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株式会社セカンドファクトリー ‐ ITで飲食店の経営をエンターテイメントに変えるQOOpa 有用性を実証するため自ら唐揚げ店を運営!

 

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株式会社セカンドファクトリー ITで飲食店の経営をエンターテイメントに変えるQOOpa

有用性を実証するため自ら唐揚げ店を運営!

◆取材:綿抜幹夫 /文:渡辺友樹

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Minolta DSC株式会社セカンドファクトリー 代表取締役 大関興治(おおぜき・こうじ)氏…1969年生まれ。準大手SI企業に入社し、大学をはじめとするさまざまなクライアントに出向、設計業務や常駐コンサルなどを手がける。1998年、株式会社セカンドファクトリー設立。一貫してビジネス&UXを重要視したチーム形成と開発スタイルを提唱。現在は関連会社2社の取締役ほか、複数の非IT企業の社外取締役として「ヒト」づくりに取り組むのがメインの仕事、かつライフワーク。

「ソフトウェアも一生懸命、唐揚げも一生懸命!」

自分たちが提供する飲食店向けソリューションやPOSシステムは、果たして本当に現場で有用なのか。これを確かめるために、実際に飲食店を始めてしまったIT企業がある。店員は自社の社員。普段はパソコンに向かってソフトウェアを開発しているエンジニアが、汗にまみれて唐揚げを揚げている。「IT業は、製造業ではなくサービス業であるべき」と語る、株式会社セカンドファクトリーの大関興治社長に話を聞いた。

大学内情報システム部でのSE経験を経て、セカンドファクトリー設立

同氏はもともと、SI企業から出向する形で大手私立大学の情報システム部に勤めていた。その職場で、あるとき、ある人物からこう言われてしまったという。

「君らはいいシステムを作っているつもりだろうが、現場は必ずしもそう思っていないのが現状だ。現場の意見をもっと反映することを取り入れるべき。現場では、不便という理由からそのシステムを使っておらず、以前と同じようにエクセルを使って仕事をしているヒトもいる。せっかくお金をかけて開発しているのだから、もう少し現場を見るべき」

 

このできごとが、後の起業の大きなきっかけとなる。作るノウハウと使うノウハウは違うものであるのに、作るノウハウで成立してきてしまったのがIT業界。プロであれば、クライアントが困っていることは何なのかを引き出して当たり前だが、この業界はそうではない。これからは、従来のようにクライアントと一緒にシステムの内容を決める「要件定義」ではなく、さらにその一歩先、開発側がクライアントの要求を引き出す「要求開発」をしていかなければならない。こういった認識を新たにした同氏は、やがてその想いを実現すべくセカンドファクトリーを立ち上げることとなる。
〝comfortable experience for everyone , everywhere〟。日本語にすると「快適な体験を誰にでもどこにでも」をポリシーに掲げる株式会社セカンドファクトリーの設立は1998年。同氏は、「IT」を「ビジネスやライフスタイルに付加価値を与えるもの」であり、同時に、「誰にでも平等なもの」であるべきと定義づけており、そのため同社は近年中小企業に向けたサービスに力を入れている。大きな予算を投入できる大手企業に、良いシステムを提供できるのはある意味、当たり前だ。しかし現在のクラウド&デバイスの世の中、「投資額が少ない中小企業でもITのメリットをもっと享受されるべき」というのが同氏の考えだ。

 

飲食店向けソリューション『QOOpa』

そのために開発されたソフトウェアのひとつが、飲食店向けクラウド型ソリューション『QOOpa』だ。「飲食店の経営をエンターテイメントに変える」をコンセプトに開発され、利用客が自分のスマートフォンを使ってオーダーできるほか、店舗側もスマートフォンやタブレットを使ってクラウドにアクセスすることで、いつどこにいても、リアルタイムに店の状況を知ることができる。どのテーブルを何名で何時間利用し、何をオーダーしたのかが分かるのだ。そのデータをもとに、曜日や天気、時間帯による利用の動向などを多角的に分析することができる。

また、クラウドを利用しているため、クライアントが専用のPOSレジを買う必要がないことに加え、月額2万9800円という低価格を実現。予算をかけられない中小企業はもちろん、個人経営の飲食店でも導入しやすい敷居の低さが大きな魅力だ。

 

株式会社セカンドファクトリー (3)『QOOpa』の実用性を確かめるために同社が運営を始めた、『東京からあげ極鶏.Bar』(東京都稲城市)
株式会社セカンドファクトリー (4)極鶏.Barでのヒトコマ。店頭でQOOpaを使う彼もセカンドファクトリーのマーケ担当スタッフという顔を持つ。
株式会社セカンドファクトリー (5)昨年からは海水浴シーズン限定で、海の家『極鶏.Bar Shonan Beach Store』をオープン(江ノ島片瀬海岸東浜)

この『QOOpa』の実用性を確かめるために同社が始めたのが、飲食店『東京からあげ極鶏.Bar』の運営だ。東京都稲城市若葉台のショッピングセンター内に出店しているほか、昨年から海水浴シーズン限定で、江ノ島片瀬海岸東浜に海の家『極鶏.Bar Shonan Beach Store』をオープン。同社社員が交替で働いている。慣れない調理や接客に悪戦苦闘しながらも、完全IT武装ならではのデータ分析を活かした経営で、おおいに繁盛しているという。

