【蛭田一史のこれからの飲食の話】

 

蛭田

蛭田一史のこれからの飲食経営の話
今回は、マーケティングやブランディングの支援、マーケターのためのコミュニティ運営などを手掛けている。HONE Inc. 代表取締役/マーケターの桜井さんにお話しをお伺いします。

 

蛭田

桜井さんとの出会いは、Twitterで桜井さんの熱い投稿をみてファンになり、そこから桜井さんの

マーケティングのコミュニティなどに入り、そこからのご縁で今回お話しをお伺いしました。
桜井さんはシンプルですが、裏表内、中小企業などもマーケティングの支援をされているので飲食店の経営者の方にもいい影響を受けてもらえるかなと思っています。

今回は、今さら聞けないマーケティングについて根ほり葉ほり、聞かせて下さい。

まずは桜井さんの自己紹介をお願いします。

 

桜井

株式会社HONEの桜井と申します。

現在は静岡県を拠点に地域・地方のブランドを強くするべくマーケティング・ブランディング支援の会社を経営しています。元々は大手求人メディア会社の営業職として就職しました。その後、社内で新規事業の立ち上げ等に携わる中で「売り手都合の営業スタイル」に疑問を感じていた矢先、マーケティングに出会いました。いくつか新規事業の立ち上げを経て、2021年に独立しました。

 

蛭田

マーケティングの支援をされていると思いますが、具体的にどのような企業にどのような形でサポートしているのでしょうか?

 

桜井

地方の仕事が9割なのですが、業種や規模は割とバラバラかなと思います。最近は日本茶・日本料理・鰹節・農業など、日本の文化に紐づく事業に携わる機会が多くなってきました。

携わる内容としては、ブランドの根源であるMVV(ミッション・ビジョン・バリュー)・ブランドのコンセプトから一緒に考えることが多いです。経営者及びブランドが持っている想いを言語化して商品やサービスに反映させていきながらも、実際に売上・利益に貢献できる言語化となっているか?言語化した魅力が消費者にきちんと伝わっているか?も一緒に考えることも仕事のひとつです。

 

 

蛭田

今さら聞きづらいのですが、そもそもマーケティングとは、なにで、なんのために必要なのでしょうか?

 

 

桜井
諸説あるのですが、私自身マーケティングとは

▶まず目的を設定する
▶だれに・ なにを・どうやって、を決める

▶その結果、目的到達できる仕組みをつくる

ことだと思っています。

 

マーケティングとは

マーケティングとは

 

 

蛭田
ありがとうございます。飲食経営者の方もマーケティング、ブランディングと聞くことがあると思いますが、マーケティングとブランディングの違いって分かりやすくいうとなにが違うのでしょうか?

 

桜井
一言で言うと、起点はどちらか?と言うことだと思います。

ブランディングが、

▶ブランドとしてこう思われたい、 ●●な姿になりたい!
▶●●なブランドストーリーを表現したい!
▶●●なデザイン、コンテンツを発信していきたい!

といったブランド側が起点になる一方で、

マーケティングは、
▶自分たちのなりたい姿の先に「買ってくれる消費者」は存在するのか?
▶利益が出る仕組みはつくれているか?
▶届けたい消費者にどのようにして情報を届けていくか?

といった消費者側が起点になります。

つまり出発点、より深掘りする方向が違うのかなと思っています。

といった消費者側が起点になります。

つまり出発点、より深掘りする方向が違うのかなと思っています。

マーケティング、ブランディング

マーケティング、ブランディング

 

 

蛭田

今まさに、外食企業にマーケティングやブランディングの重要度が増していると思います。

これまでは、ぐるなびやホットペッパー、食べログなどの有料のグルメ媒体に出稿したら一定のお客さんがきていたと思いますが、世の中のほとんどの方がスマートフォンを持つようになり、いつでもどこでも情報を引き出せる時代になりました。これからは、認知の部分からはじめる必要があり、そこでマーケティングやブランディングが重要になってくると私は思っています。

ある意味、お金を払えば飲食店は集客ができた時代から、努力をしたらお金を使わなくても集客できる時代になると思っています。

桜井さんや私のような専門家が、伴走しながらマーケティング支援する事の価値が重要度を増すと思います。桜井さんはローカル企業、私は飲食企業と近しいお客の層だと思うのですが、桜井さんが感じる

これからのマーケティングの必要性について聞かせて頂けますでしょうか?

