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株式会社サウンドファン|音で世界中の人を幸せにする! 老人性難聴用コミュニケーションスピーカー『ミライスピーカー』の開発秘話

 

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株式会社サウンドファン  で世界中の人を幸せにする!

老人性難聴用コミュニケーションスピーカー『ミライスピーカー』の開発秘話

◆聞き手・文:加藤 俊 / 文:渡辺 友樹

株式会社サウンドファン 佐藤和則氏 (5)
株式会社サウンドファン 代表取締役 佐藤 和則

 

ベートーベンは、聴覚を失ってなお作曲活動を続けた。

ただ、実際はある方法でちゃんと音を拾いながら作曲していたのではないかという俗説がある。「骨伝導」だ。口にくわえたタクトをピアノに接触させて、歯を通して振動を感じたと言うのだ。事実、交響曲『第9』に使われている音は、骨伝導で人間が感知できる音域内に収まるというから、さもありなん、といったところか。

 

聴覚を失った者が抱える心の負担を特殊なスピーカーの開発、提供を通じて軽減したい…。そんなミッションを掲げて、世界中の人を幸せにするスピーカーの製造・販売に乗り出した会社、株式会社サウンドファンの佐藤和則社長に話を聞いた。

 

名だたる企業で活躍し続けたサラリーマン時代高層ビル

 

-まずは、社長ご自身の経歴を教えてください。

 

株式会社サウンドファン 佐藤和則氏 (6)

佐藤:自分で言うのもなんですが、ヘンな子でしたね。小さい頃から人と同じことをするのが嫌で。趣味は、子供時代は絵を描くことでした。成人してからはクルマ、船、飛行機などの運転、操縦。車はA級、船は1級、セスナは学科は終わりましたが実地がまだという状態です(笑)

それから、音楽です。小学生のときピアノを習わせられていたことや、クラブ活動で打楽器やトロンボーンを担当していたことの延長で、現在も趣味としてドラム演奏をします。大学時代はカラオケがない時代にハコバンドのドラマーとしてお金を稼ぐほど打ち込み、卒業してからもしばらくはそれで生活していました。ただ、あるとき手首を壊してしまい、プロを続けることを諦め、就職する道を選びました。

 

大学卒業後、好きな英語を活かせると思ったので、外資系企業に就職し、その後も外資を渡り歩きました。会社はプロジェクトを変わるくらいの意識しかありませんでした(笑)かなり異端児というかおかしいですよね。

株式会社サウンドファン 佐藤和則氏 (10)

デルコンピュータにいた頃は、個人向け営業部長から法人向け営業本部長までやりました。一応、かなりの額の売上増を実現しています。カスタマーサービス本部長の時期は、顧客満足度第一位をその当時日本にあった外部勝手格点け機関5社全てで達成したことも。

でもですね、そんな働き方のためか、多忙やストレスが祟って体調を崩しました。

 

―それは悲惨ですね。

 

佐藤:ええ。ただ、結果としてはそれで良かったのです。少しのんびりしながら復帰をしているかたわら、在宅や個人でできるビジネスを一から学び、かっこよくいえば、内省と自己研鑽の期間になりましたから。これからお話する非接触骨伝導効果スピーカーの基礎となる技術も、この時期の巡りあわせから始まっているのです。

 

 

難聴者向けスピーカー『ミライスピーカー』株式会社サウンドファン 佐藤和則氏 (4)

 

―巡りあわせとは?

 

佐藤:色々な面白い方達との出会いや自分は何をしたいのかを突き詰めていった結果、スピーカーの世界に引き寄せられたというか。その時期、ビジネススクールに通っていたのですが、こういう技術があって、事業化する人を探しているのだけど、と持ちかけられたのが難聴者向けスピーカーとの出会いになっています。ドラムを叩くなど、音楽がずっと傍にある人生でしたし、コンピュータや電気機器関係の企業に長年いましたので、スピーカーを扱う事業は非常に身近でした。

また、私自身、左耳に原因不明の痛みと聴覚異常を抱えたまま4年間ほど過ごしたことがありまして、この日々の辛さと、症状が消えたときの喜びは忘れられません。そういった個人的理由もあり、是非ともこれはやろうと決心しました。

株式会社サウンドファン 佐藤和則氏 (8)

