感情の起伏が激しすぎて、身体が疲れている時は…「小さな変化を楽しむ」
長島寿恵の健康コラム
感情の起伏が激しすぎて、身体が疲れている時は…「小さな変化を楽しむ」
私達の身体は、とても繊細です。
少し緊張しただけで、血圧や脈拍が上がったり、呼吸が速くなったり、大きくなったりと、いたるところで変化します。
そして、それらが乱れても、刻々と調節するシステムが身体には備わっています。
心臓の脈拍や、呼吸数や、体温なども常に一定に保とうとすることは大変なことですが、生体機能を維持するにはとても重要な働きなのです。
例えば暑いからといって、体温がどんどん上昇し続けてしまったら、どうなるでしょうか。血液なども凝固し、全身の臓器も障害を生じます。
身体は、そうならないように汗をかくことなどによって、一定の温度に保とうとします。
この働きを恒常性維持と言い、自律神経系やホルモン系などが関わっています。
この微妙な変化は環境だけではなく、私達の心の変化によっても大きく左右されます。
例えば、仕事中、イライラと頭に来ることが多いとしましょう。
怒って顔が赤くなっていたら、頭に多く血がのぼってしまっていたり、心臓の拍動数も増えたり、血圧も上がっているかもしれません。
その時も身体の方は、それを一定に保とうと必死に頑張っています。
常に、そのように感情に起伏があれば、対応する身体の方も疲れてしまい、いろんな調整機能も乱れてきます。
自律神経やホルモン系の司令塔のある、脳も疲れてしまいます。
そしていつも怒っていたとしたら、頭に血がのぼり、エネルギーもたくさん使う為、活性酸素が発生します。
酸化ストレスとなって、細胞が「さび」のような状態となってしまうのです。
そのような時、無理をして走ったり、朝早くからゴルフに出かけたり、身体に大きな変化を与えることは、かえって身体の負担になってしまうことがあります。
感情の起伏が激しい時は、五感を使って、小さな変化に目を向けてみることも大事です。
1、太陽がゆっくり昇って、あたりが少しずつ明るくなっていく様子を感じる。
2、心拍数を上げるための運動ではなく、近くの公園などで季節の変化を感じながら散歩をする。
3、コーヒーやお茶の香り、草花のにおいをかいでみる。
4、鳥の声を聴いてみる。
5、熱すぎないお風呂に気持ち良く浸かってみる。
感情の起伏が激しく、大きな変化を調整しようとしている身体にとって、小さな変化は心地よく身体を調整してくれることでしょう。
●プロフィール/長島寿恵(ながしま・ひさえ)
青森県八戸市生まれ。東京薬科大学卒業。薬剤師、健康運動指導士、睡眠健康指導士上級、西東京糖尿病療養指導士、健康・食育マスター(財団法人日本余暇文化振興会認定)、日本メンタルヘルス研究コース終了。多彩な資格をもったユニークな健康づくり専門家として、全国で運動や、食生活、心の在り方の改善を提唱する講演活動を行っている。趣味:武道、ピアノ
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◆2017年3月号の記事より◆
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