フィンテック・トップ企業 100円から投資できるロボアド 「投信工房」(松井証券) ‐ 一村明博 株式会社ZUU
投信工房HPより
本連載でも以前、「ウェルスフロント」という米国の代表的なロボットアドバイザー(ロボアド)について取り上げました。
今回紹介するのは、基本利用手数料無料、100円から投資可能と低コスト運用が可能な松井証券のロボアド「投信工房」です。気軽に投資できるということで、特に若年層を中心に人気を集めつつあるようです。
ロボアドについて簡単におさらいしておきましょう。ロボアドは、登録すると7~10個の質問(アンケート)に答えます。その回答に応じて投資家一人ひとりにあった投資プランやシミュレーションを提示してくれる、というものです。
一般的にロボアドには「提案型」と「おまかせ型」があります。「提案型」は投資家にぴったりの投信や資産配分の提案だけを行い、運用は投資家自身で行います。「おまかせ型」は投信や資産配分の提案だけでなく、運用までも行ってくれる、というものです。
提案型の場合、アドバイスに対する費用は発生しないものの、その後の運用は投資家自身で行う必要があります。一方、おまかせ型であれば一定の手数料が発生するものの、運用シミュレーションから運用管理、資産の運用まですべてを任ってくれます。
効率的な対話、つまりアンケートに答えるだけで簡単に「自分に合った資産運用」ができるので近年注目を集めているのです。
ロボアドを提供する会社は2016年頃から急速に増えてきました。国内でも有名なロボアドとして「ウェルスナビ」などがありますが、「投信工房」の特徴はどこにあるのでしょうか?
それは、第3のタイプともいえる「提案&おまかせ型」であるという点です。信託会社は提案や資産運用まで担当してくれるが、運用・管理の調整は投資家が行うというものです。
「おまかせ型」では、資産配分の管理は信託会社側が行っていました。「投信工房」の場合は、まず配分方針を提示された投資家側が、金融資産の配分や管理を行う時期などを自由に決めることができます。
こうした個別の対応をすべて会社側で行おうとすると多大な費用がかかり、その分が投資家の利用手数料底上げてしまいかねません。
一方、「投信工房」は投資判断を信託会社と投資家で分担することで手数料を抑えています。投信工房の利用手数料は無料、信託報酬などの手数料しか発生しないのです。
また運用中にポートフォリオのバランスが変わった場合も、「リバランス積立」をしてくれます。保有ポートフォリオの比率を目標の比率に近づけるために、必要な購入対象銘柄と金額をロボアドが自動計算して積立投資を実行してくれるものです。つまり積立する対象銘柄や金額配分を自分で計算する必要はないのです。
野村證券や大和証券などは従来から、投資家が金融機関に運用を一任できる「ラップ口座」を提供してきましたが、この口座の残高は7.8兆円あります。ロボアドは大手4社だけのデータですが今年2月末で1220億円程度。まだ開きはあるものの、成長の余地が大きいとも考えられます。
ロボアドは、「放置しておいても自然に資産が増える仕組み」として、若い世代を中心に運用資産を集めています。特に最低100円から投資できる松井証券の「投信工房」は、今後も投資家から幅広く人気を集める可能性があります。
筆者プロフィール/一村 明博
東京都出身。成蹊大学法学部卒業。1993年、大和証券入社。富裕層や中小企業オーナーを主な顧客とする個人営業に従事し、常に全国トップクラスの営業成績を残す。入社3年目には全国NO.1を獲得。
その後、2001年に松井証券入社。2004年、最年少(当時)で同社営業推進部長、そして2006年には同社取締役に就任。高度かつ専門的な知識が必要とされる金融業界において20年以上にわたり500人以上の部下を育てた人材育成のプロフェッショナル。
株式会社ZUU (英語名 ZUU Co.,Ltd.)
〒153-0042東京都目黒区青葉台3-6-28 住友不動産青葉台タワー9F
従業員数:66名 (パート・アルバイト・インターン・海外支社社員含む、2017年12月時点)