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タワーマンション節税はこの先も相続税対策の特効薬であり続けるのか? 【スタイルアクト・沖有人氏 ✕ 税理士・岸田康雄氏 】

オビ インタビュー

スタイルアクト・沖有人氏 ✕ 税理士・岸田康雄氏に聞く!

タワーマンション節税はこの先も相続税対策の特効薬であり続けるのか?

◆聞き手:加藤俊 /文:山田貴大

沖有人 ✕ 岸田康雄

スタイルアクト・沖有人氏 ✕ 税理士・岸田康雄氏

 

最近話題を呼んでいる『タワーマンション節税』。相続税対策の特効薬とも称される効き目に、遂には規制が入るかもという噂も出始めた。タワーマンション節税、生みの親ともいえる沖有人氏と相続に精通したエキスパート・岸田康雄氏に真意を問う!

 

節税ブームのなかで

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ここ数年、富裕層界隈で『タワーマンション節税』なるものがブームになっている。相続税対策として不動産を購入するケースはよくあるが、タワーマンション節税とは文字通り都心のタワーマンション(後述するがきちんとした定義はない。20階建て~の高層マンション)を購入することで金融資産の相続税評価額を下げ、相続税を節約することである。

タワー物件の場合単なる不動産よりも市場性があるので、賃貸や売却が円滑にできる。低リスクで運用益もある換金性が高い優良資産と言えるため、「相続税対策の特効薬」と言われる。なにせ所有権が移ったその日に相続税評価額を下げることができる。贈与税の基礎控除110万円を長年贈与していく節税対策に比べて、節税額・即効性共に優れると、相続税率が高い金融資産2億円を超える富裕層たちが飛びついた次第である。

 

 

―タワーマンション節税の仕組みは?

 

スタイルアクト 沖有人 (2)

:例えば、10億円の資産があるとして、それをそのまま現金で譲れば5億数千万円以上の贈与税がかかります。タワーマンション節税ではその贈与額10億円で都心のタワー物件を購入し、子供に相続させるという仕組みです。

不動産の相続評価額は、土地は路線価、建物は固定資産評価額によるので、現金に比べて評価額が下がります。さらに戸建てに比べてマンションは数百もの戸数で土地を分け合うため1戸ごとの土地の持分は小さくなり、土地の評価額も小さくなる。自宅のマンションはだいたい4割ほどですね。それをまた人に貸すと半分の2割ほどになります。

ということは、10億円の資産を現金ではなく、タワーマンションにすると2割の評価額になります。そこから先はテクニックが必要になるのですが、会社を設立し、ローンを引いて物件購入することによって評価額より借入金額を増やし、会社の株式の贈与財産としての評価額をゼロにするなどの手法が取れます。このような仕組みでどんなに資産額がある人でも相続税をゼロ円にすることが可能となるのです。

ただ不動産を扱うことになりますので、当然物件価格が下がるリスクがあります。そこで求められてくるのが当社のようにビッグデータを活用して確かな物件を顧客に紹介するサービスなのです。

 

―これほどまで広がった背景は?

 

岸田康雄 (2)

岸田:タワーマンション以外の不動産を活用した節税手法はこれまでにあったものの、主な事例として地主向けに賃貸物件の建築を提案するという手法でした。仕組み自体は、現在のタワーマンション節税と全く同じものですが、収益物件として活用するべきではない土地に賃貸アパートなどを建てることにより、赤字になってしまうことが問題に挙がっていたのです。

そこで、収益性の高い場所を見つけ出し、区分所有の分譲マンションを購入するタワーマンション節税を活用すれば、以前よりも安全かつ値下がりのリスクが相対的に低くなることが注目され始めました。

これまで様々な節税手段を研究してきましたが、現在タワーマンション節税ほど効果的な手段はありません。

 

―スタイルアクトで節税を始めた経緯は?

 

:元々、法人向けの不動産コンサルタントとして98年に起業した事業を、個人顧客向けにカスタマイズしました。法人向けのサービスでは、個人顧客向けのサービスに比べて、遥かに手慣れた人達に対してコンサルティングをしていました。それを一般の資産家にも分かりやすいように振り替えたサービスになっています。

 

 

時代の先を行く「ビックデータ」の活用

―スタイルアクトでは、顧客にタワー物件を紹介するにあたってビッグデータを用いると聞いている。仕組みは?

