オビ 企業物語1 (2)

ユメリアコンサルティング株式会社 ‐ 社長と会社にお金が残る仕組みづくりの秘訣

◆取材:綿抜幹夫

 

ユメリアコンサルティング株式会社 舘野 愛氏 (1)

ユメリアコンサルティング株式会社/代表取締役 ダイヤモンド財務®コンサルタント 舘野愛

 

 一般士業と一線を画す「経営者目線」のコンサルティング 

「顧問税理士はいる。しかし財務全体を相談できる人がいない」。これは多くの中小企業の経営者に共通の悩みではないだろうか。ユメリアコンサルティング株式会社は、まさにその悩みを解決するために生まれた企業。

同社独自の、社長と会社にお金が残る仕組み「ダイヤモンド財務®」のパッケージプログラムは、地方の老舗企業の2代目経営者を中心に徐々に支持を拡大している。

2014年に同社を立ち上げ、すべてのコンサルティングを手がける舘野愛社長に聞いた。

 

会社財務の理想形態「ダイヤモンド財務®」

「ダイヤモンド財務®」とは「ダイヤモンドのように硬く永遠の輝きを放ち続ける強い会社。そんな理想的な経営状態を実現するための究極の財務」という意味を込めて舘野氏が命名した、同社が目指す会社財務の理想形態だ。

平たく言えば、社長と会社にお金が残る仕組みが確立され、企業の永続的成功・発展のベースができた財務状態のことであり、究極的には

①外部資本に頼らず(自己資本比率70%以上)、

②最小の元手で最大の利益が稼げ(ROA10%以上)、

③3年間売り上げゼロでも潰れない構造で(固定費3年分の内部留保がある)、

④いつでも新規事業投資ができる(常に3行以上の金融機関が応援)が達成された「4C経営」が実現している状態を差す。

 

同社と舘野氏が提供しているのは、そんな「ダイヤモンド財務®」を達成するためのパッケージ・コンサルティングプログラム。必要な行程を12のステップにわけて1カ月に1つずつ実施し、各ステージでの思考・検討・決断・実行を繰り返し行うことで会社の財務体質を強化。5年後、10年後に「4C経営」を達成できるしっかりした財務の土台を整えていくというものになっている。

 

100人以上の社長との議論経験から誕生

舘野氏の前職は経営コンサルティング会社。財務の専門家として、企業再生や事業承継、組織再編など特に中小企業の会社経営にまつわる金銭の悩みの解決を手がけてきた。

後に税理士資格を得るために税理士法人に移ってからも、取り組んだテーマは一貫して「どうやったら潰れない会社になるか」というもの。これまで100人以上の経営者と日々膝を突き合わせて議論し、提言を繰り返してきたという。「ダイヤモンド財務®」は、そんな毎日から生まれてきたものだ。

 

ユメリアコンサルティング株式会社 舘野 愛氏 (2)

「そうやってお会いしてきた社長さんの中には、銀行融資に頼らなくても事業を自由自在に操れる方もいらっしゃれば、銀行を気にして粉飾決算に手を染めてしまい、ますます経営が苦しくなってしまう方もいらっしゃいました。そんな中、徐々に時代の変化や経営環境の逆風にも負けない強い財務基盤を持っている企業の社長さんだけが実践している、会社経営のノウハウやお金に関する独自の視点があることに気づいたんです」

 

 

「売り上げを上げる」≠「お金を残す」

舘野氏はそれを独自の視点で体系化。ノウハウを1つのプログラムにまとめ上げ「同族会社のためのダイヤモンド財務®化コンサルティング」を作り上げた。

その核心でもあり、ダイヤモンド財務®実現のための第一歩でもあるのは、「〝売り上げを増やす能力〟と〝お金を残す能力〟は全く別物である」と認識すること。シンプルなようだが、これを混同しているために問題が起こり相談に訪れる経営者は非常に多く、舘野氏が自身のセミナーで毎回最初に必ず話すこともこれだという。

 

「売り上げを作らないと会社は潰れてしまうのは真実で、売り上げはもちろんすごく大切です。けれど黒字倒産が発生するのは、売り上げが上がっても支払いができなくなり、資金がショートしてしまうから。つまり〝お金を管理する能力〟の不足が原因です。上場企業なら上場の際に財務審査があったり、CFOなど財務コントローラーを置くことができますが、中小企業はそうはいきません。

私には売り上げを増やす手伝いはできませんが、今まで誰も意識してやってこなかったこの〝お金を残す仕組み作り〟の部分を1年かけてがっつりやりますよ、というのが〝同族会社のためのダイヤモンド財務®化コンサルティング〟のコンセプトであり、特徴なんです」

 

 

日本の明日を引っ張る次世代経営者に届けたい

ユメリアコンサルティング株式会社 舘野 愛氏 (3)第5会セミナー風景(2015/7/22)

同社のサービスの対象はその名前の通り同族会社、中でも舘野氏が「次世代経営者」と定義する、中小企業の2代目社長と同族企業のオーナーに限られているが、それには理由がある。これらの経営者がまさに日本経済の基幹である中小企業をこれから牽引する層だからであり、そして何より「お金が残らない」ことに一番悩んでいる層だからだ。

 

