志向のミレニアル世代の注目が高まっています。また、レオナルド・ディカプリオはシリコンバレーの合成ダイヤモンドメーカーであるダイヤモンド・ファウンドリー社に投資もしています。

 

3)合成ダイヤモンドは新たな市場を作れるか

合成ダイヤモンドの価格は天然ダイヤモンドよりも安価で、エシカルであることに加えその手に取りやすい価格帯がミレニアル世代に受け入れられるのではないかと考えられます。若い世代は天然か合成かにこだわらない人も多く、初めて手にする宝石として、また従来よりカジュアルなシーンで楽しむジュエリーとして広まる可能性もあるでしょう。ブライダルジュエリーへの広まりも加速しています。

 

まだまだ、合成ダイヤモンドの知名度は低く、低いがゆえに「合成ダイヤモンド=偽物」という間違った解釈をされる方も多いのが現状です。

前述のように天然ダイヤモンドと合成ダイヤモンドの違いは、作られた環境が違うだけなんです。

天然ダイヤモンドと合成ダイヤモンドを比較すると、プロでも肉眼では見分けがつかない程、全く同じで、天然ダイヤモンドと同様の鑑定機関にて、同様にグレーディング(鑑定)が行われており、同じダイヤモンドである事実や、天然ダイヤモンドよりも安価で、エシカルな背景がある事等、正しい情報をお伝えすることが私共の使命だと思っております。

 

過去、初めて養殖真珠が世に出た時も「偽物の真珠」等の批判もありましたが、今日では「養殖真珠=本物の真珠」という風潮になっております。

今年は合成ダイヤ元年とも言われており、認識されるには多少時間が掛かると思いますが、間違いなく養殖真珠と同じような流れになると思われます。

これからは、ダイヤモンドも選ぶ時代です。正しい情報の発信・伝達そして認識がポイントになると考えます。

■プロフィール

笠松 紀之

株式会社D.Tech 代表取締役。

26年間宝飾業界に携わり、ブランドアクセサリーから高級ジュエリーまで幅広く経験。

数々のヒット作を作り上げているヒットメーカー。

合成ダイヤモンドの魅力に可能性を感じ、合成ダイヤモンドのみを販売をする会社として

立ち上げ活動中。