メガバンクも認めた不動産情報プラットフォーム

テクノロジーを活用して、不動産産業にまったく新しいビジネスモデルを形成する取り組み「不動産テック」。最近ではAI(人工知能)やディープラーニング、ビッグデータといった先端技術を活用し、収益管理や投資などの領域にも広がりを見せています。

今回ご紹介する「RESTAR」社は2016年2月設立のスタートアップで、日本の不動産テックの旗手として注目されています。同社は、不動産投資を行うユーザー向けに、不動産情報を収集し、分析するためのプラットフォーム「REМETIS」を開発・提供しています。

通常、不動産投資に関するデータ収集や分析は膨大な時間と労力を要しますが、テクノロジーによって大幅な効率化を実現しようとしています。

「REMETIS」はシンプルな操作性で、かつJ-REIT取引、不動産の統計データなどが一度に手に入ります。これを利用することで、不動産投資や取引に必要な情報収集に時間と労力がかからなくなり、専門性の高い分析・リサーチに特化できるようになります。

米国には「MLS(マルティプル・リスティング・サービス)」という、不動産業者が物件情報を共有することで協力し合うシステムが確立されており、比較的容易に幅広い情報を収集できますが、日本は事情が違います。

日本でもREINSという不動産取引価格情報システムが存在しますが、情報の新鮮さやデータ項目不足、登録率の低さなどの課題が指摘されています。

 

こうした背景を考慮すると、RESTARのサービスが革新的であることが分かります。「安定した資産形成・運用のできる収益不動産を、確実に、効率的に探せる」環境作りと共に、今後も新たな開発を続けることで、不動産投資市場の成長に貢献していくでしょう。

2018年7月には、三菱UFJフィナンシャル・グループが主催する「MUFG デジタルアクセラレータ第3期」で、準グランプリを受賞しました。

アクセラレータとは、短期プログラムを通して、スタートアップが成長する上で必要な資金や環境、指導を提供する支援活動です。同社は約4カ月におよぶ集中プログラムに参加し、三菱UFJ銀行の与信審査業務に役立つ可能性が議論され、「情報収集からデータ加工、分析までのプロセスをワンストップで行い、与信先の収益不動産の審査プロセスを現状から90%スピードアップできる」という驚きの試算結果が出たそうです。プログラム完了後にMUFGとの協業を発表しています。

共同設立者兼代表取締役 CEOの右納 響氏と取締役 CTO横田匡史氏を筆頭に、外資系投資ファンドやコンサルタント、投資銀行などでキャリアを積んだ強者が集まっています。右納氏は起業前、プライスウォーターハウスクーパース(PwC)やアンジェロ・ゴードン・インターナショナル・エルエルシーで活躍していました。横田氏は東京大学大学院情報理工学系研究科でAIの研究に従事し、東京大学、ドワンゴ、Zen開発者が共同開発した囲碁AI“DeepZenGo”の開発にも参画しています。

創設メンバーは過去の業務経験から不動産業界の不透明さを痛感し、それを打破するために起業に踏みだしたそうです。平均年齢20代後半の若手が中心となっている点も勢いを感じさせます。日本の不動産テックをリードする頼もしい存在といえそうです。

 

筆者プロフィール/一村 明博
東京都出身。成蹊大学法学部卒業。1993年、大和証券入社。富裕層や中小企業オーナーを主な顧客とする個人営業に従事し、常に全国トップクラスの営業成績を残す。入社3年目には全国NO.1を獲得。

その後、2001年に松井証券入社。2004年、最年少(当時)で同社営業推進部長、そして2006年には同社取締役に就任。高度かつ専門的な知識が必要とされる金融業界において20年以上にわたり500人以上の部下を育てた人材育成のプロフェッショナル。

株式会社ZUU (英語名 ZUU Co.,Ltd.)
〒153-0042東京都目黒区青葉台3-6-28 住友不動産青葉台タワー9F
従業員数:66名 (パート・アルバイト・インターン・海外支社社員含む、2017年12月時点)

https://zuu.co.jp/