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ソルナ株式会社 ‐ ネット上の風評被害から企業を救う!これまでになかった『カイシャの病院』

 

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ソルナ株式会社 ‐ ネット上の風評被害から企業を救う!これまでになかった『カイシャの病院』

◆取材:綿抜幹夫 /文:渡辺友樹

オビ ヒューマンドキュメント

ソルナ株式会社 (3)ソルナ株式会社 代表取締役 三澤和則

 「困っている人や会社の力になりたい」─。

インターネット上の風評対策は、いまやどんな企業にも欠かせない。悪質な風評によって赤字転落や倒産の憂き目に遭うケースも出ているが、これまで風評対策を総合的に行う企業はなかった。

法律・ITの両面から風評対策・監視を行う『カイシャの病院』、六本木ヒルズにオフィスを構えるソルナ株式会社の三澤和則社長に聞いた。

 

■創業のきっかけ

前職では、4人で興した事業を600人の規模にまで成長させ、No.2にあたる専務取締役を務めていた同氏。飲食や不動産鑑定、人材紹介など多様な業種の企業を束ねるホールディングスカンパニーへと発展させたこの会社で、売上増や規模拡大を目指して邁進する日々を7年間ほど過ごしていたが、転機となったのは自身が体調を崩し、入院したことだった。平成22年(2010年)、42歳のときだ。

同氏は2週間ほどの入院生活の間、仕事のできない状況の中で、自分自身と対話する時間を過ごす。慌ただしいビジネスライフの中で、社員はじめ他者との対話はしていても、自分自身と向き合う時間はなかったという同氏。

売上を伸ばすことや社員を増やすことが目標だった毎日を見直したといい、「病気をきっかけに、これからは自分が本当にやりたいことをしようと思ったんです。その上で自分自身と対話して、自分は何がしたいか、どういう仕事をしたときに自分の気持ちが昂ぶるかを考えました」と語る。自己の内面への旅で得た結論は、「困っている人や会社を助けることに対して、自分はモチベーションが上がることに気が付きました」ということだった。

「様々な事業を手がけてきた経験を振り返ると、自分の気持ちが昂ぶるのは、誰かの困りごとを解決するような仕事をしているとき。そういう仕事をもう一度やりたいと思ったんです」と、創業のきっかけを語る。

 

 

■『カイシャの病院』

ソルナ株式会社 (2)ラテン語の太陽と月が『ソルナ』という社名の由来。同社ロゴにもそのモチーフが取り入れられている。

入院を経てたどり着いた「人(会社)助け」への想いを具体化するにあたり、同氏はちょうど自身がかかっていた「病院」に着想を得て、『カイシャの病院』というテーマを見出す。

「人は体調を崩したり、病気になったりしたら病院に行きます。会社も人間と同じように不調や病気になることがありますが、それを治療したりする場所はないんです。法的なことは弁護士、お金のことは税理士、と専門的なサービスはあっても、もっと総合的に『会社の病気を治す』場所はありませんでした」

創業にあたってはインターネットで『カイシャの病院』と検索してみたというが、「集客に困っていたらここ」など個別なものはあっても、「カイシャの病院」という業態は発見できなかったという。

 

■ネットの評判や口コミで倒産する時代

ソルナ株式会社 (4)ネット上の風評対策には高度な知識を持った特殊な人材が必要となり、同社の社員もその殆どがエキスパート。企業から寄せられる困りごとに対し、適切な方法で対策を行う(写真は執務中の風景)
ソルナ株式会社 (5)本社会議室での打ち合わせ風景

こうして同社を創業した同氏。平成22年(2010年)当時は、スマートフォンの普及が爆発的に進んでいた時期だ。「スマートフォンの機械そのものではなく、スマートフォンを手にした時に人は何を調べ、どんな情報を取りたがるのかに興味がありました」という同氏は、「会社の口コミや評判をみんなが調べる時代が来る」と感じたという。

当時、既に食べ物やレストランに関する口コミサイトはあったが、飲食物に限らず、洋服や遊びに行く場所、そして同社の専門である「企業の評判」など、インターネットでの口コミや評判が影響力を持つ時代が訪れると予測したのだ。

例えば当社のことを『ソルナ 評判』と検索して、悪い評判が出てきたら、お客様は接点を持とうとしないと思います。インターネットで会社の評判を見て、そこに就職する、しないとか、その会社と付き合う、付き合わないを判断するのがネット社会です。評判や口コミがその会社を成長させたり苦しめたりする大きな要因になるのです」

ネット上の書き込みによって企業が倒産する例も出ている上に、インターネットの世界では「人の噂も七十五日」の諺に反して、75日で鎮火するどころか、より火勢を増して延焼し続けることもあり、過去の悪評に10年、20年と苦しめられるケースも少なくないという。

同氏は「インターネットは未熟な世界。匿名なら何を書いてもいいと思っている人はまだまだ大勢います。そうした人たちの無責任な発言によって苦しめられている企業は多く、今後も増えていくでしょう。こうしたリスクに自衛の手段として対策を講じていくことが、これからの企業には必要になります」と語る。

 

 

