Amazonレビューにまで飛び火した、炎上事件の怖さ
〈シリーズ〉風評被害対策 第12回
社長が必ず知っておくべきネットの風評対策「Amazonレビューにまで飛び火した、炎上事件の怖さ」
カイシャの病院・ソルナ株式会社
ネットの監視サービスや風評対策総合コンサルティングを行う『カイシャの病院』として、中小企業から上場企業まで多くのクライアントのネットトラブルに対応。書かれたものへの対処法だけでなく、「今後いかに書かれにくい企業」としていくか、そのための様々なサービスにも力を入れており、さながら「根治治療」を掲げる専門医のようだと好評を得ている。六本木ヒルズにて開業中。
事件のはじまりはSNS
昨今ではインターネットに限らず、テレビや新聞などのニュースや、話題になっている事柄の、その始まりを調べてみると実はSNSに投稿された内容であったり、SNSでの発言であったりすることがとても多くなってきました。SNSはそれだけ身近に、いつのまにか私達の生活にしっかりと入り込んできています。
SNSは有効に使うことができれば、数多くの人達に、とても速いスピードで情報や思いを伝えることができるという、今までに存在しなかった素晴らしいツールですが、ひとたび使い方を間違えると、その人の人生を変えてしまうほどの危険があります。
会社であれば今まで少しずつ築いてきた信頼を一気に失うほどの非難を浴びてしまう、いわゆる「炎上」が起きてしまうことがあります。
SNSが日常的に使われ始めてから、様々な炎上事件が起こってきましたが、今回はさらに「炎上」が「飛び火」してしまったある事件をご紹介したいと思います。
炎上事件の経緯
今年の3月、ある人気テレビ番組内の企画で、福島県産の食材が使われている場面がありました。この放送を見ていたある作家が、自身のTwitterに「福島の小麦から作った麺なのかよ。人殺し」というような発言を投稿しました。
これを見たTwitterユーザーたちが、「不謹慎だ」「福島の人に謝れ」とちょっとした騒ぎになりました。ただ、この時点ではまだ炎上というほどではありません。この作家は、その後も同じような発言を続けて投稿するという、批判をしたユーザーたちを刺激する行動にでたのでした。
すると、過去にも同様の発言をしていたことが分かり、ネット上では騒ぎがすごいスピードで広まり、ついには炎上騒動に発展しました。
投稿した本人はこの騒ぎの翌日に、自身のブログに謝罪を投稿しました。しかし、その謝罪は「言葉は言い過ぎだったが、考えは変わらない」といった内容であったため、さらにユーザー達の反感を買い、鎮火するどころかより盛大に炎上してしまいます。
するとその翌日には、謝罪を載せていたブログ自体を閉鎖し、さらに翌日には、一度はTwitterでも謝罪文を載せていたものの、こちらもすぐにアカウントを閉鎖させてしまいました。
一連の対応は事態を収束させようとしての行為だったのかもしれませんが、一部の人達には「隠ぺい工作だ」と感じられたようで、炎上が収まることはありませんでした。
そして次に炎上の火の手が燃え移ったのは、インターネットの大手通販サイトのAmazonにあるこの作者の著作のレビューページでした。
通常は著作を読んだ購入者が、その感想を星の数とレビューで書き込み、購入を考えているユーザーがそれを読んで参考にする、というものなのですが、この炎上騒ぎの後から、この作者の著作に対しての感想が大量に投稿され始めました。
その感想のほとんどが、作品の内容に関するものではなく、作者個人の人格を非難する内容でした。つまり、一連の炎上の様子を見た多くの人が、そこで感じた不満や怒りをレビューを通して作者にぶつけていたのです。
現在では、炎上自体は収まったものの、この作家の作品のレビューは荒らされ放題の様子のままです。そして炎上騒ぎを起こしてしまった作家本人のブログやTwitterも、依然閉鎖したままとなっています。
なぜ炎上は収まらなかったのか
今回、この作家が起こした炎上騒動ですが、謝罪のタイミングは比較的早いものでした。にもかかわらず、結局ニュースになるほどの炎上事件となってしまったのです。
なぜ、炎上は収まらなかったのでしょうか。それは過去の様々な炎上事件の経過を見ていても分かりますが、謝罪の仕方に問題があるといえそうです。
謝罪の鉄則は、「早く」、「シンプルに」、「ストレートに」謝罪することです。とにかく早く、余計なことを言わずに謝罪することです。
今回、謝罪するスピードは遅くなかったのですが、謝罪と同時に自身の考え、しかも反省はしていない、と受け取れるような文面があったために、騒動は沈静化するどころかより大きな炎となってしまいました。
今回の場合、もう1つ致命的な対応ミスがありました。それは、謝罪後に問題となった発言を削除してしまったことです。訂正をする意味で削除する気持ちはわかりますが、今までの炎上騒動でもそうですが、問題発言を当事者が削除することは、隠ぺいを図っているような印象を持たれてしまいます。
インターネット上の情報というものは、誰かが保存していればそれが次々にコピーされ、完全に消すことは現実的に不可能なのだということを認識していなかったようです。隠ぺい行為だと思われることは「火に油を注ぐ行為」になり、炎上は収まるどころかより大きな炎で燃え広がってしまいました。
レビューに飛び火
今までの炎上騒動に比べてもひどい結果となってしまったのは、レビューにまで炎上が飛び火してしまったことでしょう。
「人間として駄目」「こんな本に値段が付くのが不思議」「時間の無駄」「資源の無駄」といった明らかに本の内容ではなく作家本人を批判した内容が書き込まれています。ついには、「これを出版させた会社もおかしいのでは」と出版社までをも批判したレビューが書き込まれる事態にまで発展しました。
炎上自体は落ち着いても、数多くの批判的なレビューは残ったままです。今後、炎上騒動のことは全く知らなかった人達が、このレビューを見て本の購入をやめてしまうなどの影響が出ることが考えられます。
もちろん今後もこのようなことは、他の様々なインターネット上のレビューでも起こり得る可能性はあります。管理側で承認されてから内容が反映されるレビューサイトであればいいのですが、今回のように誰でも投稿したらすぐに反映される、というレビューも少なくありません。
インターネット上では、顔を合わせての商売ではないため、ユーザーにとってはこの店や会社が信頼できるかどうか、この商品が良いものかどうかを計るために口コミやレビューは重要視される傾向にあります。
会社や著作者によっては、この口コミやレビューが生命線、というところも少なくないはずです。
社長が知っておくポイント
今回、炎上のプロセスは、Twitterで認識の甘い発言をし、火に油を注ぐような不適切な謝罪をしてしまい、さらに発言を削除しようとしたことから、最終的には仕事に直接関わる自身の作品のレビューまで荒らされるという事態になってしまいました。
つまり、どのような炎上騒動がどうやって起こり、どのようにして、どこに飛び火するのかは、まだまだ未知数の部分が大いにあるということなのです。
だからこそ、「謝罪はとにかくすぐに、余計なことは言わずに」や「問題発言は削除しない」といった炎上防止の対応の基本を徹底しないといけません。もちろん、知識で満足せずに、常に情報収集を図ることも大切です。
これからもSNSは発展していき、会社の営業面でプラスに働く可能性だってあります。その反面で、SNSでの発言が自社のことをまだ知らない人に批判されているかもしれないのです。
SNSの向こうには多くの見えない目があることも忘れてはいけません。
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◆2016年7月号の記事より◆
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