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虎ノ門会インタビュー『仲介業者が牛耳るM&A業界、利益相反の両手取引にNO! 売り手側に付いた片手取引で高値売却を』

 

オビ インタビュー

虎ノ門会インタビュー『仲介業者が牛耳るM&A業界、利益相反の両手取引にNO! 売り手側に付いた片手取引で高値売却を』

◆取材:加藤俊

虎ノ門会 左から門澤、岸田、田中

写真左より:虎ノ門会 門澤 慎氏(公認会計士)、 岸田康雄氏(公認会計士)、田中 謙太郎氏(株式会社ドリームインキュベータ)

後継者不在に悩む経営者のためのM&A虎の巻!

売り手側の立場になり(売り手側のみの契約)、事業承継会社及びその関係者のニーズにあった条件で事業を継承させることを目的として結成されたプロのアドバイザリー集団「虎ノ門会」。メンバーは公認会計士や税理士、コンサルタントなどを中心に構成されている。業界を変革させる一手となるか。発起人3名へのインタビュー。

 

▶前編 後継者不在に悩む経営者のためのM&A手引き ‐ 売り手だけにつくM&Aアドバイザリー活用で高値売却をねらえ!

■M&Aのメリットや流れ

―M&Aで企業を売却するメリットは何なのでしょうか?

 

門澤:企業がM&Aで会社を売る理由は、特に中小企業の場合は事業承継の選択肢として捉えているケースが多いかと。後継者がいなくて、息子もいない。あるいは、いても継がないとか、それでも自分の立ち上げたビジネスを残していきたいという思いをM&Aで叶えることができるのがメリットです。

 

―M&Aの具体的な流れを教えてください。

 

虎ノ門会 田中謙太郎氏田中謙太郎氏 ドリームインキュベータ株式会社

田中:M&Aの目的には事業承継のほかにも、事業再編、事業再生といったパターンがあるが、事業承継を例にお話しすると、まず相談を受けた我々のようなM&Aアドバイザリーが企業に行ってニーズを確認するところから始まります。そのニーズを確認できたら、初期的なバリエーションで企業価値をみて、オーナー個人とアドバイザリー契約書を締結いたします。

締結後に今度は企業概要資料を作成して、買い手側の候補先企業にアプローチします。そこで興味を示した企業があれば、秘密保持契約を締結した上で売り手企業情報を開示します。

情報を開示した上でなお興味があるという企業には、意向表明(金額などのおおよその条件)をして頂き、その内容でオーナーがご納得されれば、トップ面談(売り手オーナーと買い手企業での面談)という流れになります。正に「お見合い」のようにして進みます。

 

このとき、お互いの感触が良ければ、買収を前提とした調査であるデューデリジェンスを買い手が行います。最初に出した資料よりもずっと細かい内部まで会社のすべて見せることになり、業界では「パンツを脱ぐ」とも言われています。パンツを脱いですべて見せた上で買いたいということになれば、いよいよM&Aの株式譲渡契約の交渉に入り、値段や従業員の引き継ぎなど様々な項目を決めていきます。

そして最後に対象会社株式と現金の交換をするクロージングという流れになります。だいたい半年から1年かかる場合が多いです。

 

―M&Aを成功させるポイントはありますか?

 

虎ノ門会 門澤慎氏門澤 慎 公認会計士

門澤:如何に信頼関係を構築するかです。売り手と買い手がそれぞれアドバイザリーを信頼できることが前提になります。しかし仲介だと、全ての事例がそういうわけではありませんが、取引を成立させたいがために売り主の思いを置いていくきらいがある。そうなると売り主とアドバイザリーの互いの信頼関係は崩れてしまいます。そして売り主は「こいつらはグルになってフィーだけ取ろうとしている」となる。信頼が崩れたら交渉はうまくいきませんよね。

この点、虎ノ門会は基本的には、売り手側に付くアドバイザリーですから、どうすることが売り主の方のためになるかを考えて進めていくことができる点で信頼を築きやすいと言えます。

 

 

■仲介業者の「両手取引」は利益相反

―現状では、M&Aはどのようにして行われているのですか?

