健康になる「欲」の持ち方
長島寿恵の健康コラム
健康になる「欲」の持ち方
漢方医学のバイブル『黄帝内径』には、「小欲に捉われず、大欲を持つと、気血の流れが良くなり、精神状態も安定する、そうしたらどうして病気などになっていられようか」というようなことが書いてあります。
小欲とは、例えば、「あの人より給料を多くもらいたい」「もっと大きな家に住みたい」など、お金や物に対しての欲などもそうで、モチベーションは上がりやすいです。
ですが、「あの人より……」「もっと……」というように、いつまでも何かと比べることは、ストレスにもなりかねません。
ストレスが溜まってしまうと、いろんな病気の原因になってしまいます。
それに対して大欲とは、「地域の活性化に繋がるなど世の中の為になり、自然や宇宙が喜ぶこと」と捉えることができます。これは人間だから持てる欲です。
なぜなら、大欲を持つためには、より良く生きようとする「大脳新皮質」が発達している必要があります。
人間の脳は、人類の歴史を刻みながら内側から外側へと進化してきました。 中心部にある「脳幹」は呼吸や脈拍や心臓の働きなど生命を維持する働きを持っていて、爬虫類脳とも言われています。
そのまわりの「大脳旧皮質」は個体維持や種族を保存するため、食欲や性欲など本能を働かせる機能を持っていて、哺乳類脳とも言われます。
その外側の「大脳新皮質」はより良く生きる為に、知性や理性などが働く部分で人間脳とも言われています。考えたり、意識したり、素晴らしい力が備わっています。
人間の脳は他の動物に比べて、この大脳新皮質がとても発達しています。
このような脳を持っているのに、何を着る、何を食べる、どんなとこに住む、など衣食住のこと、または個体維持や種族保存など哺乳類脳ばかり働かせていては、他の動物となんら変わりないことになってしまいます。
人間の脳は大欲を持つための脳であると言っても過言ではないでしょう。
ただこの大欲ということは、大きなことをするということではありません。
例えば一つの仕事でも社会のお役にたてるようどんどん工夫しようというように、身近なところから取り組むことが大切です。
大欲は結果的に世の中の役に立ちながら、自分を高めることに繋がっていきます。 そうすると血液循環も良くなり、精神状態も安定していきます。
私達は宇宙の一員です。
人間脳を多いに働かせ、宇宙が喜び、自分も健康になる大欲を持って、過ごしてまいりましょう。
●プロフィール/長島寿恵(ながしま・ひさえ)
青森県八戸市生まれ。東京薬科大学卒業。薬剤師、健康運動指導士、睡眠健康指導士上級、西東京糖尿病療養指導士、健康・食育マスター(財団法人日本余暇文化振興会認定)、日本メンタルヘルス研究コース終了。多彩な資格をもったユニークな健康づくり専門家として、全国で運動や、食生活、心の在り方の改善を提唱する講演活動を行っている。趣味:武道、ピアノ
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◆2017年1月号の記事より◆
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