社長が必ず知っておくべきネットの風評対策「会社を潰すバカッター事件とその対策」
〈シリーズ〉風評被害対策 第10回
社長が必ず知っておくべきネットの風評対策「会社を潰すバカッター事件とその対策」
カイシャの病院・ソルナ株式会社
ネットの監視サービスや風評対策総合コンサルティングを行う『カイシャの病院』として、中小企業から上場企業まで多くのクライアントのネットトラブルに対応。書かれたものへの対処法だけでなく、「今後いかに書かれにくい企業」としていくか、そのための様々なサービスにも力を入れており、さながら「根治治療」を掲げる専門医のようだと好評を得ている。六本木ヒルズにて開業中。
国民性に合ったTwitter
2000年代以降、TwitterやFacebook、LINEなどのSNSが次々と登場しました。最初の利用者はこのような新しいネットサービスに強い好奇心を持つごく一部の人達だけでした。しかし現在では、個人でも企業でも、使っているのが当たり前の世の中になってきています。
なかでもTwitterは、情報を素早くかつ広く伝えられることから、多くの企業が会社としてのメッセージを発信するツールとして使ったり、またその手軽さから、多くの芸能人やスポーツ選手などの有名人が自分の意見を発信するのに使ったりと、サービスの利用は広がりをみせています。
また、海外ではFacebookをはじめ、新しいSNSの利用者が増加し、Twitterの利用は鈍くなっているそうですが、世界の中でも日本だけは現在でも非常に活発に活用しているというデータがあります。
これはTwitterの、手軽に情報を拡散して共有するというサービスの性質が日本人の性格に合っているためだと言われています。
しかし、その手軽さゆえにTwitterによって炎上が発生するという事態も現在までに数多く起こっています。
Twitterによる炎上
2013年頃から大学生や高校生による、公共の場所やアルバイト先での悪ふざけ行為のTwitterへの投稿。これを見つけた第三者が拡散する。そしてその結果炎上。という事態が多発しはじめます。
当初は炎上すると間もなく、発信した本人が特定され、所属する学校やバイト先に連絡が行く。その結果、おそらく本人が注意される等して事態は収束していました。しかし、次第に悪ふざけ行為も過激になり、注意だけでは済まなくなってきました。例えば、若い社員が、自らが勤務する店に有名人が訪れたことを投稿し、その結果、会社は謝罪しなければならない事態になり信頼を著しく落とすことになってしまったり。或いは、高校生がテロを予告するような投稿をして、それを見た人の通報により威力業務妨害で警察に逮捕されたり。未成年の少年がミニパトカーの上に乗った写真を投稿して器物損壊で逮捕されたり……と、実際に逮捕者が出てくるような炎上が多くなりました。
また、店舗での悪ふざけでも、専門学校生があるコンビニ店のアイスクリームのケース内で寝転んだ様子を投稿して炎上した件では、この専門学校生は器物損壊の疑いで書類送検され、学校も退学処分になり、また店側も撤去したアイスクリームとケースの清掃及び消毒でかかった被害額を損害賠償として警察に届け出ることも検討する事態となりました。
そのほか、ある飲食店では18歳のアルバイト店員が、同じ店の同僚が店内の冷蔵庫に入っている様子を投稿して炎上した結果、この飲食店は閉店することとなり、飲食店側はこのアルバイト店員に損害賠償の請求を検討しました。
このように近年は単なる悪ふざけで済むようなことはなく、本人が解雇や退学処分になり、さらに逮捕や損害賠償の請求など、警察や被害にあった店も厳しい対応を取るようになってきています。
「バカッター」とは
このように逮捕者までもが出ているにもかかわらず、Twitterによる投稿炎上が無くなる気配はありません。
次第にこのような公序良俗に反するような悪ふざけや時には犯罪行為を、自らTwitterなどでさらけ出してしまうことをバカなツイッターという意味から「バカッター」と呼ぶようになりました。
しかしこのバカッターと呼ばれるような行為をしてしまう人達は、そのほとんどが実は10代から20代の若者世代なのです。では、なぜバカッターには若者世代が多いのでしょうか。
デジタルネイティブ世代とは
日本で本格的にインターネットが普及し出したのはウインドウズ95が発売された1995年頃からでした。そしてそれから20年の間でネットワークの世界は飛躍的に進歩してきました。
その中で今現在20代の世代は、学生の頃にはすでにインターネットが普及しており、携帯電話でサイトを閲覧したり、メールでやり取りをすることがすでに日常の一部となっています。そして現在の10代に至っては生まれながらにしてパソコンはもちろん、スマホやタブレットなどのインターネット端末が身近にあり、物心ついた頃にはごく自然に、テレビや本などと同列にこのわずか10年くらいで出てきたネットワークサービスがあるような状況なのです。そしてこのような、学生の時や物心ついた時からデジタルに囲まれ当たり前のようにそれらに接してきた世代を「デジタルネイティブ世代」と称しています。
デジタルネイティブ世代は、すでに身近なツールとしてTwitterなどのSNSが周りにあり、気軽に使っています。しかし、それが第三者にも見られてしまうこと、そしてそれが反社会的な内容だったときにどのような事態になるかということをしっかりと教育されることはあまりありません。また経験則として理解することもなく社会に出る年代となってしまう人も少なくはないのです。その結果が、バカッターとなってしまうのではないでしょうか。
バカッターの対策
本来、インターネットの危険性、SNSの孕んでいる怖さというものは家庭や学校でしっかりと情報リテラシーを教育するべきなのですが、残念なことに、これらの現状は遅れていると言えます。
もちろん各企業でも、社員はもちろんアルバイトにも研修等で教育する機会は増えてきましたが、バカッターによる炎上が未だ起きていることを考えるとまだまだ十分ではないと言えるでしょう。
研修の内容も実際の炎上事例を挙げ、より具体的であることが必要です。悪気のない、つい気軽にやってしまった1件の投稿が会社に及ぼす影響がどれだけ大きいかだけでなく、自らが退学や退職、逮捕や損害賠償の騒ぎへと発展する可能性があること。また、名前や住所などの個人情報が特定され、自分だけでなく家族までもを巻き込む危険性があることをどれだけ理解させられるか、伝える側も常に工夫しなくてはなりません。
バカッターになるのを防げるか否かは、なによりもSNSに対する意識次第なのです。現在はまだアルバイトや若手社員だけがデジタルネイティブ世代ですが、2020年には社会全体の43%がデジタルネイティブ世代になります。今後は確実に、デジタルネイティブ世代が社会を支え、中心となる世の中になるわけです。
そうであれば、今現在のデジタルネイティブ世代には、インターネットやSNSの可能性を広げるだけでなく、それに伴うリスクについても深く理解し、今後発生しうる事態についても慎重に考える能力を求めるべきです。これからのデジタルネイティブ社会の中で、リーダーとして会社を引っ張っていける人材を育てることが会社の発展にも繋がるのではないでしょうか。
ただバカッターを生まないようにするだけでなく、そのもう一歩先を見据えた戦略が必要とされているのです。
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□転職口コミサイトへ悪評が書かれている
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カイシャの病院・ソルナ株式会社
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◆2016年5月号の記事より◆