海の家では当日の天気よりも前日の天気予報に客足が影響されること、アイスクリームは15時以降によく売れることなど、現場の肌感覚とデータの両面を突き合わせて分かったことは多い。それを即座に仕入れやメニューに反映させることで、ITが小規模の飲食業に強い武器となることを見事に証明した。「IT企業が飲食業に手を出して失敗した」というありがちなオチが付きそうなところを、自分たちの立派なショールームにすることに成功したのだ。

 

500円のビールで生計を立てる商売を身を持って経験

同社が飲食店を経営しているのは、自社サービスの実用性を確認する以外にも理由がある。一杯500円のビールで生計を立てる業態が世の中には数多く存在し、そうした中小零細企業こそが日本を支えている。1日の売上が10~20万円の小売業の実態、客単価1000円が日に数十人という規模のビジネスの実態を知らないことには、中小企業の支援はできないという気持ちがあったのだ。

 

また、飲食店では、日に何百回も「ありがとうございます」と口に出すが、IT業界ではひとつの商品の打ち合わせから納品まで時間がかかり、顧客と日々顔を合わせるような業態ではない。「ありがとう」と口に出す回数は、営業職でもない限り年に数十回程度である。日に100回「ありがとう」と言う人と、1回しか言わない人では、人間としての成熟度が変わってくるというのが同氏の考えであり、同社は「ありがとう」の気持ちを持ったIT集団でありたい、IT業界にもそういう集団がいることを知って欲しいと語る。

 

というのも、IT業界の「無知なクライアントに向けて、上からシステムを提供する業界」という側面はいまだに根強いと感じているからだ。同氏が起業を志すきっかけとなった、冒頭で紹介した大学内情報システム部でのエピソードも、まさにそのひとつであろう。しかし、既にIT企業も淘汰されていく時代。生き残っていくためにも、「『ありがとう』の精神を持った集団として、IT業界のあるべき姿のひとつとして知っていただきたい」という。

 

中小企業支援のために

株式会社セカンドファクトリー (1) ビッグサイト等で行われるEXPOにも「多摩地区発のIT企業」ということで積極的に出展をしている。
株式会社セカンドファクトリー (6)同社のイノベーションラウンジ。マイクロソフト製品をはじめとして来訪者が最新鋭のテクノロジーをいつでも触れられるスペースを用意する。

同社が中小企業を支援していくための具体的な戦略として、府中にオフィスを構えていることが挙げられる。勢いのあるIT企業は華やかな都心に進出する傾向があるが、都心に進出すれば、家賃などコストが嵩み、自ずと儲け主義に走り、利益の大きい大手企業相手のビジネスばかりを手がけることになってしまう。府中だからこそ生まれる余裕を活かして、中小企業支援を実現させているのだ。そもそも、ソフトウェアの開発は、パソコンさえあれば場所を選ばず行える。そうした自由さもITのもたらす恩恵であるはずだ。オフィスが都心にあろうが、府中にあろうが、ソフトウェア開発に影響はないのだ。

 

また、中小企業を支援していくには、信用金庫や地方銀行とのパートナーシップも重要だ。既に中堅といってよく、業績も順調な同社は、大手銀行からも信用されており、実際に取引もある。その一方で、同氏は信用金庫の持つメリットを欠かせないものとして実感している。中小企業を応援するためのアイデアは、大手銀行には理解されにくい。良いアイデアがあるなら、システム化して大きな商社に売りましょうという考え方になってしまうのが大手銀行なのだ。その点、信用金庫なら、そのアイデアをもっと聞かせてください、手伝わせてくださいと、しっかり向き合ってくれる。

大きなビジネスを展開したいのであれば、大手銀行が頼もしい場合もあろう。ケースバイケースなのはもちろんだが、予算のない中小企業を応援したいというスケールのビジネスに関して言えば、信用金庫の地に足の着いた力添えが有難いと同氏は語る。

ITは、まだまだすべての人や企業に平等に提供されているわけではない。大手企業に育てられたからこそ、自分たちは中小企業の支援に回りたいと語る同氏。「ソフトウェアも一生懸命、唐揚げも一生懸命」なIT集団が、業界を血の通ったサービス業に変えようとしている。

 

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●プロフィール
大関興治(おおぜき・こうじ)氏…1969年生まれ。準大手SI企業に入社し、大学をはじめとするさまざまなクライアントに出向、設計業務や常駐コンサルなどを手がける。1998年、株式会社セカンドファクトリー設立。一貫してビジネス&UXを重要視したチーム形成と開発スタイルを提唱。現在は関連会社2社の取締役ほか、複数の非IT企業の社外取締役として「ヒト」づくりに取り組むのがメインの仕事、かつライフワーク。

株式会社セカンドファクトリー
〒183-0055 東京都府中市府中町1-14-1 朝日生命府中ビル12階
TEL 042-354-7777

http://www.2ndfactory.com

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