■総合的な風評対策が可能

「世の中に必要と思える企業でも、ネット上の書き込みで苦しんでいるケースは沢山あります。そうした企業が〝健康〟に事業を行えるように、『カイシャの病院』として総合的に対策を行うのが当社の事業です」と語る同氏。

ネット上の誹謗中傷には、根も葉もない内容を書く場合と、多少は事実であることを誇張して書く場合とがあり、企業が被害を受ける事例には後者が多いという。「辞めた社員など、会社に悪印象を抱いている人間が、1のことを5にも10にも書いてしまう」といい、セクハラやパワハラ、サービス残業など、いわゆる『ブラック企業』と捉えられてしまうような内容が誇張して書き込まれるケースが多いのだという。

根も葉もない中傷であれば、当該記事が削除されれば、それ以上書かれることは少なく、同社では安ければ数万円で解決できる。悪質な場合は、法律の専門家と協力して投稿者を特定することも可能だ。

一方で、ニュースサイトやジャーナリストなどのメディア関係によって、取材に基づいて記事を書かれている場合は対応が難しい。たとえ「過労死が出た」「ブラック企業だ」と不利益な内容が書かれていたとしても、きちんとした取材を経た事実に基づく内容であれば、言論の自由がある以上、削除することはできない。これによって業績が落ちたとしても、記事自体には手を出せないのだ。これは行政処分を受けてしまったような場合も同様だが、こうした場合には、せめてその記事や事実が目立たないように、検索結果上で当該記事の「順位を下げる」対策をとるという。逆に、その企業に関する「良い情報」を目立たせるような対策を行うこともできる。

 

 

■定義なき『ブラック企業』

ある日突然、自分の会社名を『◯◯』と検索窓に入力した途端に『◯◯ ブラック』と検索候補が表示されているような状況になれば、その企業としては堪ったものではない。今日のインターネットの影響力は侮れない。業績にも大きく響く上、採用活動もしにくくなる。

しかし、ではそもそも一体『ブラック企業』とは何なのか。その定義は、実は決まっていない。同氏は、「定義がない以上、風評であり誹謗中傷でもあるわけです」とした上で、「いずれは『ブラック企業』という言葉の基準が定まってくるのかも知れませんが、それにはまだ時間がかかるでしょう。それを待っていたのでは潰れてしまう企業もたくさんあるのです」と語る。

同社のクライアントは、誰もが知るような大手企業から中小企業まで幅広く、比率にしておよそ半数は中小企業だというが、大手・中小の規模を問わず業績を悪化させ、上場企業でも赤字転落などの大打撃を与えるのがネット社会だ。『ブラック企業』と聞いて、具体例として有名な企業が思い浮かぶ方も少なくないだろう。

 

 

■新興業界、希少なエキスパート集団

技術の進歩と普及のスピードに対して、法整備も、ユーザーのネットリテラシーも追いついていないインターネットの世界。匿名の隠れ蓑の下に悪意を撒き散らす者も多く、トラブルが後を絶たないことはネット社会の弊害だ。しかし、同社のような事業を行う企業はまだ数十社程度。その中には、クライアントから契約を取って、同社のような技術を持つ企業に仲介する「代理店」の立場にすぎない業者も多く、自社で技術者を抱える「メーカー」的な企業は同社を含めて数社のみだという。

創業から5年、おおよそ当初の同氏のイメージ通りに、順調に推移しているという同社。ネット上の風評対策は、火に油を注ぐような逆効果を招いてしまうような恐れもあるため、高度な知識を持った特殊な人材が必要となる。同社の社員も、その殆どがエキスパートだ。「前職では会社をどんどん拡大させましたが、いま私がやりたいのはそうではなく、エキスパートだけを集めて困っている企業の力になること。当社は、そういう社員のみで組織を構成していきたい」と語る。

 時代を塗り替えたインターネットの普及。しかし、光があれば闇もある。ネット上の風評被害で倒産する企業まで出ている状況で、同社のようなサービスが今後欠かせないことは確実だ。

自身の病気、入院を機に「本当に自分のやりたいこと」を見つめ直した同氏が、『カイシャの病院』のパイオニアとして業界を牽引する。会社を治すことは、社会を治すこととも言い換えられるだろう。

 

オビ ヒューマンドキュメント

◉プロフィール

三澤和則(みさわ・かずのり)氏…1968年山口県生まれ。学校卒業後、医療機器メーカー(資本金17億円、社員数400名)に就職。2003年執行役員に就任後、国内医用事業部統括責任者として、全国の拠点およびサービスセンターを統括。2005年同社退職後、4名で不動産コンサルティング会社を創業し、専務取締役に就任。営業責任者として、全国の提携ネットワーク1000社を構築し、設立から5年で、従業員数約600名超、売上約40億円規模へと牽引。2010年、同社役員を退任し、国内トップクラスのITエンジニアとの出会いを経て、ソルナ株式会社を設立。現在に至る。

ソルナ株式会社 (1)本社エントランス

ソルナ株式会社

〒106-0032 東京都港区六本木6-2-31

六本木ヒルズノースタワー6F

TEL 03-6721-1861

http://www.soluna.co.jp/

 

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