 

門澤:オーナーから相談を受けた税理士や会計士が、その案件をM&A仲介業者に紹介します。案件を紹介することでフィーを得られるわけです。業界のガリバーとなった巨大な仲介業者がこの仕組みを作りました。

 

田中:士業や金融機関に広大なネットワークを張り巡らせている仲介業者は、売り手と契約して買い手も見つけるという「両手取引」を行っています。高く売りたい売り手と、安く買いたい買い手の利益は相入れませんから、両手取引は「利益相反」なんです。

 

―両手取引は双方からマージンを抜く以上、売り手と買い手が平等に損するようにも思えますが。

 

田中:M&A報酬の大半が成功報酬(案件成約時に発生する報酬)なので、取引を成立させるためにどうしても買い手側に寄りがちです。営業マンとしても、一件成立でボーナスが大きく変わってくる世界ですからね。

 

虎ノ門会 岸田康雄氏岸田康雄氏 事業承継コンサルティング株式会社代表取締役・公認会計士

岸田:会社の売買は、不動産や中古車の売買と似ていて、金額は有って無いようなもの。売り手と買い手の交渉で決まりますが、仲介業者は両手取引をする以上、買い手にもいい顔をしないといけない。買い手は安く買いたいですから、安い金額の方が成約しやすい。仲介業者はそういう前提で売り手にアドバイスしますから、最初から安い金額で話を持っていきます。価格を吊り上げるということが仲介業者にはできないわけです。このため、仲介によって決められる価格は売り手にとって割安、妥当な金額よりも低くなってしまいます。

しかし、売り手側だけにアドバイスする「片手取引」のポジションで買い手を幅広く募って、最も良い金額を出してきた買い手を引っ張ってきて繋げれば、「両手取引」の仲介業者よりも高い金額で売却できるのです。すでに不動産業界では、両手取引を行わないことを明確に打ち出したソニー不動産が、仲介業者より高値での売却をどんどん成立させて注目されています。M&Aの世界も、両手取引が一般的な状況を改善する必要はあると言えます。

 

―なぜ安く売られてしまう仲介業者を使わざるを得ないのでしょうか。

 

岸田:大企業は金融機関がしっかりサポートしていますから、銀行なり証券会社、投資銀行が専任でアドバイザーに付いています。しかし、中小企業はそうではないですし、金融機関に相談しても、金融機関は買い手側に融資するのが最終目的ですから、売り手側に立ってもらえるとは考え難いですよね。そこで、仲介業者を使うことになります。税理士や会計士に相談しても、税理士や会計士は仲介業者に流しますから同じことです。

 

田中:売り主の方は高いお金を払って仲介業者と契約しているのに、仲介業者がただマッチングだけして、アドバイザリー業務として重要である条件交渉のサポートはせずに終わっているケースが多く見られる。M&Aで会社を売却するなんてほとんどの方が一生に一度ですよね。知識も経験もなく、適正な価格だったのかどうかもよく分からない。仲介業者の両手取引のために、弱い立場である売り主の方にしわ寄せが行ってしまいがちです。

 

 

 

■中小企業の売り手に付いて「片手取引」を行う虎ノ門会

―虎ノ門会結成のいきさつを教えてください。

 

門澤:もともと虎ノ門会を目的に集まったメンバーではありません。僕は岸田さんのことは昔から知っていて、田中さんとは2013年ぐらいに知り合いました。3人共会社は違いますが、M&Aに関わる業務をしているので、「岸田さんと田中さんが会ったらすごい化学反応が起こる」と期待して引き合わせたのです。その結果が虎ノ門会です。

我々は売り手側で片手取引を行うべきという業界への問題意識が共通しています。そう思っている士業やアドバイザリーは他にもいるとは思いますが、やっぱり大手を相手にしている方が多い。我々のように事業承継まで含めた中小企業に気持ちが向いているアドバイザリーはまだ少ないと思いますので、その先駆けになりたいですね。

 

―虎ノ門会の役割は何なのでしょうか。

 

