株式会社EEN|廃棄物が宝の山に!? 世界特許の画期的技術で日本が資源大国になる!
株式会社EEN 廃棄物が宝の山に⁉
世界特許の画期的技術で日本が資源大国になる!
◆取材:綿抜 幹夫 / 文:小川 心一
株式会社EEN 代表取締役 佐藤邦道氏(さとう・くにみち)…昭和26年宮城県登米市生まれ。昭和42年陸自少年工科学校入校。自衛隊退官後事業を興す。平成13年株式会社EEN設立。再資源化装置『EE21』を開発し、その普及に邁進中。
20世紀の終わり、所沢産野菜のダイオキシン汚染問題が大々的に報じられ、風評被害から農家がメディアを訴える事態にまで発展した。当時所沢は『産廃銀座』と言われ、多数の焼却炉が産廃処理のため稼働していたためだ。その後規制は強化されたが、それでも廃棄物の多くが今でも焼却で処理される。そんなこの国の現状を憂い、画期的技術で廃棄物を資源に変える株式会社EENを直撃した!
世界一のゴミ焼却大国日本
日本では、ゴミは燃やすものというのが常識だ。大抵の地方自治体で、自前のごみ焼却施設が稼働している。だが、目を海外に転じれば、アメリカやカナダのように広い国土を持つ国では、ゴミのほとんどを埋め立てている。しかし、国土がせまい日本は、埋め立てようにも最終処分場にする土地が少ないため、燃えるものは燃やして嵩を減らすという方法をとっているのだ。
一般ゴミの焼却率は約80%に上り、焼却場の数は約1700基と、世界にある焼却場の実に3分の2が日本にある計算になる。ゴミ焼却場は、燃やすと有害な化学物質であるダイオキシンを発生するなどの問題を抱えている。また、地球温暖化の元凶である二酸化炭素も大量に排出する。近年はダイオキシンを出す小型の焼却炉は使用禁止となり、専ら大型の焼却炉が使用されているが、ダイオキシン以外にも有害な煙を出す可能性があるため、新たに建設することは近隣住人の大反対に遭い、計画がとん挫することも珍しくない。
日本のごみ焼却量はヨーロッパの環境先進国の10倍以上、ダイオキシン排出量も世界一である。その結果、他の先進国に比べ、桁違いのゴミ処理費用がかかっている。さらに、日本のゴミの最終処分場は後20年分程度しかない。もはやこれまでと同じゴミ処理方法では、限界が近づいていると言ってもいいだろう。
この深刻さを増す一方のゴミ問題を、焼却や埋め立てとはまったく違うアプローチで解決する画期的な技術が存在するのをご存じだろうか。と言っても、現在その技術が活かされ、装置として稼働しているのは、まだ沖縄県にある民間の施設1カ所だけだ。
その装置、名称を『EE21』といい、東京都文京区にある小さな会社・株式会社EENが開発したものだ。代表取締役・佐藤邦道氏は、『EE21』の先見性と高い技術力に大いなる自信を持っている。
「再資源化装置『EE21』は、CO2などの温室効果ガスやダイオキシン類などの有害物質を発生させることなく、廃棄物を再資源化します。無酸素・熱分解方式で行われる廃棄物処理は、これまでの廃棄物処理の概念を一新する画期的な処理システムなのです」
何と『EE21』は、システムとして11年前には完成済みであり、現在も進化を続けているという。
ゴミが有効な資源となり、有害物質も出さない『EE21』!
佐藤社長と株式会社EENが社運を賭けて世に問う『EE21』は、ゴミ処理の概念を根底から覆す。ゴミが資源と化すからだ。
「ゴミをただ燃やせばそこから何も生み出しませんし、逆にCO2が大量に排出されますから、温暖化にも大きな影響を及ぼしています。日本は地図を見ても分かる通り『極東』にあります。燃やして出た諸々の有害物質は偏西風に乗って太平洋に出て行きますが、日本のようなやり方を仮に欧州などで行えば、国家間の紛争の火種にもなりかねない」
ゴミを燃やすことで発生する熱の一部こそ、発電などに利用されることもあるが、ほとんどが無駄に放出されるばかり。やはり処理方法としては非効率で原始的と言わざるを得ない。
そして、その原始的方法で、あの福島原発の後始末から生まれる放射性物質を大量に含んだ廃棄物を処理しようとしている。
「環境省の考え方がぶれているんです。東日本大震災では大量の放射性物質が飛散し、そのためにその放射性物質を浴びた廃棄物が発生していますが、それを焼却処分しようとしています。日本の環境基準は世界一厳しいと言われていますが、この焼却処分では、それを破ろうとしている。恐ろしい環境汚染物質である『放射能』をさらに撒き散らす結果になるのですから。私たちの技術、装置なら、これを焼却せずに減容化(容積を減らす)できるんです」
佐藤社長は、自慢の『EE21』を引っ提げ、環境大臣に直談判を申し込んだそうだ。残念ながら核心に触れる前に時間切れで打ち切られてしまったそうだが、環境省には提案済みだ。
「日本は戦後復興から高度経済成長に至る過程で発展優先、利益優先を貫き、様々な負荷については後回しにしてきました。その結果、公害問題などを発生させながらも、何とか少しずつ改善しつつ今日まできたわけです。
