次世代の産業を担う【中小企業】初めて明かされる秘話
日本再生の鍵を探せ 企業x学校物語

株式会社アルバ|義理と人情の不動産屋

 

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株式会社アルバ アナクロと笑うなかれ!義理人情の不動産屋

◆取材:綿抜幹夫 /文:小川心一

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Minolta DSC株式会社アルバ 代表取締役 上内健生氏

一芸に秀でるというのは、中小零細企業にとって最大級のアドバンテージだ。もっとも、そういった自信の一芸がなければ誰も起業しようとは思わないだろう。ところが、その一芸が『義理と人情』という、時代がかった会社があった。不動産仲介の株式会社アルバである。世知辛いこのご時世に『義理と人情』は武器たり得るのか。アルバ躍進の理由を探る。

回り道の末にたどり着いた天職が
不動産仲介業だった!

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東京都中央区京橋は、日本橋同様、江戸時代の代表的な下町だ。だが、今日的なイメージではオフィス街として名高い。事実、日本を代表するような大企業の本社オフィスが立ち並ぶ。徒歩圏内には八重洲、丸の内、銀座もあり、この界隈だけでどれほどの会社が存在するのか、想像もできない。

そんな京橋に会社を興して10年。株式会社アルバは、オフィス専門の不動産仲介を生業としている。ただ単に物件をオーナーから店子に引き渡しておしまいの、そんな当たり前の不動産屋ではない。オフィスの専門家として、あらゆるニーズに精通するプロ集団なのだ。

 

オフィスの移転時には様々な付帯業務が発生する。例えば、旧オフィスの原状回復や、新オフィスでのレイアウト、果ては登記手続きまで、アルバに相談すれば解決できない問題はない。オフィス移転をトータルでサポートするワンストップサービスが〝売り〟のアルバだが、この会社の創業者である代表取締役・上内氏の出発点は不動産ではないそうだ。

 

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「高校時代は野球一筋、大学に入ってからはテニス三昧と、スポーツに打ち込んだ学生時代を過ごして、いざ就職となった時には、あまり明確なビジョンはありませんでした。大学卒業後、まず飛び込んだのは外食産業です。時代はバブルも盛りの頃、新日鉄が多角経営の一環として外食に参入した際にできた会社で、すかいらーくとの合弁企業でした。その会社の新卒2期生としての入社です。何と言ってもイケイケの時代でしたから、外食には成長性を期待してのことでした。3年間在籍して、キッチンやホールを担当し、マネージャーもやりましたが、私には決定的な問題がありましてね。

それは自分の味覚に自信が持てなかったことです。何せ、どんなものを食べても美味しかったものですから(笑い)。それでも〝石の上にも3年〟と思い頑張ってみましたが、やっぱり向いていないと思ったわけです。

ただ、この仕事の経験から、私は人と接する仕事が好きだとハッキリ認識しました。〝人〟とはお客様であったり、パート従業員だったりするのですが、こういう人たちとコミュニケーションを大事にして仕事をすることはとても楽しかった。これを次の仕事に活かそうと思いましたね」

 

そして、次の職場で不動産業に〝隣接〟する。

「若気の至りで無計画に会社を辞めてから、仕事を探し始めたのですが、就職情報誌でたまたま目にした測量会社にアルバイトで入りました。精勤ぶりが認められてか、3カ月後には正社員に登用されましてね。4年間、測量の仕事を続けました。

その仕事のお客様に大手住宅メーカーがあったのですが、そのご発注で宅地の測量なんかをずいぶんとやりました。しょっちゅうそういう現場に出入りしていると、そのメーカーの営業さんが、お客様と話しているところにちょくちょく遭遇しまして、私自身もあっちの方、つまり営業の方が面白そうだな、向いてそうだなと思いました。不動産にかかわる仕事をしていても、測量はいわば裏方作業。もっと表舞台で人と接したり、大きな仕事をしてみたいと思うようになったのです。そこで、いろいろ調べてみると、法人対象の賃貸オフィス事業が面白そうだと。実に安直な考えだったのですが、土日が休みというのも魅力的に映りました(笑い)」

 

今度はきちんと次の会社を決めてからの転職で、いよいよ不動産仲介の世界へと飛び込んで行った。

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「法人向け不動産仲介の大手企業に入社しました。面接したその場で内定をいただき、正直若干〝?〟って部分もあったのですが。まあ、この世界の大手ということもあって、思い切りました。もちろん、元いた測量会社からは慰留もあったのですが、すでに次が決まっていますと告げると、快く送り出してくださいました。29歳の時でした。ところが、その会社は毎日のように中途入社の社員が入ってきては、次々と辞めていくような会社だったんです。入社初日から上司や先輩からの指導も一切ないまま、この人についていけと言われるだけでした。その先輩はとにかく歩くのが異常に速く、訪問件数も多くて。今風に言うところの典型的なブラック企業だったわけです」

 

