IT・ソフトウエア業界の2021年7月のM&A 件数は2番目、金額は過去最高
IT・ソフトウエア業界の2021年7 月のM&A発表件数は16件で、7月としては2012年以降の10年間では、2019年の20件に次ぐ2番目となった。取引金額は約153億円で、こちらは7月としては2012年以降の10年間では2019年の約117億円を上回り過去最高となった。100億円を超える案件があり、総額を押し上げた。IT人材の不足や企業の選択と集中の動きが同業界のM&A市場を活発化させている。全上場企業に義務づけられた東証適時開示情報のうち、経営権の移転を伴うM&A(グループ内再編は除く)について、M&A仲介のストライク(M&A Online)が集計した。
取引金額のトップはDeNAの120億円
取引金額のトップはDeNAが、インターネット上のリアルタイム動画配信サービスであるライブストリーミング事業を手がけるIRIAM(東京都渋谷区)の株式を追加取得し、子会社化することを決めた案件で、取得金額は120億2600万円だった。DeNAは2020年8月に、キャラクターの姿でライブ配信を楽しめるアプリ「IRIAM(イリアム)」を運営するIRIAMに出資し、20%の株式を保有していた。IRIAMの全株式を取得して傘下に取り込むことで、一層の事業拡大を目指す。
金額の2番目はMacbee Planetが、AI(人工知能)マーケティングプラットフォーム「3D AD」を展開するAlpha(東京都渋谷区)の全株式を取得し子会社化することを決めた案件で、取得金額は12億4000万円だった。既存顧客の美容や金融業界への提供価値向上とともに、急成長が続くゲーム・エンターテインメントなど他業界へのLTV(顧客生涯価値)マーケティングの展開につなげるのが狙い。
金額の3番目は電算システムホールディングスが、モデムやルーターを中心にネットワーク機器の設計、開発を手がけるマイクロリサーチ(東京都品川区)の全株式を取得し子会社化することを決めた案件で、取得金額は11億2400万円。IoT(モノのインターネット)関連で独自技術を持つマイクロリサーチを傘下に取り込み、セキュリティー事業の強化につなげるのが狙い。このほかに、10億円以下の案件が4件、金額非公表などが9件あった。