EENは、それなら初めから環境に負荷を与えないやり方で廃棄物問題を解決する方法はないものかと考えてきました。廃棄物処理と環境負荷軽減という、いわば相反するようなことの両立を目指した結果が『EE21』なのです。そんな都合のいい装置があるものかと、皆さん疑いのまなざしを向けられますが、この装置は廃棄物を処理して再資源化し、その過程で一切公害を出しません。もし、この装置が日本で全国規模の普及を見せれば、資源輸入を半減させることも不可能ではないのです」
この技術は、世界中で取得している特許が証明している。しかし、普及は捗捗しくないと佐藤社長は残念がるのだ。
立ちはだかる大きな壁
誰が見ても夢のような装置『EE21』だが、前述の通り、稼働しているのはまだ1カ所だけだ。
「日本では廃棄物の処理はもっぱら焼却で行われてきました。この事業は行政に取り込まれ、強固な利権構造が出来上がっている。そんなところに、その根本をも覆す新技術が登場すると、そこには排除の論理が働くわけです。それに阻まれ続けたのが我が社の10数年の歩みと言ってもいいでしょう。環境省からして、この技術を未完成だと認識しているのが現状です」
そんな中でも、『拾う神』が現れた。東京都立川市である。しかし、そこでも露骨な妨害があった。
「立川市では、『EE21』を導入することが議会で決定しました。その前段階として、立川のゴミを入間に設置してある『EE21』で処分して、検査することになった。ところがその検査結果で、煤塵が大量に発生するとか酸化化合物が大量に出るというデータが取れたというのです。
立川市に出入りしている検査機関による、100カ所以上に及ぶ誤報告が新聞発表されました。しかも、悪意を感じられる改ざんデータとも言える事をマスコミにリークしたり、ネット上で公開されたりしてしまった。焼却炉のメーカーとも関係が深かったコンサルからの、明らかな『妨害』と言えるものでした。我々は弁護士を通じて内容証明を出しました。そして立川市が内部調査したところ、改ざんが明らかになったのです」
まさに利権に絡む絵に描いたような不正である。
「ですが、行政と表立って喧嘩をしたら、この先他の自治体に導入してもらえる可能性を閉ざしてしまいかねない。訴訟は思い留まりました。幸い、立川市での『EE21』導入の方針は変わりませんでした。しかし、実現はしていません。新しいものに対する抵抗は激しく、約5年も約束は棚上げにされているのです」
本来行政は、市民生活のためになることなら積極的に行うべきところ。それでも、はびこる利権や事なかれ主義が、価値観を180度転換するようなこの装置の導入を阻んでいる。これは国家的損失と言っても過言ではないだろう。
思わぬ副産物も生み出す『EE21』
遅々として進まない『EE21』の普及だが、EENの経営に支障はないのだろうか。
「『EE21』は再資源化装置です。これを稼働することで得られる物質の利用も我が社の重要な収入源になります。しかし、正直申し上げて、この10数年の会社経営の中で、10億を超える赤字を抱えているのが現状です。我が社の理念や技術に賛同してくれる支援者のおかげで何とか食いつないでいるのです」
装置の販売だけでなく、その装置から生み出される物質にも驚きが隠されている。
「再資源化の中で発生する物質に、7年掛かって特許を取得したアトミックカーボンというものがあります。無酸素状態で熱分解処理する技術により生成される炭素です。有機物由来なので有機炭素とも原子状炭素とも呼ばれます。この炭素は電気を通さないなど、通常の炭素とは異なる物質であることが分かってきました。
日本での複数の実証研究により、抗酸化力向上、アンモニア消臭、植物の成長促進、酸性土壌の還元、水質浄化などの効果が報告されています。この原子状炭素を含有した飲料水『CHOTANウォーター』を一部のお医者様に紹介していて、実際に治療に役立ててもらっています。効果は絶大なのですが、医療行為を行う上での制約から声高にそれを発表できないのが残念ですね」
工業、農業、医療、環境の全てを改革できる技術の結晶、それが『EE21』なのだ。これほどの装置が、認可を与えるべき役人から黙殺されている現状には憤慨を禁じえない。もはや犯罪ではないかとすら思える。こんな状況にあっても佐藤社長は前を見据える。
「今後の目標は、この技術がさらに広まること。皆さんには同じ日本人として、日本発祥の技術を理解して応援して欲しい。官僚の方々には、利権を超えて考えていただきたい。特に今、大きな社会問題となっている福島の放射性物資に汚染された廃棄物の減容化を『EE21』に任せてもらいたいものです」
『EE21』が脚光を浴びる時、この国のゴミ問題は劇的に改善されているはずだ。そうなればゴミは資源。日本が資源大国に生まれ変わる日も近い……。
●株式会社EEN
〒112-0002東京都文京区小石川2-1-2
11山京ビル10階 TEL 03-6801-8111
http://www.een.co.jp/
◆2014年2・3月号の記事より◆
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