次世代の産業を担う【中小企業】初めて明かされる秘話
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ロイヤルネットワーク株式会社 ‐ 従業員の9割女性・クリーニング業界の風雲児に微笑んだ25人目の女神

 

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ロイヤルネットワーク株式会社 ‐ 従業員の9割女性・クリーニング業界の風雲児に微笑んだ25人目の女神

◆取材:綿抜幹夫 /撮影:寺尾公郊

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ロイヤルネットワーク株式会社 仲條啓三会長

「おもてなしの心」で急成長 ロイヤルネットワーク株式会社 Group Founder 仲條啓三氏

 

「幸せはめぐる。ただし女性力が必須だ」

お客様支持率ナンバーワンを目指すロイヤルネットワーク株式会社は、クリーニング業界で最も成長著しい企業だ。「うさちゃんクリーニング」をはじめ数々のブランドを展開し、独自のサービス体制と従業員の質の高さ、そして女性の能力の活用で知られている。この地位を一代で築き上げたのが仲條啓三会長。カリスマ性の強い経営者や地域の名士とは一味も二味も違う、そのユニークな経営思想を紹介しよう。

72工場に2600名超の従業員
最大資源は女性パワー
ロイヤルネットワーク株式会社 (6)

全国に72工場、店舗数は656(2013年末現在)、そして従業員数はおよそ2600名。ロイヤルネットワーク・グループの昨今の成長ぶりはめざましい。東北・北関東で消費者に広く知られている「うさちゃんクリーニング」ブランドはもちろん、ごく最近では世界的な人気キャラクター、サンリオの「ハローキティ」とライセンス契約を結び、コラボが実現した。

「良いものは良いと、品質でしっかり判断してくださるお客様がいてはじめて、ここまで来ることができました」

仲條会長は穏やかにそう話すが、ここまでの道のりには様々な試行錯誤があったはずだ。その結果たどり着いた同社独自の考え、それは女性の能力を最大限に引き出し、お客様に期待を上回るサービスを提供することだった。代表取締役副会長仲條静子さんにご説明いただく。

 

ロイヤルネットワーク株式会社 仲條静子

「女性は、上司と部下のコミュニケーションを取ることに長けています。弊社ではシフト表や業務改善、段取り、店舗設計や店舗図面などを外注せずに自社で内製化していますが、これらはきめ細かい動きのできる女性マネージャーがいて初めて運営が可能になることです。ですから、会社としては女性スタッフが安心して働ける環境を作り出すために、生産部が設備や工事などについて全面的にバックアップし、システムを全社で共有しています」

 

ロイヤルネットワークでは、全従業員のうち女性の占める割合が9割強というから徹底している。これほどまでに女性の力を高く評価している企業は他業種でもほとんど見当たらないのではないか。

「コミュニケーション能力が高いということは、仕事の段取りがスムーズで報告が速く、また何か問題が発生した際も、すばやく対応ができるということでもあります。ムリ・ムダ・ムラのない効率の良い仕事ができ、また女性は明るく挨拶ができるので、ピンチをチャンスに変えることができるんですね」

独自の格付け制度も、会社を動かす優れたエンジンとなっている。

弊社スタッフは、工場ごとに格付け制度を設け、ライバル心を持って競争をしてもらいます。私個人の経験から言っても、ライバルがいたからこそ成長できた面が大きいと思っています。しかし単に競争するだけではなく、みんなで成功事例を出し合い、互いに常にモチベーションをアップすることを心がけています」

 

再び会長にお話しいただく。

「クリーニングというのは家事の代行ですから、生きていくのになにがなんでもなくてはならない業態ではありません。しかも、依頼する時と受け取る時、わざわざ店まで2回も行かなくてはならない。嫌だと思ったらお客様はいつでも利用を止めるか、他のクリーニング店に替えることができます。お客様に『また、うさちゃんクリーニングに頼みたい』と思っていただくためには、クリーニングの質はもちろん、お客様を期待以上に満足させることのできる女性スタッフの存在は不可欠ですね」

 

 

25回目の見合いで結婚
以来、女性の能力を最大限に活用

ロイヤルネットワーク株式会社 (8)ららぽーとTOKYO-BAY店

仲條啓三会長は1938年生まれ。8人兄弟(!)の末っ子で、実家は理髪店を営んでいた。

「中学を卒業してすぐに集団就職で上京したんですが、親元を離れたことが寂しくてたまらず、泣きながら山形に帰ってしまいました。叱られて染物屋さんに丁稚奉公に行ったりしていたのですが、クリーニング屋という商売に魅力を感じたのは、その清潔さでした。それまでは藁布団で寝ていたのが、クリーニングしたシーツを敷いて眠るとなんとも心地よく、キレイで、これはすばらしいと思いました」

 

そして1961年に仲條クリーニングを開業。わずか23歳の若さだった。早くから社会に出ていただけに、そろそろ身を固めたいと考え始める。

お見合いに24回失敗しました。周りの皆さんは『断られた』という言い方をされますが、私は『自分からお断りしたことはない』と言っております(笑い)。なにしろラーメンの丼しかないような殺風景な部屋でしたから、これではダメだというので一計を案じ、近所の電器屋さんから最新の家電製品を借り、それをクリーニングの店舗に隣接する自宅に置いて、体裁を整えたりもしました」

 

 