そこから色々な協力者が集まってくれるようになり、今、『ミライスピーカー』を一緒に作っている宮原さんというエンジニアがいるのですが、彼もビジネススクールのメンバーの先輩にあたります。

K社で商品開発マネージャーをしていた方で、日本で初めてFMトランスミッターを作ったり、アップルより前にMP3にモニターを付けて発売したりと、色々と革新的なことをしてきた新らしもの好きな方です。日本で最初に、とか、世界で初めて、といったことをするのが大好きな人。

 

彼が、当時は実機どころか試作機すらなく、理論しかない状態の難聴者向けスピーカーを面白がってくれ、共感してくれて、このプロジェクトは大きく動き出しました。

 

―そもそものスピーカーをはじめ、同士にも巡り合えたということですね。

 

株式会社サウンドファン 佐藤和則氏 (3)

佐藤:はい。彼はK社退社後、10年ほどベンチャーをやっていて、そこではMRIの内部にいる患者とコミュニケーションを取るための光マイクをイスラエルと共同開発しました。MRIの中では普通のマイクは金属で使えませんから、光ファイバーを使ったマイクを作ったそうです。これは国公立大学病院や国の研究機関に多数導入されています。そんな彼がこの3月でそのベンチャーを辞め、4月から弊社に入社してくれました。

さらに、特許関係で強い味方になってくれている技術顧問は、このエンジニアの紹介ですし、資金を出してくれたエンジェル投資家も、すべて個人的な人脈や繋がりのある方たちばかりです。こんなふうに、『ミライスピーカー』の公共性や社会性の高さに共感し協力してくれる方を、様々な人脈を手繰り寄せて集めながら進めているビジネスなのです。

 

 

-そこから、難聴者向けスピーカー『ミライスピーカー』に繋がるのですね。これほど多くの方たちを引き寄せられた魅力とは何なのでしょうか。

 

佐藤:それはやはり、製品化できれば、革新的で社会貢献性も非常に高いからでしょう。

原理をきちんとお話ししたいのですがまだまだ研究途上の技術ということと特許を出願していて今その成立のためのやりとりを特許庁の審査官とやっていて”公知の事実“にならないためにここでは述べる事を少し差し控えさせてください。申し訳ありません。

株式会社サウンドファン 佐藤和則氏 (1)

ですが、この試作機を作って、老人性難聴の中度で補聴器をしてもう6年になる実家の父親に実験したところ“はっきり聴こえる”と言ってくれたのです。そこから開発に拍車をかけている最中です。今までに老人ホームを4か所、40人くらいに実験をしたところ35人がTVの音がはっきり聴こえると手を上げてくれました。デシベル計でTVの音量以下にしての事です。残りの5人に関しては90歳代で認知症が少し進み私の手を上げてくださいね。という言葉の意味を理解していない方が大半でした。

 

そして7年前に右耳の聴覚神経のところに腫瘍が出来、手術でほとんどを取った方にも実験をしました。私は無理だろうなあと内心では思っていましたが意に反してこの7年間でまったく経験したことのない音の大きさを感じました!とおっしゃってとても喜んでいただけました。

これには私も驚きました。

 

 

『ミライスピーカー』の持つ大きな可能性

佐藤さんに寄せられたFBメッセージ。佐藤さんのFBに寄せられた難聴の方からのメッセージ

-非接触という点が非常に画期的ということですね。具体的にはどのような場所や場面での使用を想定しているのでしょうか。

 

株式会社サウンドファン 佐藤和則氏 (2)

佐藤まずは、老人性難聴の方がいる家庭です。というのも、難聴には種類があります。骨伝導を使えばある程度聞こえるようになるタイプと、それが難しいタイプにわかれます。感音性難聴と伝音性難聴とあります。感音性は聴覚神経が駄目になっておりますので骨伝導では難しいようです。

『ミライスピーカー』は老人性難聴の方たちに対して非常に良い結果が得られていますので、まずは老人性難聴の方たちに向けて届けたいと思っています。老人性難聴は感音性難聴と伝音性難聴の混合型が過半数だと言われているからです。

老人性難聴があると、テレビの音が大きくなり、それが家族にはうるさく感じ、家族関係が悪化しかねません。そもそもコミュニケーションが取れないから家にこもっているのに、家庭内でも孤立し、認知症も進行し、必然的に寝たきりになることも。こうしたケースを一人でも減らしたい。また、この延長で高齢者施設や、また難聴者とそうでない方が混在する場所という意味では、病院などへの設置も効果的だと思います。