岸田:仲介業者主導の業界には、売り手側に付いて片手取引を行うアドバイザーが必要です。しかし、中小企業の小さな案件はさっさと仲介して、早くマッチングして手っ取り早く報酬をもらった方が楽じゃないかというアドバイザーは多い。

 

門澤:大手の仲介業者達が最初にネットワークを構築して、そこだけに情報が集まりやすいことを問題視しています。それがために、メガバンクなどのサポートがない中小企業の売り手には選択肢がない状況なのです。これを変える必要があります。

 

田中:中小企業の悩みはやはり事業承継。M&Aという仕組みも知らずに泣く泣く会社を畳んでしまったり、仲介業者によって最適でないM&Aをしてしまったりという現状があります。うちの会社なんて売れないと思い込んでしまっている経営者の方もいます。債務超過であっても、M&Aできる場合も往々にしてあります。貴重な技術や経験で日本を支えた中小企業が無くなってしまうのは日本経済にとって非常に大きな損失ですから、これは糺さなければなりません。

 

―中小企業が虎ノ門会に声をかけるには?

 

門澤:オーナーの方は、業者やアドバイザリーに相談したら売らされる方向に持っていかれる懸念や不安をお持ちと思います。しかし、我々はオーナーの利益を最優先しますから、「売るタイミングではない」というアドバイスもきちんとお伝えします。何をするのがいま一番いいのかを含めてアドバイスしますから、悩みを抱えている経営者の方は、お気軽にご相談ください。

 

岸田:誰に相談すればいいのか分からないという悩みが大きいと思います。結果、仲介業者に行ってしまう現状を変えたいですね。虎ノ門会は、戦略コンサルティングのドリームインキュベータにいる田中さん、M&A関連業務で業界トップクラスの実績を持っているコンサルティング会社にいる門澤さん、長く金融業界を渡ってきた私や、その他にも経験やノウハウを備えたメンバーが揃っています。高い付加価値を持った虎ノ門会をぜひ選んで欲しいですね。

 

田中:我々虎ノ門会は中小企業のM&Aをサポートすることを目的にしています。中小企業のオーナーが会社の売却を相談する相手は、税理士や会計士、友人知人しかいない場合が殆どです。相談を持ちかける先の税理士や会計士がM&Aを経験したことのない場合も有ります。そうした中小企業のオーナーや税理士、会計士をケアしながら、M&Aをサポートすることができるのが我々の強みです。

 

―有難うございました。

 

 

オビ インタビュー

プロフィール

門澤 慎(もんざわ・しん)氏…1979年10月大阪府生まれ。慶應義塾大学経済学部卒業後、マツダ株式会社、有限責任監査法人トーマツ等を経て、M&A業界トップクラスの実績を持つコンサルティング会社に入社。エグゼクティブマネジャー、公認会計士として現在に至る。

 

岸田 康雄(きしだ・やすお)氏…1970年5月大阪府生まれ。一橋大学大学院修了(経営学及び会計学専攻)後、中央青山監査法人にて金融機関の会計監査及び財務デューデリジェンスに従事。その後メリルリンチ日本証券プリンシパル・インベスト部門、SMBC日興證券企業情報本部、みずほ証券グローバル投資銀行部門に在籍し、オーナー系中小企業の事業承継案件から外国企業の大型クロスボーダー案件まで数多くのM&Aをアドバイス。税理士、公認会計士、中小企業診断士、国際公認投資アナリスト(日本証券アナリスト協会検定会員)。事業承継コンサルティング株式会社代表として現在に至る。
田中 謙太郎(たなか・けんたろう)氏…1974年2月東京都生まれ。専修大学大学院卒業後、東海東京証券株式会社にて個人営業、法人営業、M&Aアドバイザリー部門を経て、株式会社ドリームインキュベータに入社。ビジネスプロデューサーとして現在に至る。日本証券アナリスト協会検定会員。

 

本件に関する問い合わせ先

事業承継コンサルティング株式会社

TEL 03-3527-9033

Email tokyo@kishida-cpa.com

http://kishida-cpa.main.jp/

 

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