目指すは工場のコンシェルジュ

大榮エンジニアリング株式会社 × エコモーション株式会社  異業種コラボの進化系登場! 

◆聞き手:綿抜幹夫 / 撮影:寺尾公郊

大榮エンジニアリング 中部達郎氏
大榮エンジニアリング株式会社 代表取締役社長 中部達郎氏

 

エコモーション株式会社 品田悦郎氏 (2)
エコモーション株式会社 代表取締役 品田悦郎氏

 

あらゆる商品、あらゆるサービスが浸透している21世紀の世の中にあっては、何もないところからまったく新しい何かを産み出すことは非常に難しい。そこで有効なのが『組み合わせ』だ。既存のものでも組み合わせ次第で新しいアイデアになる。

まさにそれを実践しているのが大榮エンジニアリングとエコモーションの新サービスだ。その原点に斬り込んでみよう。

 

どうしても工場に入り込みたかった品田氏と、
その工場相手の新機軸を欲していた中部氏

大榮エンジニアリング (1)

中部社長の大榮エンジニアリングはコンプレッサなどの装置販売から、その修理やメンテナンスを請け負う会社。40年を超える社歴を誇り、顧客は1500社を数える。

一方、品田社長率いるエコモーションは、社歴は浅いが不用品回収や産業廃棄物のリサイクルで頭角を現しつつある。

一見する限り、なかなか両社に接点は見えてこない。

―まずは会社についてお教えください。

 

大榮エンジニアリング (2)

中部氏「初代社長である父は、もともと運送業を営んでいましたが、そこで出入りしていた会社から『塗装機器や空圧機器のメンテをやりませんか』と勧められ、昭和41年に目黒で大榮空圧機を開業しました(法人登記は昭和43年)。

アネスト岩田(エアコンプレッサ・真空機器や塗装用機器のメーカー)の指定サービス工場として、修理やメンテを請け負うところからスタートしたのです。そして徐々に顧客を増やしながら、機械の販売や工事なども手掛けるようになっていきました。今や国内の主要なコンプレッサメーカーさんとは、ほぼすべてとお取引があります。どこのコンプレッサでも販売しますし、修理もする。これが我が社の大きな特徴です。

往々にして大手メーカーは『指定サービス工場』制にして、自由な競争を許さない傾向にありますが、我が社はそれから一線を画して、独立性をもっとも大切にしています。ですから、顧客はすべて直取引。30年以上、この体制で頑張っています」

 

―お父様から会社を受け継いだわけですね。

 

中部氏「私は3代目社長です。18年前、父の死で2代目社長であった母から私が引き継ぎました。38歳の時でした。父の時代、高度経済成長期には人数は倍、売上は3倍を稼ぎ出していました。日本が活況で、モノづくりが盛んに行われていれば、我が社の仕事も大いに繁盛します。新しい機械が必要になるでしょうし、そのメンテも必要になるのですから。残念ながらバブル崩壊とともに低迷期に入ってしまって、売上に応じた規模へと縮小せざるを得なくなりました。リストラはしませんでしたが、自然減や事業譲渡で現在の規模に落ち着いたところです」

 

―エコモーション誕生のきっかけは何だったのでしょうか。

 

エコモーション株式会社 品田悦郎氏 (1)

品田氏「もともと大井町で友人とリサイクルショップを経営していました。その経営の合間に、不用品の回収をやりながら地域から出る廃棄品を集め、それを修理して販売していたんです。ですが、事業としては軌道に乗らなかった。

そこで、改めてリサイクルの勉強をしようと、6年前、32歳の時に法政大学の人間環境学部へ入学しました。4年間仕事は完全に休んで若い学生に交じって勉強したんです。そして、卒業した2012年、大学で出会った同年代の中野とこのエコモーションを立ち上げました。彼はずっと佐川急便で働いていましたが、環境問題の勉強がしたくて、佐川を辞めて大学に来ていた。

リサイクルをやっていた私と、運送屋で地域への個別訪問スタイルで営業をやっていた中野が一緒になったら面白いことができるんじゃないかと、卒業後にこの会社を興したわけです」

 

―現在の事業の中核は。

 

品田氏「リサイクルショップ兼産廃処理業です。中野の活躍で地域の個人宅とはうまくつながりを作ることができたんですが、次に我々が入り込んでいきたいのは工場でした。大手は別ですが、特に中小の工場は案外リサイクルが進んでいないんです。上手くマッチングすれば引き取り手がある産廃はけっこうあるもの。工場側はあくまで製品を作る過程で出た『ゴミ』だと思っているので、それがお金になるとは考えていないようなんですよ。我々は、それが宝の山になることをお示ししたかったが、なかなかガードが堅くて会っていただけない。

そんな時に、大榮エンジニアリングの中部社長との出会いがありまして。大榮さんは、関東で1500件もの工場とお取引がある。大榮さんの営業に同行させていただき、様々な産廃、例えばプラスチックや金属、繊維などがリサイクルでマテリアルに生まれ変わってお金になることをご説明して回っているのです。それまで廃棄にかけていた処理費用が、限りなくゼロに近付く。何なら逆にお金が入ってくるかもしれない。確実にコストダウンに貢献できるわけです」

 

―なるほど。しかし、そのリサイクルの提案は大榮エンジニアリングにとってどんなメリットがあるのでしょう。

 

中部氏「我が社で言えば、紙や鉄、ゴムなどが廃棄物として出ているのですが、これまではそれを単なる産廃として処分してもらっていました。ところが、これらがことごとく資源に変わる。廃プラスチックだけでも、処分コストが10分の1になりました。これは我が社のお客様にもお勧めしたい。我が社にとっても、営業品目が増えるのでお客様のところに訪問するきっかけになります。そうやってリレーションを深めることは、本業にもつながるわけです」