 

また、実は『ミライスピーカー』には他の音に比べて人間の声が特に抜けて聞こえるという特性があります。そして減衰しにくいという特長もあります。これを活かし、防災無線などには非常に向いているでしょう。駅や横断歩道などの公共施設での使用も同様です。

 

このほか、声が抜けて聞こえる特性を活かすという意味では、コンサートでボーカル専用にこのスピーカーを使い、楽器が大音量で鳴っていても会場の隅々まで歌が通る、というような用途も考えられると思います。

 

 

難聴者がコミュニケーションと笑顔を取り戻す『ミライ』へ

サウンドファン スピーカー 画像ミライスピーカー試作品

-伺っていると、極めて社会貢献度の高い製品であると感じます。最後になりますが、社長がそもそも難聴者向けのスピーカー販売を事業として選んだ理由、動機というのはどこにあるのでしょうか。

 

佐藤:老人性難聴で苦しむ方の苦労を和らげたい。もしかしたら、我々の製品で、一旦音を失っても、それで終わりじゃないと希望を持たせてあげることができる。一人でも多くの方に、難聴でも聞こえるようになる喜びを届けたい、それだけです。そのために、現段階ではBtoBですが、何れは、

年金頼りのお年寄りの方でも悩まずに購入でき、また、できるだけ早く、数多くの人に使っていただけるような価格設定にして販売する予定です。

 ◆

その社会貢献度の高さに『共鳴』する多くの賛同者を得ながら産声を上げようとしている『ミライスピーカー』。未来を語るミライスピーカーとは、佐藤社長そのものではないだろうか。

「夢は、2020年のパラリンピックで『Sound Fun!』のロゴが描かれたスピーカーが並んでいること」と語る佐藤氏。ミライスピーカーに乗せて、世界中にその想いが響き渡る未来をみてみたい。

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株式会社サウンドファン 佐藤和則氏 (9)

佐藤 和則(さとう かずのり)

1956年 北九州に生まれる。

中央大学卒業後、富士ゼロックス(AI事業部)、サン・マイクロシステムズ(マーケティング、営業マネージャ)、デルコンピュータ(個人営業部長、法人営業本部長、カスタマーサービス本部長)、アスクル株式会社(新規事業開発VP)などに勤務。

2013年10月 株式会社サウンドファン設立、代表取締役に就任。現在に至る。

 

株式会社サウンドファン

〒111-0053 東京都台東区浅草橋1-21-1光ビル3階

TEL 03-5825-4749 FAX 03-5825-4794

http://soundfun.jp/

 

2014年8月号の記事より
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2016年6月3日の朝日新聞朝刊で貴社のことを知りました。
社長のインタビューを読むうち、私と同じような趣味を持たれ共感するところが多々ありました。
私は2,3才の頃右耳が中耳炎にかかった事があります。それが原因かどうか定かではありませんが、会社の健康診断で60才頃から難聴と言う診断を受けました。
今の年齢は74才ですが、子供の頃から音楽が好きでトロンボーン、ベース、でジャズを楽しむことが何よりの楽しみでした。今はサックス(テナー、アルト)を吹いているのですが先日も教えてもらっているプロの方にドラムやベースと言ったリズムセクションのビートを聞いてリズムをとるように注意を受けたのですが、それが出来ません。理由はハッキリと聞き取ることができないのです。
今は右耳もアウトのようです。家庭でもテレビの音声が聞き取れずパイオニアのテレビ用スピーカーを使っていますがイヤフォンをしないとテレビから出る音声とのバランスが取れず煩わしく感じています。ついつい字幕が出る洋画や風景等の旅番組しか見ないのが現状です。これから歳を重ねるにしたがって認知症などの発症の恐怖に怯えています。生活していく上でコミュニケーションの大切さは身に染みて感じています。貴社の製品が私のような者の救いになりますように願っています。

2016年6月3日8:07 AM |  森下拓司

大変興味深く読みました。
私は今80歳聴力が低下し,感音難聴との診断,でも骨伝導イヤホンで何とか凌いでいますが,何か良い方法がないかと考えていましたが,新聞を読んで此わ良い一度試聴したいと考えています。
リスニングルームがあれば早速行きたいと思っています。

2016年6月3日5:54 PM |  平田春雄

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