 

桜井

いわゆる「勝ちパターン」と言われるようなノウハウや知見の賞味期限がどんどん短くなってきているように感じています。情報の流通が早くなり、昨日驚いていたサービスが次の日には当たり前になる、そんな時代になったと思っています。ChatGPTなんかがその典型例ですね。

 

じゃあ私たちの役割は?というと、情報を仕入れて流通させることではなく、情報を解釈してどう普遍的な価値に転化して行くか?そのブランド固有の魅力に昇華して行くのか?ではないでしょうか。

 

蛭田

桜井さんの意見には、同意です。私の行っている、Googleビジネスプロフィールの運用、管理代行サービスも同じです。新しい層や既存のお客さんに対する認知を広げる活動として、TiKTokなどのSNSマーケティングは認知を得るうえで外食企業が必要な施策だと私も考えます。

桜井さんの関わったTiKTokなどのSNSマーケティングで、効果的だった事例などあれば話せる範囲で教えてください。

 

桜井

手段・戦術単体がどこまで作用したか?まではわかりませんが、コロナ禍の温泉宿が実施した「急なキャンセルが出てしまいました」といった訴求はとても反響が大きかったですね。クラウドファンディングと同じ寄付・共感からの拡散になっているかと思うのですがとても相性がいいと思いました。しかし、この「困っているから助けてください」といった手法は何度も使えるものではないかと思っています。

 

天災などの「特定の場所が大変な状況に陥っている」のならまだいいのですが、コロナのように「みんな押し並べて大変な状況」だと共感〜行動に限度が出てしまうと思います。この辺りの勘所をしっかりと見極めることが大切なのだと思います。

 

蛭田

そうですね、まさにコロナ渦にクラウドファンディングをした企業はファンがいるか問われた瞬間だったと思います。
スマートフォンの登場によって、行動変容が大きく代わり、多様化していく中で、最初の桜井さんの図にあるように、だれに、なにを、どうやって が非常に重要になってきますね。

だからこそ、東京一極集中ではなく、地方にも活路は増えるな私も思いつつ

地方でマーケティング支援は、私も経験していますがやりがいはありますが、予算無かったりする中、いかにマーケットを注視しつ、戦える場を探すかだと思いますが、これから桜井さんが携わりたい業界や、マーケッターとしてしてみたい事はありますか?

 

桜井

はい、私自身は業界・業種・規模などに大きなこだわりはないのですが、できれば日本の文化に関わる仕事をしていきたいと思っています。具体的には日本料理・日本酒・日本茶・着物などです。

日本に生まれ育ったからにはその文化を残していきたいですし、昨今はインバウンド観光も戻りつつあるため、多くの外国人に日本の価値を届けたいという意欲が湧いています。今後、インバウンド&越境ECの事業も立ち上げる予定なので地方ブランドを強くしつつ、海外も見据えていきたいと思っています。

 

蛭田

なるほど、おもしろい事があれば是非ご一緒させて下さい。

最後に地方の飲食店経営者や、ローカルの中小企業の方が、マーケティングをしなくては、

マーケッターを育成しなくてはと思った際はどのような所からスタートすれば良いか教えて頂けますでしょうか。

 

桜井

私の事業のひとつに「教育・研修事業」があるのですが、ここではマーケティング・ブランディングの内製化支援を行っています。マーケティング・ブランディングを学びたいけれどなにからはじめたらいいかわからない・・・という方には、身の回りにある広告を題材に「だれに・なにを・どうやって」のフレームに当てはめて考えてみてくださいとお伝えしています。

 

街を歩きながら実践できるので、日常的に1日3回ほどチャレンジしてみれば1週間で20回以上トレーニングすることができるため、おすすめです。

 

蛭田

本日はありがとうございました。

 

▶マーケティングの専門家
Takato Sakurai / 桜井 貴斗
HONE Inc. 代表取締役/マーケター
札幌生まれ、静岡育ち。大学卒業後、大手求人メディア会社で営業をしたのち、同社で新規事業の立ち上げ等に携わる。「売り手都合の営業スタイル」に疑問を感じていた矢先に、グロービス経営大学院にてマーケティングに出会い衝撃を受ける。その後、新たな新規事業の立ち上げを経て、2021年に独立。現在はクライアントのマーケティングやブランディングの支援、マーケターのためのコミュニティ運営などを手掛けている。

・一般財団法人 ブランド・マネージャー認定協会(ブランド・マネージャー)
​・新R25公式コメンテーター
・NewSchool(NewsPicks×刀 マーケティングブートキャンプ1期生
・静岡デザイン専門学校 講師
・藤枝市商工会議所 専門家
・島田市商工会議所 専門家

 

▶聞き手
Kazushi Hiruta/ 蛭田一史 
|外食企業の集客、新規、リピート、インバウンドの専門家
株式会社RockHill代表取締役
1984 年 1 月 22 日生まれ 神奈川県三浦市出身。2009 年株式会社 RockHillを設立
2013年堀江貴文プロデュ ースのグルメアプリ TERIYAKI の立ち上げに携わり初代編集長を経験
2014 年からは、wechatpay の国内導入に携わるなど、インバウンド、訪日観光に関わる仕事に携わる。
2016 年からは大手飲食店チェーンのインバウンド支援、マーケティング支援などを経験、グルメ媒体活用に関する知見を活かし、飲食店の販促支援を行っている。
自ら も夏季 限定で行列のできるかき氷屋を 運営している。
年間の外食は 400 食以上

飲食店に特化したGoogleビジネスプロフィールの運用代行
URL:https://gbp-kanri.com/
30億円以上の飲食店向けのインバウンドの受入整備、集客支援を行っている。