 

 

環境負荷の低減は我が社の目的の一つ(品田氏)
お取引先の困り事には何でも対応(中部氏)

手の中の地球

―産廃の再資源化は、昨今声高に言われる環境対策に適っていますね。

 

品田氏「我々の仕事は、今の環境対策や、省資源化の時世にマッチしたものです。環境負荷の低減は我が社の目的の一つなので、企業としての営利を求めるとともに、その目的にも合致した活動ができるわけです。大榮さんとご一緒することでそれが可能となったのです」

 

中部氏「私たちの仕事は純粋な産廃処理業というよりコーディネーターと言っていいでしょうね。いろんな業者とつながることで、処分品とそれを求めている人をうまくマッチングして差し上げるわけです。我が社の営業マンとエコモーションの中野氏が同行して、その訪問先の工場の産廃サンプルを持ち帰ります。多種多様の産廃をどんな業者と組み合わせればよりよいソリューションが見つかるのか。それが私たちの仕事です

 

―しかし、こういう時代ですから、工場側もそのへんのことはすでに対策済みではないのですか。

 

品田氏「それがそうでもないんですよ。どうせ廃棄するんだからと分別を怠っていることが多い。

例えば産廃1立米を処分するにはそれ相応の費用がかかります。これをきちんと、鉄は鉄、木は木といった具合に分別すれば逆にお金が入ってくることもあるのです。これは誰にとっても実にもったいないことです。ある程度の規模の工場などでは、そのへんの意識や管理が徹底されている場合もありますが、規模が小さくなればなるほどそこまで気を遣っていないケースが多い。

だからこそ、私たちが啓蒙する余地があるわけです。分別を徹底すれば資源化の可能性が大きくなる。そのメリットは金銭面だけではありません。なるべく燃やさない、なるべく埋め立てないにもつながっていきます。我々の考えに共感していただける業者やクライアントさんをもっと増やしていきたい。これを啓蒙していくことがこの時代にもっとも必要なのではないでしょうか」

 

中部氏「我が社はこれまで手付かずだった、あるいは顕在化していなかったお取引先の困り事を解決して差し上げたいのです。いままでは納入した機械のメンテという部分だけでしたが、どうせ客先にお伺いするなら、もっといろいろな部分で貢献したいわけです。お客様も、あれはこの会社、これは別の会社となるより、一括で依頼できる方が便利に決まっています。

我が社は40年以上の歴史があって、お客様とは長いおつきあいをさせていただいています。その信頼があればこそ、新しいことでも耳を傾けてくださる。1500社との直取口座を活かしてこの新規事業を確立して、『工場のコンシェルジュ』にならんとしているところです。

今まではコンプレッサのエキスパートとして、この部分はお任せください、という立場でした。これからは工場の困り事は何でもご相談ください、それが『工場のコンシェルジュ』なんです、と。ここに、エコモーションの持っている知識とネットワークを活かすわけです」

 

―非常に有意義な事業ですね。すでに軌道に乗ったのでしょうか。

 

品田氏「新年度からスタートしたばかりですが、我々の予想を超えた反響があります。工場にお伺いする度に新しい宿題をいただいている状態で、まさにうれしい悲鳴といったところです」

 

中部氏「両社とも、本業が伸び悩んでいた中で事業の新たな柱を模索していました。そんな時、昨年10月に我々の出会いがあり、その年のうちにこの事業の骨格は出来上がりました。大げさに言えば、運命的な出会いからこのケミストリーが生まれたわけです。いわば偶然の産物なんですが、直感的にこれはいけると二人とも思ったんです。時代のオーダーに沿った仕事ですから、必ずや成功するでしょう」

熱く語る二人の社長の表情は、この事業の成功間違いなしとの確信に満ち溢れていた。

これだけ世の中が環境問題やリサイクルにうるさくなっていても、まだまだ入り込む余地が残っていることは記者には意外なことだった。だが、その隙間を見逃さない嗅覚こそ、企業家の大いなる資質なのだろう。

日本が目指す循環型社会の実現のためには、こういう取り組みは不可欠なものだ。両社の事業がこの国の隅々にまで行き渡ることを願ってやまない。

 

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中部達郎 (なかべ・たつろう)氏…昭和33年東京都港区生まれ。日大芸術学部中退。21歳で大榮エンジニアリング入社。主に営業を担当。その後、上場企業への出向などを経験。平成8年代表取締役就任。

 

品田悦郎(しなだ・えつろう)氏…昭和50年東京都生まれ。法政大学人間環境学部卒業。青年期に哲学者に4年間書生として師事する。リサイクルショップ経営等を経て平成24年エコモーション設立。同社代表取締役就任。

 

大榮エンジニアリング株式会社

〒141-0031東京都品川区西五反田4-25-8

TEL 03-3490-4475

http://www.daiei-eng.jp/

 

エコモーション株式会社

〒140-0011東京都品川区東大井3-24-6 立会川パレス101号

TEL 03-5763-5700

http://kankyo-ecomotion.co.jp/

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2014年8月号の記事より
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。あくまでも資源の引き取りや買い取りを行っているのであって、〝処理〟や〝処分〟をするのではない。要らないものでも有効活用できることを世の中に伝えたい」熱意をこめてこう続けてくれた。

株式会社 興正 「あくまでも〝資源〟を回収するという意識で社会貢献を」

 

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