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東京都立蔵前工業高等学校|何かに一番であれ!

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東京都立蔵前工業高等学校 何かに一番であれ!

高度な専門知識と技術・技能を身に付けたスペシャリストに

◆取材:加藤俊

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DSC_2220 (1280x852) 東京都立 蔵前工業高等学校/校長 豊田善敬氏

今年になって工業高校へ企業からの求人数が増えていることが喜ばしいと言う東京都立蔵前工業高等学校の校長・豊田善敬氏。全国的に高校は普通科に進む生徒がほとんどという現在、あえて工業高校を選んで入学してくる生徒は、目的意識が明確だと語る。

 

蔵前工業の教育の根幹は「高度な専門知識と技術・技能を身に付けたスペシャリストになる」ということ。では、卒業後、スペシャリストを目指す生徒たちが求めている企業とは、どんな企業だろうか。それを豊田校長の提言から探ってみたい。

 

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■具体的な目標を持つ生徒多し!

工業高校に入学してくる生徒は、「卒業したらこんな仕事につきたい」と、具体的な目標を持っている生徒が多いですね。そこが普通科の生徒との明確な違いではないでしょうか。誰もがモノづくりに関心が高いことも確かです。

 

しかしながら、最近の生徒は、すぐに回答を求めたがる傾向もあって、自分でじっくり考え、時間をかけて取り組むことが苦手な面もあります。ですから、私たち教師が、最後までやり遂げることや、粘り強く、我慢強い心を育ててあげることも使命だと考えています。

 

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■求む! 中小企業との積極的な連携

中小企業のみなさんが、なかなか良い人材に出会えないということもよくおっしゃいますが、私たち工業高校も、常に、良い生徒が入学してくれるといいなと思っています。ところが、そこに私たちの反省すべき点もあります。良い生徒良い生徒と言うわりには、学校が求めている生徒に入学してもらうためのアクションが足りないことです。そして、「蔵前工業へ!」と期待して入学した生徒たちを、いかに満足ゆく就職へと導いてあげられるか、それこそが求めてやまないことです。

 

そのためにも、就職先となる企業との連携を深め、また、新たなつながりとして、これまで接点がなかった中小の企業とも積極的に交流していきたいですね。私たちもアクションを起こしていきますので、経営者のみなさんも、ぜひ本校へ遠慮することなく飛び込んで来てください。

 

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では、常に生徒と接している豊田校長ならではの視点で、「直言」「直答」を。生徒は、工業高校は、中小企業にどんなことを期待しているのか?

 

Q・学校としての教育方針、そして、どのような生徒を社会に送り出したいと考えていますか?

 

本校は全日制と定時制を併設しています。全日制は、機械科、電気科、建築科、設備工業科の4科、定時制は建築工学科の1科という工業高校です。根幹として掲げているのは「高度な専門知識と技術・技能を身に付けたスペシャリストになる」ということ。キャッチコピーは「専門家を育てる蔵前の専門科」です。

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生徒たちによく言っているのは、「何かに一番であれ」ということ。卒業するまでに、一人ひとりが「これだけは負けないぞ」というものをつくり上げて欲しいです。誰にも負けない自信を身に付けることで、社会に出て困難にぶつかっても果敢に立ち向かう勇気が持てます。また、自信を持って仕事に向かっている人間は、周りからも信頼されるでしょう。

 

Q・生徒たちの就職先は、どういった企業(業界)が多いですか?

 

機械科は、機械部品製造、工作機械製造、自動車、鉄道、プラント製造、昇降機関連、電気科は、電気工事、昇降機関連、ビルメンテナンス関連、建築科は、建築大工、設計・製図関連、施工管理、設備工業科は、防災設備関連、空気調和設備関連、ビルメンテナンス関連、施工管理などです。

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Q・生徒たちが社会との接点を持つ機会は設けているのでしょうか?

 

卒業生による講演会を行ったり、企業見学、インターンシップ、ものづくりマイスターによる技能講習、企業の出前授業や現場実習も行っていますが、今後は、その機会をさらに増やしていきたいですね。ですから協力していただける企業は大歓迎です。学校としても、企業側に積極的に呼びかけて、生徒たちが実際の仕事やものづくりを体験する機会を創出していきたいです。

 

ここ台東区は、伝統工芸や職人技を駆使した小さな町工場がたくさんありますが、年度ごとの定期的な採用を行っていないこともあって、実を言うと、あまり接点がありません。その点も改善して、伝統工芸などの道に進みたいという生徒の希望に沿えるように、地元との結びつきを強化していくことは今後の課題でしょうか。

 

Q・生徒たちを身近な距離で見ている先生の視点として、中小企業が若者を雇用するにあたって理解してほしいことは、どんなことでしょうか?

 

ともすると、来てくれるなら誰でもいいという感触を受けることも少なくはなく、その点が残念ですね。あるいは、明るく元気で挨拶ができる人間、素直で職場での人間関係が築ける人材とだけおっしゃって、そうなると、生徒としては、「工業高校で学んだ知識や経験が軽視されている」と感じてしまうんです。

 

そこでお願いしたいのは、どんな仕事が得意で、どんなスキルを持っていて、どのような資格を持っているかなど、工業高校卒ならでの人材を求める理由と具体的な視点を明確にしていただきたいということです。そうすることで、採用する企業にとっても生徒にとっても、両方に良い結果をもたらすと思います。

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また、嬉しいことに、今年は製造業での求人が増えていますが、工業高校卒業者の採用枠をもっともっと増やしてほしいです。採用時に大学卒と高校卒とを比較されることがありますが、卒業時に22歳と18歳では、いろいろな違いが目に見えてわかるのは当然です。まだ子供と冷たくあしらうのではなく、仕事上の経験を重ねることによって、グングンと伸びていく過程と、そして、その伸びしろそのものを見ていただきたいです。この子と共に会社も成長していこうというような、そんな包容力のある視点で見ていただくことを期待しています。

 

Q・工業高校卒の良い人材を求めたいと思っている中小企業に、学校側として何かご提案はありますか?

 

インターンシップなどの現場体験を通して意識が高まる生徒は多いですから、ぜひ、積極的にインターンシップや現場体験の体制づくりと提案をしていただきたいですね。また、本物に触れるという意味で、学校内での製品の展示に協力してくださる企業も増やしたいと考えています。数多くの製品を直接目にしたり触れたりすることで、生徒の興味や関心も高まり、現場を知りたい、その現場で働きたいという意識づけにもつながるでしょう。

 

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さらに、女子生徒の雇用拡大も重要視してほしいです。工業高校というと男子生徒ばかりというイメージを持たれますが、本校にも女子生徒が少数ですが在籍しています。女子生徒の採用によって、職場を活気付け、女性ならではの視点で新たな提案をもたらすなど、得るものは多いと思いますよ。

 

鋭い視点での提言を、どうもありがとうございました。

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東京都立蔵前工業高等学校
東京都台東区蔵前1−3−57 TEL 03−3862−4488
校長 豊田善敬氏(公益社団法人全国工業高等学校長協会 理事長)

http://www.kuramaekogyo-h.metro.tokyo.jp/

 

 

町工場・中小企業を応援する雑誌BigLife21 2013年11月号の記事より

町工場・中小企業を応援する雑誌BigLife21 2013年11月号の記事より

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