庶民感覚で言うと、不動産業には胡散臭さがつきまとう。やはりリピーターが付きにくい業界だからだろうか。

「誰も教えてくれないから、見よう見まねで動いていました。1週間後、上司から『よくもったね』と声を掛けられた。それを聞いて試されているのかと思ったんですが、その後も約1カ月間ほったらかしにされました。ある日の飲み会の席で、初めて上司や先輩とちゃんと話をする機会が訪れたんですが、周りからはすぐに辞めるだろうとか、29歳と年齢がいっているから余計に大変だろうと思われていたことを知りました。

そこで、何でぜんぜん仕事を教えようとしないんですかと尋ねると、教えてもすぐ辞めていくので、残った奴に教える方が効率的だとおっしゃる。考えようによっては合理的なんでしょうが(笑い)。じゃあ、僕は残ったんですねと確認すると、その通りだと言われました」

 

こんな過酷な環境も、体育会系のガッツで乗り切った上内氏は決意を新たにする。

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「その日以降、会社には誰よりも早く出社して、掃除や仕事の準備を始めました。それを1カ月ほど続けた頃、やっといろいろな仕事を任されるようになっていったんです。ですが、誰かにきちんと指導されたわけではありません。全て独自に身に着けたスキルでした。そして入社10カ月で営業所の所長を任されるまでになったのです。結局、この会社は4年間勤めました」

その後、先に退職した先輩の誘いで同業の会社の立ち上げに参加。そしてその約3年後には自らが独立開業、アルバを創業した。

 

 

お題目だけじゃない、
真の『顧客中心主義』を目指して

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それまでの会社から、不動産業を営む上でのノウハウは充分吸収できた。だが上内氏が思い描く『不動産道』は、そういったうわべのテクニックだけでは実現不可能だった。

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「これまでの会社都合が優先される仕事のやり方は、自分の会社では取り入れたくありませんでした。お客様を中心に据えた考え方で仕事をしたかった。不動産仲介は物件のご紹介をして契約を結ぶこと。そしてその仲介手数料をいただきます。我々にとってそれが日常業務でも、お客様にとって移転というのは頻繁に行うものじゃない。つまり経験が少なく、ノウハウもないということです。特に中小企業ではなおさらでしょう。そんなお客様の不安や負担を軽減することが当社の目指すところなんです」

それには、顧客が個別に頼む必要があった不動産屋、内装屋、引越屋といった窓口業務をアルバに一本化することが早道だと思い至った。

「ワンストップで話が進めばお客様は楽でしょう。それに、費用のことも。移転したい会社の社長としては、トータルのコストがどのくらいかかるのかは最大の関心事のはず。それも1カ所からのすべての情報が得られれば、これほど楽なことはないんです。『場所はどこで、どのくらいの広さで、諸々含めて予算はこれくらいで』とご相談いただければ、我が社が一括でご回答する。そうすることで、ご相談されたお客様も、移転後のランニングコストを含めた予算管理が簡単にできる。結果、事業計画も立てやすい。成長企業であれば、従業員も増え、オフィスに求められることも変わってくるものです。そういう部分をご相談いただけることが我が社の強みであり、結果として長期のお付き合いをさせていただけることになるわけです」

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普通、不動産屋との付き合いは、不動産のオーナーでない限り1度の契約と更新手続きに限定されるだろう。だが、オフィストータルのアドバイザーとなれば、もっと深く長いお付き合いが可能となる。

「今時の不動産仲介と言えば、インターネットで物件を検索し、それを不動産屋に持ち込んで、契約したらおしまいというケースが多い。ですが、我が社では相手のお悩みまでお聞きしながら、不動産のプロとして最適なソリューションをご提示し、その信頼関係から長くお付き合いいただく。これこそが我が社の目標です。そのためには高品質で低価格なサービスを提供できる各種のネットワークが必要になってきます。それを強化するのが目下の急務ですね。

一般的に企業には顧問弁護士や信頼できる税理士といった立派な外部ブレーンがいるものです。我が社はお客様にとっての最適なオフィス管理者となって、オフィスのことならアルバに聞け、と言われたいんです。そのためにも、単に移転毎の仲介だけでなく、顧問料をお客様から頂戴するようなビジネスにしていきたいですね」

 

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つまり、『オフィス担当顧問』会社こそ、アルバの目指す会社像と言えよう。

「お客様のオフィスに対する要望は、必ずしも移転ありきではないはずです。全社的な移転よりも分室を作った方が安上がりかもしれませんし、レイアウトを変えることで対処できるかもしれない。単にコストを下げたいのであれば、オーナーサイドと交渉することだってできるでしょう。そういう様々なオーダーに対応できる会社でありたい」

 

あくまでもお客様第一に、その要望に真摯に応える『義理と人情』に厚い会社アルバ。唯一残念なことは、そのサービスが都内14区に限定されていることくらいだろうか……。

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プロフィール

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上内健生(じょうない・たけお)氏…昭和43年熊本県生まれ。獨協大学法学部卒業。高校時代は野球、大学時代はテニスに打ち込んだスポーツマン。大学卒業後は外食企業から測量会社、そして不動産業を経験。平成16年株式会社アルバ設立。

 

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 安瀬潔(あんぜ・きよし)氏…取締役マネージングディレクター

 

株式会社アルバ

〒104-0031 東京都中央区京橋2-11-3 服部ビル5F

TEL 03-3563-0137

http://www.alba-realestate.com/

 

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