「まず同族会社は個人と法人が表裏一体の関係にあるので、税金や借り入れなどの問題でも、会社と個人をトータルで見たプランニングができないとなかなかお金が残りません。結果、〝会社や不動産などの財産はあるけれどキャッシュがない〟という社長さんが結構いらっしゃるんです」と舘野氏。

まして、現在は過当競争が激しさを増し、売り上げは減少傾向にも関わらず、原材料費・人件費は上がっていく時代。収益構造としてキャッシュが残りづらい上に、特に創業30~40年頃の会社では経営の革新や株の承継、時には相続対策まで考えなければならず、経営者は最初から多くの従業員、資産、負債を背負っての舵取りを迫られる。それを「目隠し運転で高速道路を走るような感覚」に例えた2代目社長もいたという。

 

顧問税理士はいても相談できるのは税金のことだけ。自社の財務諸表の見方や金融機関への対応方法、総合的な財務対策、3年後、5年後の事業計画はそもそも誰に相談したらいいのかわからないというのは、事業承継を受けた多くの2代目経営者が行き当たる問題でもある。

そんな中、経営者に「会社経営にまつわるお金の心配や倒産の恐怖から解放される」、「利害関係者や市場の変化に左右されない自由で自立した経営が実践できる」、「財務に対するモヤモヤ感、漠然としたお金の不安が払拭される」、「経営者としての自信がつき、金融機関や取引先などへの対応でも動じない」、「利益率や自己資本比率などの各種経営指標が向上する」、「会社経営の質が向上し、企業の成長ステージがランクアップする」の7つの実現を約束するダイヤモンド財務®化コンサルティングは確かに魅力的なプログラムではあるが、だがそれだけでは選ばれる理由にはならない。

「経営者の苦労は経営者にしかわからない。既存のコンサルタントや士業と何が違うのか? 実際に経営をしたことがない人に本当に意味のあるアドバイスができるのか?」と、多くの経営者は考えるからだ。

 

 

経営者と同じ立場でのコンサルティングへ

このことは、舘野氏が勤務先だった大手税理士法人を辞め、独立の道を歩んだ動機にもつながっている。勤務時代に社長と話をする中でも常に立場の違いの壁を感じ、「どんなに一生懸命やっても〝こいつは結局雇われだから〟というところから抜け出せない」ことへの歯がゆさが心にどんどん積もっていった。

さらに、会社を守るにはお金が残る仕組みが必要であると痛感し、財務顧問部の責任者としてその理想を実現しようとしても、税理士資格を持っていたため任される仕事はどうしても税理士業務が中心になりがちという現実に苦しんだ時期もあったという。

そんな中、「今勇気を出して飛び出すことで、5年後、10年後には財務を通して企業を、日本をよくするという理想の働き方ができるのではないか」という思いから2014年4月に独立。「日本で唯一の〝次世代経営者専門〟財務コンサルティング機関」として株式会社を立ち上げ、自身も経営者としての立場でコンサルティングサービスを始める道を選んだ。

 

その際こだわったのは、経営者に「財務全体の相談では頼りにならない」と思われている税理士やその他士業とは一線を画すことだ。税理士の肩書きはあるが、従来の税理士のイメージを持たれるのを避けるために敢えて使わない。

一地域に根を張り紹介で顧客を得るのではなく、全国を対象に自分で広告宣伝をしてセミナーを開く。また、コンサルティングといっても顧問契約のようなものではなく、いわば「設備投資」型なのも特徴的だ。

基本は1年間のみのプログラムで、後半6カ月分など必要な部分だけの提供も可能。終了時にはノウハウの詰まった「ダイヤモンド財務®化方針書」を渡し、たとえコンサルティングなしでも「4C経営」実現の過程を進めていける仕組みを採用している。

 

実務は「泥臭い」もの  だからおもしろい

「何より大事なのは、自分の会社の財務を強くしようという社長の強い意志。それがないと絶対に会社はよくならないんです」と話す舘野氏。現在の顧客はすべて同氏主催のセミナーで話を聞いた後、コンサルティングを望んだ希望者だ。

1カ月に回れる件数の関係上、月に20社までと決めて、すべて舘野氏が直接指導を行っている。実際にコンサルティングを手がけるのは年商10億円以上の企業がほとんど。地方で30~40年続く老舗企業も多いという。

 「私はまだ経営者としては駆け出しもいいところですが、自分でやってみて経営者の苦労がわかったところはたくさんあります。仕事は大変だけど、心は自由。日々泥臭くやっています」と語る真っ直ぐな瞳に、ほかでもない「舘野氏に」頼む経営者の気持ちがわかった気がした。

 

オビ ヒューマンドキュメント 〈プロフィール〉

舘野愛(たての・あい)氏…法政大学経営学部卒業後、中央青山PwCコンサルティング会社(現:みらいコンサルティング会社)に入社。その後、辻・本郷税理士法人霞が関本部(現:税理士法人みらいコンサルティング)へ転籍し財務顧問部マネージャーを務める。2014年4月にユメリアコンサルティング株式会社を起こし独立、代表取締役に就任。現職。

 〈ユメリアコンサルティング株式会社〉

〒102-0074 東京都千代田区九段南1-5-6 りそな九段ビル5F

http://www.yumerea.co.jp

info@yumerea.co.jp(担当:堀江)

 

 

2015年10月号の記事より
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