 

:現在会員数は18万人ほどいるマンション購入者向けの情報サイト『住まいサーフィン』を長年運営しており、ここでの情報を不動産ビックデータとして取り扱っています。情報の分析結果が査定に反映される仕組みです。

 

―どのマンションを選択するかによって、利用価値や換金性などの資産価値に差が生まれる。顧客の懸念事項として挙がると思うが、紹介した物件で空室などの問題は生じないのか?

 

:当社のビックデータでは、空室になりにくい物件を特定することもできます。実際、顧客に紹介した物件の稼働率は98%以上を記録しましたし、日本全国で見ると空室率の平均は10%、J-REITの平均空室率は5%なので、それ以上の成果を示せています。

 

―顧客はどういった層が中心なのか。

 

:資産家は地主や金融で分かれるのですが、比較的、金融資産家が多い印象です。例えば事業を行っていた創業者だったり、株式の所持や売却をしている方だったり、そういった金融商品を所持している方が多い。そういう方々は不動産をあまり気にしなかったこともあり、現金を潤沢に所持しているので、非常に対策が取りやすいです。

 

 

タワーマンション節税が有効な根拠

―タワーマンションの評価手法に関して、『旬刊 速報税理』(2015/7/11号)でパブリックコメント(意見公募手続制度)にかけられるとの観測が報じられた。法令改正や規制がかかる可能性も指摘されている。様々な情報が広まっているがどう感じているのか。

 

岸田:実際に税務当局が世間一般に対してどう感じているのかを集計しているので、ネガティブな声を聞くことはあります。

しかし、財産評価が下がるのはタワーマンションだけではなく、どのような物件であれ不動産であれば時価よりも相続税評価の方が大きく下回るのです。地主さんが賃貸アパートを建てる場合でも土地評価が5割は下がりますから、決してタワーマンション節税だけがやり過ぎだとは言えません。

中にはタワーマンション節税に規制を設けるべきだという声もありますが、仮にそうするのであればタワーマンションの定義を決めなくてはいけない。しかし、2階建てのアパートの節税と40階建てのマンションの節税の良し悪しを分ける境目はありませんので、現実的に考えて難しい話です。

可能性として評価減を緩くする方針になるかもしれませんが、かなりの時間と議論が必要なので、完全に封じる方向にはならないと思います。

 

:資産税を理解している税理士は皆さんこう話されますね。変更できるのであれば、とっくに変わっていると私自身も思います。当社ではタワーマンション節税の商標を取得していますが、岸田先生は5~10年前ぐらいから知っていたのではないですか。

結局、今回の話について言えば、論点を明確にすれば良いのですよ。仮にタワーマンションがダメになった場合、やはり定義がないのが問題になります。むしろ不動産業界では60m以上の物件は超高層と呼ぶようにしています。

具体的に言えば、1階層が3mほどなので、だいたい20階層になります。先ほどの税務当局の話が出た時も「タワーマンションがパブリックコメント(意見公募手続)にかけられる模様」と『速報税理』が報じていましたが主語や時期、理由、論点がありませんでした。しかも「上と下の階層で実勢価格が違うのに評価額が一緒なのは問題」という文脈の中に含まれていたので、その影響なのか税理士業界はタワーマンション節税を叩きにきました。

ただ、新築では上層の方が良いですけれど、下層の方が値上がりする可能性が高いのも事実なのです。私達は仕事柄、キャッシュ・フローを見ていますが、売買した時の値上がり幅は低層階の時の方が上がっています。

それに相続税評価が全ての不動産に対して、同じ評価をしている理由は徴税の影響です。複雑な仕組みで成り立っていたら国は取りづらい訳ですよ。それを単純化したものが路線価であり、固定資産税評価額なので、タワーマンションだけを変更するのはある意味、変な話になります。

 

岸田:私はタワーマンション節税をお客様へ提案する前、地主さん達に対して賃貸アパートなど収益物件を建築する基本的な手法を数多く提案していましたが、それも結局は財産評価を下げて相続税を減らす目的です。

しかし、先程も話しましたが乱暴なハウスメーカーによって提案された収益性の低い賃貸アパート建築によって、地主さんの間で投資に失敗するケースが多発したので、何か良い方法がないのかと考えた時に、既存の土地を手放して、別の土地の物件を買えばよい、空室率や値下がり率が低い物件を見つけてくればよい話なので、昔からの所有地にこだわる必要がないことを気付きました。