そして出会った運命の25人目。それが現副会長の静子夫人だ。結婚したのは東京オリンピックの翌年。高度経済成長の波に乗って会社は大きく成長した。しかしながらむろん、単に時代が良かったことだけが成長の理由ではない。いわば25人目の「女神」とのめぐり合いは、独自の経営哲学に結実する。

「時代が下っても、結局は男社会です。オスは戦う生き物で、実際、起業した人の中で生き残っているのは変わった人ばかりですよ(笑い)。女性は男社会のようなピラミッド構造ではなく横並びだし、働く女性は育児に家事に何役もこなす多能性をそなえています。結婚して、それまで男ばかりだった職場に女性が加わったことで明るくなり、女性が応募してくれるようにもなりました。私自身も女性の感性の素晴らしさに気がついたんです」

 

再び静子副会長にうかがう。

「業績の良いブロック長になりますと、会社からトヨタ車のプリウスを提供し、自由に使ってもらうようにしています。自宅まで乗って帰ってもらっても、もちろんかまいません」

ここで会長がボソッとつぶやいた。

「私もクルマ好きなのですが、今乗っているのは、ネットで買った中古のクラウンです。たしか60万円だったかなあ。たぶん、私がいちばん安いクルマに乗っているんじゃないでしょうか(笑い)。いや、それでいいんですよ、ほんとに」

ロイヤルネットワーク株式会社 (7)

秋田で活躍中の代表的女性ブロック長、宮田みつえさん(右から2番目)ロイヤルネットワーク株式会社 (1)

青森・横手ブロックのマネージャーとブロック長の皆さん

ロイヤルネットワーク株式会社 (2)

山形ブロックのマネージャーとブロック長の皆さん

 

 

顧客、従業員、取引先に
「幸せの循環」を

ロイヤルネットワーク株式会社 (11)新座店(ドライブするー対応)

ロイヤルネットワークでは、勤務シフトが柔軟に変更できたり、パートタイマーから正社員や管理職にまでキャリアアップできる制度を設けている。また顧客に対しては、ドライブスルー型店舗やランドリーロッカー、マイクローク保管サービスなど、次々と新しいサービスを打ち出している。

「私は不得意なものは得意な人に任せたり、良いと思うサービスは既存のシステムを取り入れたり、要するに自分以外の力をどう活用するのかが大切だと思っています。例えばドライブスルーは、ファストフード店を参考にしたものです」

 

より能力のある人を信頼して任せる。そのためには努力を惜しまず、苦労を苦労とも思わないのが仲條会長の真骨頂だ。

「まだ若い頃ですが、ある日、外交から帰ったら妻が泣いているんです。どうしたと聞いたら、税務署が来て、いろいろと突っ込まれたらしいんですね。当時、割に利益も上がっていましたが、ちゃんと帳簿をつけていなかった。そこで公認会計士に相談に行きました。ところが、あまりに小さな会社なので相手にしてくれません。もっとも私はクリーニングの御用聞きでお客様に断られるのは慣れていますから、『そうですか。じゃあ、また来ます』という感じで、何回か訪問しました。10回断られたらさすがにあきらめようと思いましたが、5回目でOKしてくれました。以来、きちんと帳簿も付け、お金が足りなくなれば国民金融公庫まで出向いて、すべて説明してくれました。私はただ黙って隣に座っているだけです(笑い)」

不屈の精神を発揮して、とか、血のにじむような努力を、といったストーリーを会長はまったく話さない。女性を大切にすること、適財適所の組織を作り、不得手なことは自分でやらないこと、そして何より会社のコンセプトに掲げてきた「幸せの循環」を本気で実現させようと考えてきたことが、今日までの発展につながっているのである。

 

「物事の仕組みというのは、誰にでもわかりやすい、シンプルなものが最良だと思います。お客様、従業員、そして取引先の3者のあいだでグルグルと幸せが循環していることが望ましい。ビジネスですからシビアなこともありますが、ウチの会社だけが突出して利を得ようと無理をすれば、構造がゆがんで、必ず循環が壊れることになります」

仲條会長は、長男である新社長にIPOの夢を託している。自己資本率も60%を超え、体質も上々。売上は10年連続増収で、今期は100億超え、S&P(スタンダード&プアーズ)格付けではaaを獲得している。

 

クリーニングの国内市場が縮小する中でのこの伸びはある意味、奇跡的ですらある。自社の従業員を、そして女性の活力を大切にするこの姿勢とシステムは、世の経営者にとって大いに参考になることだろう。

ロイヤルネットワーク株式会社 (9)

ヤマザワ天童西店・オープン時ロイヤルネットワーク株式会社 (10) イオンモール天童店

ロイヤルネットワーク株式会社 (12)

宮原店

 

obi2_special プロフィール

仲條啓三(なかじょう・けいぞう)氏…1938年山形県生まれ。中学卒業後、集団就職の経験などを経てクリーニング店に勤務、1961年に自ら仲條クリーニングを創業。その後、ロイヤルネットワークとして「うさちゃんクリーニング」をはじめ数々のブランドを運営し、1998年にはリネンサプライ事業にも参入した。現在は息子の啓介氏に社長の座を譲り、会長職。

ロイヤルネットワーク株式会社

〒998-0031 山形県酒田市浜田1-7-20

TEL 0234-21-1888

http://www.usachan.co.jp

 

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