次世代の産業を担う【中小企業】初めて明かされる秘話
日本再生の鍵を探せ 企業x学校物語

異議あり!! どうした?アベノミクスの3本目の矢

 

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異議あり!! どうした? アベノミクスの3本目の矢

◆文:大高 正以知

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 賞賛すべきスピード感

政権交代から僅か4カ月で、平均株価は5割以上も上がり、円は(ドルに対して)約3割も下がった。景気の気は〝気〟だと言うが、総理大臣が気を示しただけで、市場はこんなにもドラスティックに動くものなのか。おそらくそう思った国民は少なくあるまい。

とまれそれらがアベノミクス効果であることには、疑いの余地はないだろう。実際にその恩恵を受けたかどうかはともかく、文句などつけたらバチが当たるというものだ。ということでまずは、そのアベノミクスのこれまでを簡単におさらいしてみる。

内容についてはまだまだ議論のあるところなので、ここでは深く掘り下げないが、間違いなく賞賛すべきは、そのスピード感である。

 

安倍晋三総理が〝三本の矢〟と命名し、「大胆な金融緩和」と「機動的な財政出動」、「民間の投資を喚起する成長戦略」という三つの柱からなる経済再生構想を打ち出したのは、政権発足直後の昨年末である。しかもただ打ち出すだけでなく、総理は正月休みを返上し、政府与党、更には日銀をも巻き込む一丸体制をつくり、その具体化に努めた。

 

「大胆な金融緩和」なる一本目の矢については、物価上昇率を2%に引き上げる目標を設定。政府と日銀の政策連携を強化し、早期実現を目指すとした共同声明を、通常国会開会前の1月22日に発表している。

 

二本目の矢(機動的な財政出動)が形になって現れたのは、それより更に早い1月15日だ。復興防災(公共事業)に重点を置いた緊急経済対策をまとめ、13.1兆円に上る大型補正予算を閣議決定している。この間、総選挙からなんと約1カ月だ。モタモタしているうちにどんどん状況を悪くしてきたこれまでの数年間を思うと、このスピード感は何ものにも代え難いだろう。国民の目には、これこそが強いリーダーシップの象徴として、頼もしく映ったに違いあるまい。

 

しかしだからといって、問題は何もないかというと、実のところそうではない。多くのエコノミストや産業人が指摘するように、今の株高と円安は、実態の伴わない単なる政権のアナウンス効果によるもので、下手をすると資産バブルに突入し(すでに突入していると見る向きも少なくない)、やがてはスタグフレーション(賃金の上昇が見込めないのに物価だけが上がる経済状況)という最悪の事態を招く危険性さえあるのだ。

 

このまま順調に景気は回復するのか。それとも最悪の事態を招くのか。鍵を握るのは言うまでもあるまい。3本目の矢、「民間の投資を喚起する成長戦略」である。

 

 

そもそもメンバーリングからしておかしい!?

安倍内閣は、昨年末に「日本経済再生本部」(本部長/総理大臣)を立ち上げ、年明け早々、その下に「産業競争力会議」(議長/安倍総理)を設けている。先の金融政策も財政出動も、最終的に目標とするところは、産業界を元気にすることであり、国民の所得と消費を持続的に押し上げる経済環境(好景気)をつくり上げることだ。その意味では、この産業競争力会議こそが、アベノミクスの〝本丸〟と言っていい。

 

しかし──、その肝心要の本丸が、健全かつスピーディーに機能しているようには、どうしても見えないのである。

将来(2030年を想定)のあるべき姿を描いた上で、「健康寿命の延伸」、「クリーンで経済的なエネルギーの需給」、「安全で便利で経済的な次世代インフラの構築」、「世界を惹き付ける魅力的な地域資源」等の実現をテーマに、戦略を策定するとしたまではいいが、なぜその提出のメドが6月なのか。もし巷間言われるように、夏の参議院選対策だとしたら、70%超の支持を寄せてくれている国民に対しての、重大な裏切り行為と言わざるを得ない。少なくともグランドデザインはできている筈だ。各テーマごとのアプローチも、それなりに集約されているに違いない。それらが見えてこない限り、企業マインドが投資に向かうことは金輪際ないのである。

 

繰り返すようだが、アベノミクスの身上はそのスピード感だ。日本の産業界が元気を取り戻すか否かは、そのスピードに掛かっていると言っていい。もはや時間との勝負である。アベノミクスがもしあと2年も遅れたら、国内の人材や技術、工場(雇用)さえも、海外に逃げるしかなくなるだろう。その前に企業マインドが、人や設備など投資に向くよう仕向けるのが、「産業競争力会議」のミッションではなかったのか。

 

「そもそも、あのメンバーリングからしておかしい」 東京・大田区で老舗の町工場を営む、二代目社長(51歳)の声だ。

安倍総理や菅義偉官房長官、山本一太、稲田朋美両特命大臣らを並べたのはいいが、民間からはなんで大企業の経営者ばかりなのだという指摘である。いちいち名前は挙げないが、そう言えば経団連の副会長や全銀協の会長、経済同友会、新経連の代表幹事らがズラリで、この国の95%を占める、中小企業の目線から策定する案など、どう好意的に見ても生まれようのないメンバーリングだと言うのだ。

 

アベノミクス──。三年半前の「生活が第一。」のときもそうだったが、手放しで歓迎していては、またおかしなことになるかも知れないぞ。

 

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2013年5月号の記事より

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