また、貸付事業をしている個人オーナーは、200平米まで50%の小規模宅地等の評価減を取れます。例えば、地方の地主さんは大きな土地を所有しているので、200平米の評価減はすぐに使い切りますが、地下が高く面積の小さい都心の賃貸マンションを購入すれば、50%評価減を取れる対象金額が大きくなるということです。

 

 

経営者が考えるべき事業承継の問題

―個人オーナーの話が挙がったが、中小企業の経営者が心がけておくべき、アドバイスを。

 

:自社株の評価を下げるために、タワー物件を購入する方法があります。相続の段階で法人を活用することですが、利益が出ていると自社株の評価が高くなってしまいます。タワーマンション節税を行えば、前述したように株価を一旦ゼロにして子どもに贈与できるので、贈与税をゼロにして経営権を移すことができます。

しかし、実際にそういった手法を提案しない税理士が9割ほどに上りますので、優秀な税理士を付けているのか否かによって大きく話が変わります。

それに不動産を活用する場合は、リスク管理が非常に重要です。当社の例で言うと、直下型の地震が発生した場合、資産価値がなくなる可能性があるので、湾岸の物件をオススメしていません。

そういったことを把握した上で、個人の所得税や法人の申告は顧問税理士に担当してもらえば良いですが、資産税に関しては専門性のある税理士と組んだ方が良いと思います。

 

岸田:法人設立と財産承継の仕組みを理解している税理士と、スタイルアクトさんのように優良な物件を紹介してくれる企業、低金利でローンを付けてくれる銀行の3者が揃えば、総資産が5億~10億の顧客であれば相続税をゼロにすることが可能です。

しかし、一般の中小企業の経営者は、事業承継などは先延ばしにする傾向があります。しかし、利益を上げて株価が上がると、それは個人の財産が膨らんでいることなので、将来の相続税が増えているのです。

そこで、一つの手法として、タワーマンション節税が切れ味鋭い生前対策となります。中小企業の経営者の皆さんにも是非検討して頂ければと思います。

 

:過去に失敗したことで不動産にアレルギーを持っている人がいますが、私達はリスク管理を担当するのでそういった過去を捨てて頂きたいです。

また、以前と不動産の評価の方式が変わっており、現在は一定のブレ幅でしか動くことはありません。利回りが上がれば他者が購入してくれるので、バブルのような出来事は起きませんし、極端に下がることもないです。なので、不動産は一つの手段だと考えて頂ければと思います。

 

オビ インタビュー

スタイルアクト 沖有人 (1)

プロフィール/沖有人(おき・ゆうじん)…慶應義塾大学経済学部卒業。スタイルアクト株式会社代表取締役。不動産コンサルタント。コンサルティング会社、不動産マーケティング会社を経て、アトラクターズ・ラボ(現在のスタイルアクト)を設立し、代表取締役に就任。住宅分野において、マーケティング・統計・ITを統合し、日本最大級の不動産ビッグデータを駆使する調査・コンサルティングを得意とする。著書は、ベストセラーとなった『マンションは10年で買い替えなさい』(朝日新書)を始め、『2018年までのマンション戦略バイブル』(朝日新聞出版)、『誰も教えてくれなかった 50歳からの「ご自宅戦略」ABC』(セブン&アイ出版)、『タワーマンション節税!相続対策は東京の不動産でやりなさい』(朝日新書)など多数。

http://styleact.co.jp/

 

岸田康雄(きしだ・やすお)…一橋大学大学院修了(経営学および会計学専攻)。島津会計税理士法人社員税理士、事業承継コンサルティング株式会社代表取締役。国際公認投資アナリスト(日本証券アナリスト協会検定会員)、公認会計士、税理士、中小企業診断士。中央青山監査法人(PricewaterhouseCoopers)にて金融機関の会計監査及び財務デュー・ディリジェンスに従事。その後、メリルリンチ日本証券、SMBC日興証券、みずほ証券に在籍し、オーナー系中小企業の相続対策から大企業のM&Aまで数多くの事業承継と組織再編をアドバイスした。現在は、富裕層の相続税申告に加えて、相続生前対 策コンサルティングを行っている。日本公認会計士協会経営研究調査会「事業承継専門部会」委員。

著書は、『事業承継・相続における生命保険活用ガイド』(清文社)、『相続・生前対策完全ガイド』(中央経済社)、『会社売却の手続・評価・税務と申告実務』(清文社)、『M&Aアドバイザリーガイド』(中央経済社)など。

http://www.10101010.jp/pc/

 

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